遺体屋の仕事

日常生活では見ることも聞くこともない「遺体屋の仕事」とは・・・

人を見る話

2007-12-20 08:34:19 | Weblog
仕事の移動中、同僚と差し障り無い会話で動物ネタなどよく話します。
自分のペット自慢とかご葬家にいたペットの話とか。
片道2時間かかるところなども行くので完全なる暇つぶしです。

でもご葬家とペットにマツワル事も時々あります。
今回は叫び続けるワンコがいました。
室内犬でシーズーっぽい犬です。
ご親戚も沢山あつまっていて湯灌をするのにワンコがちょっと邪魔になり
別室へ追いやられていました。
すると湯灌の儀式のご案内の一言を話すたびに
「ワンワンワンワンワン!」
何か大きく動作をするたびに
「ワンワンワンワンワン!」
あまりに鳴くので喪主様が切れて
「うっさい♯!!!」と一言
遠くにいるのにそれで鳴き止むワンコ
ご親戚のおじさんは「まぁまぁ、わかってるんだよ。仕方が無いよ」と喪主様をなだめます。
家族関係とそのワンコの位置付けがどうであれ
「オレもそっちに行きたいワン!」って吠えていたのかもしれません。

鳴かれる事・吠えられる事はよくあるのですが
なつかれ過ぎても困る事もあります。
大きな庭のあるご葬家なので犬をつなぐ鎖が異常に長いワンコがいました。
ぱっと目「おっ!友好的ワンコ」と判るほど
なんだかニコニコした感じ?
でも長すぎる鎖と友好的過ぎるワンコなので、ご葬家から帰るときに車で轢いてしまいそうで非常に危険なのです。
「車を移動するか、犬を押さえてるか?どっちがいい?」と同僚に聞きました。
その時の同僚は車の運転も不慣れで、犬も苦手。
「うーーーーんっ。犬」
犬を押さえつけているはずの同僚は、逆に犬に押さえつけられているかのようで
一緒にチークをしているようで。
同僚は「イヤぁーーー」と雄叫んでいましたが、犬は非常に楽しそうでした。
たしかに私から見てもこの同僚はイジりたいタイプの人なので、犬も人を選んだのでしょうか?

そして大変だったのがガップリ咬まれた同僚もいたことです。
私はその場にいなかったのですが、ご葬家入りしたときから
その子の事を眼光鋭く睨んでいるかのようだったそうです。
そして ガブッ!と足だかお尻だかを咬まれてズボンが破けたそうで・・・。
ご葬家は平謝りで、その子も心身ともに傷ついたそうですが
やはりお客様なので大ごとにしないで帰ってきたそうです。
「やっぱ怪しい人わかるんだよー」とその場にいた別の子は語ります。
たしかに怪しげな職業ですが仕事柄というよりも
犬が好きか嫌いか?で判断しているような気がします。
「敵意発見!」と言う感じでしょうか?

ある動物特集番組で獣医の先生が
「犬は群れを成す生き物だから本来なら外の犬小屋で犬を飼うのは
犬が家族から離されているという疎外感を感じて残酷な事なのです」とのこと。
たしかに犬は家族に対していつでも無償の愛を捧げます。
でも大型犬を室内で飼うのは各ご家庭の事情的には難しいものもあるでしょう。
でも間違いなく“家族”として認識しているなら
「オレもそっちに行きたいワン!故人の側に行きたいワン!」って思うのは当然なのかもしれないですね。






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ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。
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つぶしの利く仕事の話

2007-12-17 09:02:57 | Weblog
とある地方都市に住むお友達と話したときの話です。
その子は結婚式のお嫁さんを作る仕事をしています。
何といいましょうか、私とは真逆なお仕事。
私は故人様を綺麗に着せ替え、お化粧する仕事。
彼女は新郎新婦を綺麗に着せ替え、お化粧する仕事。
なんと運命的なことでしょう・・・?
そんな彼女の会社は大きなホテルの子会社で婚礼の仕事を請け負いで施行していました。

ところが!大変な事に彼女の会社の大元のホテルが倒産してしまったのです!!
地元でも老舗で大きなホテルだっただけにその県ではニュースでも大きく取り正され大事に。
幸いにして?その子の会社は子会社化されているので
「今後は独立採算制でがんばろう!」となったのですが・・・。

「アナタは仕事も会社も大丈夫なんでしょ?とりあえずよかったじゃない」と私
『でも、なんか複雑だよ。ホテルの社員とも仲良かったし、すごい大きなニュースで取り上げられて民事再生かけられるとか何とか言ってたのも暗礁に乗り上げてさ・・・』と友達
「じゃあ社員の人どうなるの?」
『全員解雇だって』
ひやぁーそれはヒドイ!
100人以上いる社員の行く先は?
でも!思い出しました。良い転職先を。
葬儀屋さんです。

ある日の仕事でお金持ちのご葬家に行きました。
枕元に故人様の好きだったワインがあります。
末期の水にワインかしら?
なんて思い葬儀担当者の人に伺ってもらえるようお願いしたところ
「これは○○年のシャトー○○○○ですね。」とご葬家とワイン談義に。
担当者さんワイン好きなのかと思いきや
「前職、ホテルだったから勉強させられてたんだよね」
へぇーどうりで!とご葬家納得。

この担当者さんやたら身のこなしがスマートでソツが無く、ご葬家対応の奥義に長けている。
私も学生時代ホテルでバイトした事があるが、とにかく厳しい!
礼儀作法・立ち居振る舞い・気配り心配り・・・。
継続する事は出来ませんでした。
葬儀屋さんに転職してきたとはいえ、厳しいホテルでの接遇マナーを身に着けてきた経歴と実力を買われ
未だ20代なのにホール館長職を受け持ちVIPの葬儀担当もする事が多いのです。

「葬儀屋さんとか入れるよ」
そんな話を友達にして、その子も『はぁ〜なるほどね〜』と関心していました。
逆に『ところで葬儀屋さんってどうなの?』の質問
私は葬儀屋さんじゃなく湯灌屋さんなので詳しい事情はわからないけど
不思議な事に葬儀屋さんはやめてもマタ次に葬儀屋さんになる人が大半です。
それはナゼか?
ツブシが効かないから?
イエイエちょっと違います。
私が思うには、葬儀から離れられなくなるからです。
葬儀は時間と段取りの勝負です。
決められた時間内の中で潤滑に事を進め、ご葬家の心を癒す事ができるか?
ある程度の緊張と緊迫感が「仕事シター」って感じがするのです。
それが離れられない理由のひとつのような気がします。

『ふーん、なるほどねー
でも、ホテルマンって接客できるなら葬儀屋さんじゃなくてもイケそうだね。』
た、たしかに。
世界が狭いのは私の方だったかもしれません。







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女らしい話

2007-12-15 08:17:53 | Weblog
「女性が強くなった」と言われてもう長い年月がたちます。
もはや強い人だらけの世の中。
だから今の日本があるのでしょう。
そんな私もおそらく“強い女”の一人で
ストレスをため、腰痛を抱えつつも社会人としてはびこって
タタミ一畳ほどある湯灌の浴槽も150cm少々の背丈でも一人で担ぐ事が出来ます。

そんな毎日の中で出会うご葬家を見て、己を振り返り反省する事があります。

ご葬家でのメイク納棺
外観も室内もきちんお手入れが出来ていてとても居心地の良い整然とした雰囲気。
お出迎え下さったのは息子さんお二人で少し几帳面で堅そうなイメージ
「喪主様はいらっしゃいますか?」
現れたのは息子さんたちとはイメージの真逆なかわいらしいおばあちゃん。
「今日はよろしくおねがいいたします」と頭をタタミに突きそうなくらいお辞儀されてしまい
『そんなに下げないで下さい〜』と思いながらこちらもタタミすれすれにご挨拶。
末期のお水に故人様の好きだったお飲み物でとお話しすると
「じゃあ お酒!」とパッと表情が明るくなる喪主様
今日の故人様の納棺式の為に来た私たちを信頼しきっている様子の喪主様
反対に大変冷静にこちらの話を見据えるように対応してくれる息子さんたち
実にバランスの取れた家族関係です。

故人様は突然の病か?病み疲れの様子のない綺麗なおじいちゃんです。
ご処置とお着せ替えをし、ご葬家に集まっていただくようお声賭けをします。
でも何か大切なお話をしているようで「少し待って下さいとのこと」
「では、恐縮ですがお手洗いを…」とお借りしました。
こんなところで人柄を語るのは何ですが
とっても可愛らしいお手洗い、もちろん清潔
壁紙の花柄とトイレ内にあるタオルが似たような花柄でそろえてあって
「とってもきちんとしてて、女性らしい方(喪主様)なんだなぁ」と感じ入りました。

少ししてご葬家がお揃いになり納棺式スタート
喪主様はお着せ替えの整った故人様を見て「ああ、よかった」とホッとされてから
とても悲しいご表情をされていました。
そしてまだ幼さの残る中学生くらいの孫娘さんが一人いました。
今にも泣き出しそうに真っ赤な顔をして、深くショックを受けているのがよくわかるご様子でした。
「○○ちゃん、つらかったらあっちの部屋にいってていいよ」
孫娘さんに喪主様は言ったのですが、声を出さずにただ首を振って「行かない」と言います。
いよいよ納棺になった時、喪主様が「お父さん・・・」と言って悲しみでヒザから崩れてしまいました。
「母さんあっちに行ってていいよ」とそれからはもう喪主様は出てこないまま
息子さんたちのみお立会いで納棺式は終了してしまいました。

私は「女らしいというのは今日の喪主様みたいな人のことをいうのかもしれない」と思いました。
家庭内をきちんと整えるのは普通なのかもしれませんが
ご主人である故人様を見て、ヨヨと身を持ち崩してしまうような儚げで
最後まで愛情や信頼・献身を捧げられるような女性は公私共お会いする事がありません。
強さはないけど、強い女性が持つ事のない守ってあげたくなるような天然の魅力。
そのような女性にはバランスよく強い男性とめぐり合うのかもしれないですね。
強い女が逆立ちしても敵わないのは、こんな事なのかもしれません。
そればかりがいい世の中ではないのでしょうが、こんな人が少ない世の中だけに憧れます。

帰り道に同僚と「孫娘の子もずっと泣いてたね」という話になりました。
どちらかというと地味でいまどきの子の要素はない孫娘さんでしたが
本当に故人様の死を悼んでいる様子で「おじいちゃんの事大好きだったんだね」と話しながら帰りました。
私は『あの子は喪主様みたいな女性らしい人に成長するのかもなぁ・・・』と漠然と考えながら
くわえタバコでハイエースを転がしながら次の仕事に走っていきました。







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列車事故の話

2007-12-10 07:35:38 | Weblog
事故の故人様の古式湯灌に行きました。
ご依頼は都内の葬儀屋さんですが施行場所は東京から2時間半以上かかる他県。
ご遺体は都内で葬儀予定の為、終了後移送予定。
非常に珍しいケースなので
「帰省で実家に帰った時に50代くらいの男性が事故にあったのかな?」と予想していきました。
全然違いました。
故人様はその他県在中の70代のおばあちゃんで列車事故でした。

「自殺?」
高齢の女性が自殺?それとも事故?
地方の方でそのような激しい亡くなり方をするのは、これまた珍しい事です。
故人様は警察の防水シーツに包まれ、腰から下は包帯で巻かれ血が滲んでいます。
頭はインド人のターバンのように包帯が巻かれ
顔半分は全てガーゼで手当てがされています。

体は腰とスネが骨折してグラグラ。
出血しないようにお手当てをしました。
頭も頭蓋骨がグダグダに骨折し外傷はないけど両耳から出血しています。
最後。顔のガーゼを取って見ると
額からアゴ先まで大きく縫合されて、目は鼻の隣まで下がっていました。
もう半分は無傷なのにこちらはとても見れる状態ではありません・・・。

事故や事件などで亡くなった人の場合
警察などで身内の確認をご家族はどこまで見るのでしょうか?
どこまで知っているのかわからないので
故人様の状況は言葉を選んで伝えなければいけません。
「お顔ですが…深い傷を負われていまして
もし、お顔全部ご覧になりたいようでしたら特殊メイクという方法になるのですが…。
ただ、お顔半分全部ですのでかなり人工的な感じになりますけど…どうされますか?」
故人様がどういう状況なのかわかっていない喪主様ご夫婦
たぶん、お二人は『そんな気の毒な状態なら治してあげたい』とか
『思ってもいなかったような深い傷を負っていたのか…』と頭の中でショックな思いなどがグルグル回っていたと思います。
そこへ葬儀屋さんが
「何もしなくて隠すなら○○万ですが特殊メイクしたら○○○万です」
『ええっ!!高い!!!そんなにボるの!?』葬儀屋さんの言った価格は
最初の2倍の金額で私は何もいわずに内心ビックリしていると
「じゃぁいいんじゃないか?やらなくても。キレイに隠してもらえばいいんじゃない?」と喪主様はうながしています。
奥さんがたぶん故人様の娘さんになるのでしょうが
金額を聞いて納得したようでした。

お顔はまるっきり半分全てを手当てで隠さないと
大きく縫われた縫合痕が見えてしまいます。
ベージュの大きな絆創膏を張るとなんだかのっぺらぼうの様で
どちらにしても痛々しさを感じさせました。
奥さんに納棺の時「飾りの綿花で隠す事も出来ますよ?」と伺うと
「もう親戚みんな事故で死んだの知っているので、大丈夫です」涙を滲ませながら答えてくれました。

ちなみに納棺前に葬儀屋さんが
「ヒューマンさんの特殊メイク△円だから足して○○△万だったね」と
あまりに膨大な金額を提示したのはご自分の勘違いだったのか?
ご葬家への巧みな計算だったのか?は謎でしたが・・・
でも特殊メイクしてもお手当てで隠しても痛々しさは隠せません。
どちらが良かったのか?
私には判断が付かないお仕事でした。
おばあちゃんが事故にあったのは「痴呆が入っていたのかも…」とも聞きました。
おばあちゃんが本当は何を望んでいたのかは、誰も知ることが出来ないのは確かです。







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会いたくない人の話

2007-12-05 16:40:27 | Weblog
「この家・・・記憶にある」
ご葬家に近づく前から『見覚えのある道だな』と思っていたら
3.4年ほど前に湯灌を対応させていただいたご葬家でした。
“リピーター”です。
でもこの日は辛いお仕事です。
故人様は喪主様のお嬢さん。
死因は縊死だからです。

たしか以前はお母様だったような気がします。
その時は自宅の反対側に車を止めて湯灌の浴槽を室内に持ち込むのに
室内の狭い廊下を通り、ものすごく大変な思いをした事を思い出しました。
今回は2度目の湯灌ということでご葬家もなれたもの。
自宅の駐車場も空けてくれて、備品も搬入しやすいようにしてくれています。
喪主様が「何か手伝うことがあればいってください」
ご親戚も沢山集まっているし、喪主様の他のお子さんご夫婦もいるのですが
気持ちが落ち着かないのでしょう、そわそわとしたご様子で声をかけてくれました。

故人様の首元にはヒモの跡が付いています。
でもご表情は穏やかで体には傷ひとつありません。
『以前の湯灌のときは存命しているこの方(故人様)もいたんだろうなぁ』と
ぼやっと考えてしまいました。
ご親戚は沢山来ていましたが湯灌のお立会いは極近しい身内だけということになり
ふすまを閉めて湯灌を始めました。
義理の姉妹にあたる2人の女性は涙を流しながら故人様のシャンプーを手伝ってくれます。
でもご家族で一番辛そうなのは喪主様でした。
額を片手で押さえ顔色が赤黒くくすみ、鼻をすするようなご様子。
声もださず、涙も流していません。
でも『喪主様泣いている』そう思いました。
誰よりもショックを受けているのが痛いほど伝わってきたからです。

お棺には故人様の振袖と帯を用意されておりました。
大変立派な振袖で素人目にも高価なものだということがよくわかります。
喪主様が買ってあげ、その貰い主の娘さんは亡くなり
一緒に選んだであろう奥様も亡くなり
持ち主を無くした振袖も行き場を失い
故人様に最後まで持たせることに決めたのでしょう。

湯灌もご納棺も終了し退室の挨拶をして帰ろうとしたとき
見送りに出てくださった喪主様が「ちょっと待ってて」と自宅へ走っていきました。
戻ってきた喪主様の手にはお心付けの袋と缶ジュース
恐縮しながら受け取り自宅を後にしました。
たしか以前も飲み物を頂いた事を思い出しました。
私たちは毎日様々なご葬家の方と出会います。
それでも私がそのときの光景や出来事を覚えていたということは
私個人の事は覚えていなくても
喪主様も以前の湯灌の情景を覚えているのでしょうか?
娘さんである故人様も以前のあの日あの場にいた事も。

私たちはできるなら“なるべく会いたくない職業の人”なのかもしれません。






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所要時間の話

2007-11-26 15:39:28 | Weblog
いつもちょっと“無理気味”の内容で仕事の依頼をしてくる葬儀屋さんがいます。
「今日は30分で湯灌から納棺まで全て終わらせて!」とのご依頼。
湯灌は通常15分ほどかけているので、その前後の末期のお水や旅したく
納棺の時間も考えると本当に“大急ぎ!”な業務になります。

担当者さんいわく「喪主さんが体が悪い人なので30分しかじっとしていられないから」
ウルトラマンのような喪主様。
でも通夜・葬儀自体30分以上じっとしていなければいけない場面は沢山あるのに
湯灌だけ時間限定なことに大きな(?_?;)
全ての工程をきちんと行うと時間を“まく”事も出来ず、逆に慌しくなるため
要所要所で何かの工程を省かなければいけません。
ご葬家は一緒にあせってくれる訳ではないのですから・・・。

とても悲しみ深いご葬家で喪主様(兄)と故人様の娘さんは呆然とした様子でした。
他のご親族の方も故人様のお顔を見て目頭を押さえています。
「故人様のシャンプーを代表でどなた様かお手伝いお願いします」
お一人様に限定したかったのですが皆さん出てくる・・・。
「最後のお顔拭きお願いします」
これも皆出てくる・・・。
司会役の私は手元の時計をにらみつつ『悲しみ深いから・・・でも…時間が』と
グルグル頭で段取りの計算をします。
何かをお手伝いするため、その都度ご移動いただく喪主様はこれといって“辛そう”には見えないのですが・・・。
あっという間に湯灌も終わらせ進行しているこちらもアレヨアレヨという間に納棺になり終了。
28分の業務でした。

帰りの車中で新人研修中の子に
「巻き業務って初めてだよね?こんな感じなのでおぼえておいてね」というと
新人さん「はい〜。なんか、なんだかなぁって感じですね〜」
はい、おっしゃる通りです。ご葬家からの反応に“手ごたえ”なぞありません。
同じ事をゆったりと大らかな気持ちで行うのと
バッバッと手早く行うのでは丁寧さどころか雑に見られ兼ねません。
「ま〜そんな時もあるから」とは新人さんには伝えましたが
言われた事をその通りにしているとは言え、こんな時はちょっと後ろめたい気持ちが残るものです。








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身をもって感じる話

2007-11-23 07:20:27 | Weblog
時折、葬儀社からの依頼で「湯灌のデモンストレーションをお願いします」とのお話をいただきます。
秋や春などに葬儀社で“○○葬儀社葬祭展”なるイベントを開催することがあり
その中の催し物のひとつとして模擬湯灌を行うのです。
もちろん本物のご遺体を使うことはできないので誰かが“ご遺体役”をしなければいけないのですがその大役は男性社員にしてもらいます。


ある日のデモでご遺体役の男性社員が遅刻をしてきました。
待てど暮らせどやってこないので上司がシビレを切らし、致し方なく入社3日目の右も左もわからないど新人の男性社員に急遽ご遺体役を任命!
彼は海パンを用意していないので自前のパンツそのままでお願いしました。
「やさしくするから(!?)寝てるだけでいいから大丈夫よ!」と安心?させるつもりで言ったのですがやはり緊張したらしくなかなかの硬直っぷりで良いご遺体役をはたしてくれました。


デモをやって思うのは“生きている人の軽さ”です。
ご遺体と生きている人では同じ重さであっても亡くなった人のほうがずっと重たく感じます。
「ご遺体の冷たさ」は日常のこの仕事でもうなれっこなのですが「重さ」というものにはハッとさせられるものです。


納棺のデモというのもあります。
その時のご遺体役は私がさせてもらいました。
お棺はだいたい6尺(約1m80)くらいの平均的なお棺です。
いつもは納棺する側で入る機会はなかなかないのですが、その感想としては・・・
ワタシは「熱い」でした。
一応!中肉中背で太ってはいない(ハズ)ですが割りと体にフィットした気分になり
顔周りを綿花で飾りつけされ、それがなんとも圧迫感というか?綿が痒くて熱いとボーっとしてくるいうか…。
『痒いなぁ〜』なんて思いつつも『ワタシはご遺体。静かに死んでるの』と
役目に徹底していた姿があまりにもうまくできていたのか?
「なんだこの故人様は穏やかな顔してるなぁ〜寝てるんじゃないの?」という葬儀屋さんのチャチャが入りあせった上司が「礼子さん?」と一声
暑くてボーっとし、音もボワン〜と聞こえて返事できなかった私に上司はあせり
「礼子さん!!起きてる?!」とちょっと引きつらせてしまいました(ゴメンナサイ)


最近入社した新人さん、大変好奇心旺盛で彼女は自ら「お棺に入ってみたいです!」と、たっての希望で体験納棺したそうです。
彼女いわく「なかなか寝心地良かったです。ワタシは○○棺がいいです」と言っておりました。
お棺も湯灌の体験もこの仕事をしていないと“お試し”はできないので故人様は自分の好みは考慮されません。
生前予約じゃないですけどこだわりのある方は生きているうちに希望を伝えておいたほうが良いのかも?しれませんね。






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駆け抜ける話

2007-11-21 07:04:13 | Weblog
一日に何件もお仕事を抱えると、次のお仕事の予定時刻に間に合うためにも
規定の予定時間内に終わらせたく少しでも潤滑な動きをしたいものです。
焦っていてもご葬家に喜んでいただくために一生懸命努めさせていただきますが…
思わぬ障害がおこることもあります。

ご葬家はマンションの高層階。
ご自宅の浴槽にお湯をためて頂きポンプで給排水するやり方になりました。
いつもより準備物が多く大変な状況。
そんな時にかぎって故人様が困難な状態。
ご病気の為でしょう。
片方の目とその周辺の頬のお肉がエグレる様に欠損しており顔も引きツレていました。
知らない人が見ると「ドキっ」とするような大きなガーゼで手当てされていました。

白いガーゼと大きくはみ出して張ってある絆創膏が痛々しい。
処置係りの後輩がベーシュの目立ちにくい絆創膏に取り替えてご処置。
私はその間の湯灌の準備のため「お風呂からお湯ひかせて頂けますか?」と言うと
ご葬家「あら!すみませんまだお湯溜めていません」
ガーン担当者の話では準備できてるって言ってたのに…(><゜)゜。
「20分くらいで溜まりますから!」とご葬家もあわててくれて
遅ればせながらも湯灌スタート。
娘さんも泣きながら長い時間、故人様のシャンプーをお手伝い。
「シャンプーできた良かったです」ととても喜んでくれました。
『よかったな〜』と思いつつ故人様につけたベージュの絆創膏も中のガーゼも半分ズブ濡れ(TT)
「お着せ替え後おとりかえ致しますね」と処置係りの後輩にまかせ
一人湯灌浴槽の片付けにかかりました。

最近の高層階の建物にあるエレベーターの中には鍵のついている“扉”があり
開くと押入れのように奥行きが広がります。
湯灌と納棺で伺う事を管理人さんも知っていて
オートロックのドアとエレベーター内の扉を開放してくれ、とても助かりました。
一人浴槽1Fに降りていくと管理人さんがいました。
「大変ですね、ところでですね私明日休みなんですけど棺はいつ入れるんですか?」
「今からです、お棺運びましたらエレベーターの扉はもう閉めていただいて大丈夫です」
「私、明日休みなんですけどいつ斎場に?」
「ではご自宅出発の日程のご連絡しますね」
「あ〜明日ならどうしようかな〜
 でもエレベーター空いてないと〜
 でもちゃんと斎場に連れて行ってあげたいしね〜〜〜〜〜〜〜」としばらく続く話。
だーかーらー(TДT)連絡しますって言ってるのにぃ〜しばらく話し続ける管理人さん。
もう本当に時間がないのでちょっと振り切る感じでその場を離れお部屋に戻りました。

お部屋に戻ると処置係りが「故人様やっぱりガーゼにして下さいとのことです」
目立たないように気を配ったつもりがご葬家に伝わらずガッカリ。
お風呂を溜めるのと管理人さんで足止めを受け、もう時間がない!
そして更に再処置(><|||)・・・。そしてトドメに
「ガーゼに止める絆創膏どこかしら?あれがいいわよね、買いに行く?」
『キャー(><)無理ですぅー時間ないんですー↓』
なんて多分後輩も同時に同じ思いを抱いた直後
そこへ使いつけの絆創膏を持ち出した喪主様↑
ホッとしたのもつかの間、喪主様の腕時計が目に入り
『っ!!終了予定時刻過ぎてる!!!』と更に青くなりました。↓
ガーゼに絆創膏を貼るだけでしたので、最終手段でご葬家にお願いし
車まで棺を取りに戻るとまた管理人さん登場
「さっきの話だけど葬儀屋さんと連絡取れたよー」とほっとした顔でやって来て
エレベーターの扉がなんとかなる話をされました。
ゆっくりお話している場合ではないので申し訳ないですがサラっ→と逃げてきました。

ご納棺は大変な駆け足で終わり、お嬢さんに見送られながらバタバタと出て行こうとしている奥で
喪主様が「寸志は?用意してないの?」なんて会話が聞こえましたがそれどころじゃない私たちは
ものすごい勢いでその場を後にさせていただきました。










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納棺師は見た!の話

2007-11-18 07:50:26 | Weblog
“ひやり”とする出来事がありました。
納棺業務に伺って葬儀屋さんが来るのを待っていました。
お寺の控え室(小屋) 兼 霊安室での納棺。
その小屋の前で待っていたのですが静まり返っていたので
ご家族は着ていないものと思っていたら
喪主のおばあちゃんと娘さんはいらしていて休憩を取っていました。
おばあちゃんは亡くなったおじいちゃんの事で心労がたまったのか
故人様と平行に布団を引いて横になっていました。
いらした葬儀屋さんが私の先に立ち、納棺の準備をさせてもらうため
おばあちゃんに少し移動してもらえる様お話。
「すいません、疲れていたもので今どけます」と娘さんは布団を上げだして
おばあちゃんもフラフラ〜〜と辛そうに立ち上がりました。
『なんか具合悪そうだな〜布団ずらして寝ててもいいけど…』と
フラフラしているおばあちゃんを見ていると

「ぁ…ぁ めまいする」

全員が あっ!! と思ったときにはもう遅く
立ち上がってすぐ畳でスベリ背中から倒れて
頭をドンッ!と強打
「大丈夫っ!!」と娘さんの一声と共におそらく全員頭によぎったのは
『最悪の状況だったらどうしよう〜(><|||)』だったと思います。
おばあちゃんはTVのゲームコントで失敗したお笑い芸人のリアクションのように
仰向けになったまま後頭部を押さえ
「うーーー」と左右に体を揺らして苦しんでいました。
やっぱり布団で横になりましょうと準備中寝ていてもらうことに。

それから他の身内の方もいらして事情をきいて心配した息子さんが
「お水か何か飲む?」と優しく聞いたのですが
「ぁーーぁ♯何にもいらない」
「え?」
「(><♯)!!欲しくない!!!」
逆切れするお年寄りというのを私は初めて見た気がしました。
その後の納棺式でも「動きたくない」と言うことでおばあちゃんはお部屋の端から眺めていました。

お年寄りになるとよく転んだり骨折したりとケガをして
それが原因で寝込むことがあるとは聞きます。
転んだ瞬間を見て『原因はこういうことかー』と納得しました。
具合の悪そうなお年よりに付随する危険と足がおぼつかなくなる事は「=」なのでしょうか?
ご家族にお年寄りがいる方はご注意ください。
天国のおじいちゃんもきっと心配してましたよ。
おばあちゃん。お大事にされてください。







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本職者メディアを考えるの話

2007-11-04 15:36:33 | Weblog
TV業界はネタ切れなのでしょうか?
室内清掃・湯灌・エンバーミング
今まで知る人ぞ知るとされていたこの職業が情報番組での紹介やドラマ化・映画化されてきていています。
一応チェックはしています。
現職として見た者の感想としては・・・『伝え切れてないなぁ』というのが
正直なところです。

室内清掃の部屋はいろんな異臭にハエたちが集まり室内に渦巻いています。
ドアを開けたら一斉に“黒い大群”たちが「ガーー」という大音量の羽音とともに
こちらに向かって飛んでくることや
油汚れ・埃・生活の汚れとともに流れ出た体液と絡み合い
独特の雰囲気の部屋などもあります。
また、亡くなった人は生きている人と比べると
どんなに綺麗な亡くなり方をされていても“生気がない”のを
感じずにはいられません。
生活・生命を感じられないのがリアルだったりしますので
新しい切り口で始まったドラマで見ると
「ゴミでも新品ばっかだな」「生きてるな」と思います。
死を表現するということは難しいことなのだなとも思いました。
ですが良く考える以前から“ご遺体関係”のドラマは結構あって
“赤い霊柩車”シリーズとか“法医学教室”シリーズとか
大女優さんたちが奥様を2時間ドキドキさせてくれるドラマは沢山ありましたね。
「ワー!」とか言いながら崖から落ちていく“人形”がそれはそれでアリで
微笑ましかったりして・・・。

エンバーミングのドラマの原作の漫画本は
『この仕事をする上での心構え』として気持ちを改めて律することができる
良い漫画だと思い購読していました。
来春には“湯灌師”をテーマにしたコメディタッチ(え?)の映画が本木雅弘さん広末涼子さん主演で公開されるそうです。
命の尊さをドラマで伝えるのは、すごく難しいんじゃないかな〜と感じるのは
メディア素人の独り言として聞き流していただきたいのですが
原作が好きだったり、現職者であったりするので
ブツクサ言いながらも逆に一番期待しているのは私たちなのかもしれませんね。
どんな仕事であっても
表に出ない色んなこと・色んな思いの積み重ねで
時に困惑したりピキッ♯ときたり、胸が張り裂けるような辛い思いをする日もあります。
「こんな辛いなんて…こんなハズじゃなかった」
仕事にまつわる出来事・人間関係・¥などでも迷うことは多々あります。
それでも「やりがいがあるから頑張れる。」

仕事ってそういうものじゃないかなぁと思います。
もし!もっくんの映画を見て
「湯灌屋さんになりたい!」なんて人が現れたら?
「色んな意味でやりがいありますよ」とお伝えしておきます。

また余談ですが
むかーし【EM/エンバーミング
という高島礼子さん主演の映画があったので
仕事柄興味がわき、参考がてら観に行こうと
映画好きの青年を誘いました。。。。もちろんフラれました。
高島礼子さんもこの作品のことは、多分「忘れたい」と思っていることと察します。
もっくんガンバレ!








遺体処置・エンゼルケア・湯灌サービス
ヒューマンケアでは、最期まで故人の尊厳を守るために死顔を整え、ご本人にもご家族にも、人生の最期にふさわしい最高の「グッドフェイス」でお送りいたします。
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