♪おみそしるパーティー♪

「ほにゃらか」の
古典・短歌・ことば遊び
『 題詠100首blog 』に参加中

燃ゆるすべなき者たちへ

2006年06月02日 23時44分17秒 | ★ほにゃらかの短歌

七輪で餅を焼くとふ授業あり<昔のくらし>に何を学ぶや

紙をくべ割り箸をくべなかなかに燃えざる炭を子はじつと見る

ふくらめば面白がりて裏返す 便利の裏に忘れゐしもの

炭で焼く餅いつもより香ばしく子らはみづから海苔まで炙る

片づけをせよと叱られいつまでも遊ぶ時間はどこにもなくて

豊かなる炭焼きの香もゆるゆると流るる時も<昔>ならむを

かたちのみ昔の<モノ>を寄せあつめ裏返さざる昔の<ココロ>

「火を起こすことひとつにも苦労せし昔を想へ」と結論づけぬ

七輪を扇ぐともなほ燃えざるは燃ゆる意志なき炭なればこそ

その人の生くるかたちのあるやうに子よそれぞれを燃えゆくがよし

                        短歌:ほにゃらか
                        写真:ほにゃの娘


「浦島太郎」 で相聞か?

2006年02月17日 13時40分00秒 | ★ほにゃらかの短歌

情けなど掛けてはならぬ 最後まで愛しぬく意志もたざるなれば

意のままに酒池肉林を酔ひ飽きてそがふるさとへ帰りゆく君

われよりも母を選びし君なれば哀しき別れに恨みもすまじ

竜宮へふたたび戻る術ひとつ けしてこの箱ひらきたまふな

この箱をひらきたまふな ひとたびを愛せしわれに逢ひたかりせば 



ひらくなと言ひて与ふは何ゆゑか なほも絶えざるおまへの愛か 

愛しさもあまりて生れし呪詛ならば白き煙をこの身に受けむ

万年を生くるおまへと百年も生き得ぬ我の<ときのばいりつ>

ああ いかに約をたがへし罰とふて空より他に行くところなし

異形の愛 せめて来世は鶴になり千年生きておまへと逢はむ



                        短歌:ほにゃらか


「浦島太郎は謎だらけ~」のお話の途中ですが、
『浦島太郎』のストーリーを元に、短歌など詠んでみました。
ピンクの5首が乙姫さん、ブルーの5首が太郎くんになったつもりで、
相聞歌風味にしてみました。


どうして突然『浦島太郎』に拘り始めたかというと、
「二進法の恋」のmakoさんの題詠で、面白い宿題が出たからです~(^^)
makoさん曰く、
「おとぎ話や昔話、童話などを元に連作を詠んでください。」とのこと。



★ この題詠の投稿先は、makoさんの短歌推敲専用掲示板 「さくらばなちる」 です。

★ 推敲が終わった作品は、makoさんの「二進法の恋」にまとめてアップして下さるそうです。



バレンタイン

2006年02月14日 17時35分28秒 | ★ほにゃらかの短歌

気持ちとふ変はりゆくもの溶かしつつハートのチョコはゆるりかたまる

不味さうに見ゆるチョコなり のど元の「買つてくれば?」も固まりになる

「手作りでなくちゃ気持ちは伝わらぬ」言ひし娘の10個の包み (←おいおい)

                            短歌:ほにゃらか
                            写真:ほにゃの娘


※注:写真はチョコレートではありません。
   河原の石を顔に見立てて娘が作ったものです。
   娘の手作りチョコの写真を使おうかとも思いましたが、
   プライバシー保護のため(笑)、使用を差し控えました~♪

ゆきの降りたる朝のこと

2006年01月24日 21時36分38秒 | ★ほにゃらかの短歌

遠足の前夜のやうに眠れぬ子 明日は雪とふ予報を聞きて

早朝のわれの眠りを妨げて子はましろなる景色をひらく

消えぬまにと子らはわづかの雪あつむ起き抜けの身を震はせながら

ミルクでも温めやうか手も鼻も真つ赤に染めてはしやぎゐる子に

冷蔵庫ひらけば ちんと座りたる雪のだるまよ そのままにあれ

                        短歌:ほにゃらか


★makoさんの「二進法の恋」 題詠『冬から切り取った風景』 は、こちらから。


うつろひゆく街

2006年01月11日 15時12分16秒 | ★ほにゃらかの短歌

吉祥寺「バンビ」の狭き階段の先にふるふやババロア ふるる

のぼらむと見れば「バンビ」の階段に「シャポー・ルージュ」と書かれてゐたり

店の名の下にちひさく添へられし「旧バンビ」とふ文字ぞかなしき

またひとつわれの居場所の消ゆるごと街を行き交ふ人もうつろふ

いつぽづつ踏みしむるやうにのぼりゆき扉ひらけば…ふるる…ババロア

                            短歌:ほにゃらか



※「ふるる」は、「ふるふ」や「ふるへる」の誤記ではなく、
 ババロアの「ふるるん」とした感じを表現するためのオノマトペです。

金星

2006年01月07日 02時40分15秒 | ★ほにゃらかの短歌

にしぞらにひときは明き夕星やあまりに星のかたちを光る

                         短歌:ほにゃらか



・夕星(ゆふづつ)=金星
      宵の明星は、1月下旬になると見られなくなり、
      明けの明星が見られるようになるようです。
・明き(あかき)

☆ 「Nikon 星空案内」というページは、面白いですよ。

哀しき時代

2005年12月15日 14時52分16秒 | ★ほにゃらかの短歌

電飾のカラクリのモノ 心なく前へ倣へのかたちに光る

きらきらと光あふるる街の中「みんなおんなじあんしんだから」

溢れゐるモノに心を奪はれて価値見極むるすべ忘れゆく

街路樹のひかりの闇に隠さるる星を見るにはあまりに明かし

飛ぶことの出来ぬペガサス ミューズなどいづくにありやと探す極月

この国は貧しくなりぬ働くも働かざるも希望のなくて

望みなく心に生るる貧しさと抗ふすべを教へてやらな

己(をの)が身を己で守れと幼子に教へ説くほど哀しき時代

誰も彼も信ずるなかれ醜さを敷き詰むごとき舗道にあれば

凍て蝶の息絶えざると知りながら翅をひらきゆく心の闇よ

痛みとは「われ」が傷つけらるること人を呪ひて枯れゆける木々

飢ゑ狂ふ獅子の檻にて一晩を明かせ 弱者の切り岸に雨

初雪のあはれ天より降りきたり積もることなし こころざし消ゆ

                          短歌:ほにゃらか


☆ややさんの 「いちご摘み」 で詠んだ歌から連作にしました。
ややさんの 「いちご摘み」 は、こちらから。

選ばれし者

2005年12月14日 14時01分52秒 | ★ほにゃらかの短歌

ごそごその紙の束をば必然のありやなしやと選り分くる午後

責任を問はれぬやうに捺印を求むる書面 いつの頃より…

「マラソンをさせる・させざる選択は親の責にて捺印をせよ」

選ばれし子のみ頂く詩集あり選びし人の詩力を見たり

走る子と走らざる子を分かちゐるリレー 違ひは翼のかたち 

古臭きピアノ教師の選びたるJ.S.バッハのメヌエット ああ

なじまざる4分の3のリズムにて行進せよとふごとき理不尽

言の葉を選ばざりしか選びしか心の傷を思へぬ人よ

言の葉もまた凶器なり 鉛筆のやうには消せぬ傷を刻みぬ

教師とて狂ふ 悪魔の理科室に凶器研ぎゐる鈍色の音

「そこで見てゐるのはだあれ」理科室に巣くふ悪魔が凶器を研げり

愛情の持てぬ仕事を退かぬ人よ そも選びたる理由を問はむ

選ばれし者と己を思ひゐて揺るがぬやうに蔓延る根つこ 

手にとりて「酸いも甘いも」分からねば林檎あきなふ資格を持たず

                          短歌:ほにゃらか


☆ややさんの 「いちご摘み」 で詠んだ歌から連作にしました。
ややさんの 「いちご摘み」 は、こちらから。

ハングクサラム

2005年12月12日 15時51分18秒 | ★ほにゃらかの短歌

ハングルを唯一女(をみな)の文字として嫁ぐ娘に継ぐ内房歌辞(ネバンカサ)

閉ざされし内房(ネバン)に生くる女(ひと)の空 空のかたちは小さき四角

夜になり詩歌に想ひ書き綴りひとり泣くとふ女(をみな)かなしも

封建の女性にわずかに許されし自由の宴を歌会といふ

アラリヨと歌ふは貧しく文字さへも持たぬ女の恋物語

                     短歌:ほにゃらか
                     写真:内房歌辞(ネバンカサ)
                     NHK「チャングムの心をたずねて」より

内房歌辞…18世紀に、儒教のもっとも厳しい地域で生まれたハングル詩歌。
     両班の家の女性が嫁ぐとき、母親が娘に、嫁入り道具として贈った。
       内房(女性だけの住まい)
       歌辞(定型詩)

ハングクサラム…Korean (韓国人)

アラリヨ…アリラン(朝鮮半島の民謡)の最後の句
     「誰がわたしの想いをわかってくれようか」という意味


昨日、体調が悪かったため、家でず~っとテレビを見ていたら、
NHKで、韓国の「歌」についての番組を放送していました。

その番組で、韓国の女性にも「歌会」という楽しみがあることを知りました。
同じ民俗の血が流れているのだなということを
しみじみと感じることができるお話だったのです。
その番組で感じたことを詠みたくなりました。

これは、朝鮮王朝時代の身分制度や男尊女卑の中にあった女性たちが、
歌に心の救いをもとめながら築いてきた、韓国女性の「歌文化」をテーマに
歌ったものです。

☆makoさんの 『二進法の恋』 「イルボンサラム」はこちら。

月の砂漠

2005年12月10日 03時01分00秒 | ★ほにゃらかの短歌

人類は己の地球(ほし)に飽きたらず欲望のまま月へと向かふ

その星へ移住せんとや夢を見む 豊かの海と見ゆるところへ

雲の海、しずかの海に雨の海たどりつくころ水消え果てぬ

ほの暗き月の砂漠をはるばるとゆかば向ふにオアシスありや

銀色に海のかたちを残しゐて月のおもてはかなしく乾く

つきの極 半永久の日陰ならば凍れる水を探しに行かむ

探査機を衝突させし月の極 水一滴の欠片も飛ばず

さりながら月に氷のあるといふ朧にけぶる夢つなぐごと

あくまでも不可思議なるを侵しゆき刻み込まるる幾多の轍(わだち)

過酷さを耐へて暮らすは夢なるや厚きガラスのドームの中で

灼熱の昼と極寒の夜 月の砂漠にふりそそぐ放射線

いくたりの命ささぐや 神様の領域になる空をあふぎて

重力に抗ふことの難しさ犯してきたる罪の重さか

月面に辿り着ければその裏へそして火星へ…願ひは尽きず

太古より憧れゐたる月に立ち見ゆる地球の美しき青

あをあをと地球をつつむベール いま綻びてゆく速度を増しぬ

滅びゆく遊星に棲みあはれにもなほ垂れ流す緋の色の水

宇宙には人工不要物体が4000万個浮遊するらし

果てもなき銀河に船を漕ぎ出だし金色の星もとめ行きけり

いつの日か青き地球も護美となり宇宙に浮かぶ 罪深きまま

                     短歌:ほにゃらか



この連作は、推敲中です。<12.9 バージョン3>
最初の投稿は12.1です。
<12.1 バージョン1>と<12.3 バージョン2>は、コメント欄に保存中。

☆makoさんの 「二進法の恋」 題詠18『月の砂漠』は、こちら。
☆makoさんの 『月の砂漠』 と皆さんのお歌はこちら。

危ふき電車ごつこ

2005年12月09日 17時32分47秒 | ★ほにゃらかの短歌

ましろなる息を吐き出し機関車のひしめきひしめきいづくを目指す

母の手にからみつく子の手をほどき送りださねばどこへも行けず

発車する蒸気機関車見送りぬ 狭き歩道をまつすぐ歩め

そちこちの角より子らの集ひきて溢れさうなる交差点あり

淀みなく流るる川と信じつつ渡れればよし そも幸ならむ


物騒な世の中なりと教へ説き子らの自由は奪はれてゆく

約束をにぎりしめたるグーの手をひらけばそこを砂あふれだす

集団の下校にひとり取りこぼしその子責むるや学校教師

くづれゆく列を車道に落つるあり あらたな危険を孕む夕ぐれ

汽車ぽつぽ 苛めらるる子苛める子みんなまとめて花いちもんめ


この子らに定まりてある未来なし そも汽車たるは安全なりや

その先は親の領域 折り返す教師の責務はここにて終はり

殿(しんがり)を歩む子供を守る者だあれもをらぬ集団下校

またひとり角を曲がりてまたひとり…迎への親さへもうゐなくなる

信ずるに足るものいづこ 朝夕の電車ごつこは危ふく続く

                         短歌:ほにゃらか


☆ややさんの 「いちご摘み」 と ☆希理子さんの 「いちご摘み」で詠んだ歌を、
☆makoさんの題詠20 「句切れ」の課題に合わせて推敲しました。

恋するストレリチア

2005年11月30日 14時00分00秒 | ★ほにゃらかの短歌

熱帯の植物園に咲ける花 飛び立ちさうなる翼をもてり

くちばしを長くのばしてなにを喰む 虫など喰むや鳥さへ喰むや

紫のちさき花より華のごと萼はひらけりオレンジ色に

オレンジの鶏冠をひらく花なれば名も鳥といふ花なのだらう

日本では極楽鳥花と呼ばるらし 熱帯雨林に咲くストレリチア

緑色のおほきな翼いく重にもひろげて立てりストレリチアは

あざやかな色で求愛する孔雀 雌はどちらに恋するだらう

                     短歌・写真:ほにゃらか


鶏冠(とさか)
萼(がく)
極楽鳥花(ごくらくちょうか)

ストレリチア
[科名]バショウ科
[別名]ゴクラクチョウカ
[原産地]アフリカ

☆makoさんの 「二進法の恋」 最上級の『比喩』はこちら。
☆makoさんの 『比喩』 と皆さんのお歌はこちら。

「思い出の曲」……初恋

2005年11月22日 19時01分34秒 | ★ほにゃらかの短歌

晩秋の冷たき雨に濡れながら届かぬ想ひあたためてをり

好きだよと言つてしまひし初恋に心は揺るるふりこの時計

放課後のグランド とほき背番号11番を探してをりぬ

マフラーを手渡す胸の震へなど知らぬかに見ゆあなたの笑みは

初雪に凍える指をもてあましふるへて書けぬ愛といふ文字

浅き夢ならば醒めよと祈るとも君の姿ぞ胸をはなれぬ

                          短歌:ほにゃらか
 
     
 ☆「初恋」(村下孝蔵 作詞・作曲)の本歌取り?です~(^^;)
 
         
☆makoさんの 「二進法の恋」 題詠16 『思い出の歌』で懐古しよう~。は、こちら。

☆makoさんの『思い出の歌』とみなさんのお歌は、こちらです。