脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

オリーヴと言うコイノニア

2010-06-02 | Weblog
オリーヴにはいろいろと事情を抱えた子供が来て練習しているが、最近この子供たちを通して自分が励まされることが多い。これは少し前までいじめにあっていたという子供であるが、彼は最近かわりつつある。
以前はどことなく暗いような顔をしていたのであるが、ここにきだしてからだいぶ様子も変わり、今ではたいへん明るくなったと思っているのだが、こういう一人の人間が障害を乗り越えて行く姿は多くの人を励まし勇気づけると思っている。
彼だけではなくここにはいじめを経験した子供がいるが、ここではむかっていけとか、にげるなという現代の教育的配慮に書けるようなことは言わないし、われわれもいろいろな人が来ているのだから、そのことについて無知であってはいけない。
特にそういう子供たちの心理状態を理解し、受け入れてあげることは大事なことであり、そういうことをひっくるめて、いじめの実態を知るということは非常に重要なことである。
よく格闘技のジムではあいさつしろとか、返事をしろというが、オリーヴのようにいろいろな立場の子供たちを受け入れているところでは、そういう方針はナンセンスであると思っている。
うちは格闘技のジムではない、スポーツクラブである。場合によっては勉強も教えている。
だから独特の精神を鍛えると言う考え方はなく、体育会の言うようなあいまいな礼儀と言うのも存在しない。
時々自分なりの強さとか男らしさを語るのがいるが、しかしこういう奴に限って、自分の言いたいことを言っているだけで、勉強もしないで、言っていることは漫画で聞いたようなセリフか、人から聞いたようなことで、根本的に語彙が足りず、逆にそういうことを押し付けても無意味なだけで、そんなことをとやかく言う前に、英語か数学でも教えたほうが、間違いなく子供のためにはなるだろう。
今小中学生をあずかっていて思うのだが、本当にひとりびとりの人間を顧みて、ケアしていくことは難しく骨のおれる仕事である。
親は子供の成長を求めてここに入会させるので、この集団が単なる居場所であってもならないし、仲間と言ううさんくさい人間ををあつめる場所でもない。
よく自分たちはこんなに仲がいいんだと言うことを強調するグループがあるが、しかしそういう仲間になれないから、ここに来ているのであって、自分たちはそういう仲間にひきこむのではなくて、できるだけ個人に目を向けてケアするようにしている。だからたいへん骨のおれる仕事なのである。
個人がに目を向けると言うことは、個人が個人としての権利を持つと言うことで、ここで言えば、その集団や仲間の一人ではなく、一個人としての存在を重視するということである。
一個人の存在と言うことは、もちろん権利を認めると言うことで、同時に彼ら彼女らにも責任は存在するのである。
ここでつく自信は、ボクシングで鍛えて体が強くなるという自信だけではない。こういうきちんとした大人と言うか社会人の中で、コモンセンスを守ると言う責任をもってかかわっていくことが求められるのだが、そういう中で対人能力と言うか、人に対する自信がもてるのだと思っている。
おそらくただあいさつしろとか返事しろと言われても、こういうものは自主的にはそだたない、悪い言い方をすればそれはむしろ上の人の顔色を見るだけであって、そういう集団の中でおぼえた礼儀やしきたりと言うのはもはや通用しないと思っている。
大事なのは対人能力である。対人能力と言うのは、でかい声であいさつしたり、人の顔色を見て人に気を使うものではない。
一個人が対等に人と話ができ、コミュニケーションをはかることができる能力であると理解しているが、この会話とコミュニケーションに必要なのが、インテリジェンスとコモンセンスであり、昔から文武両道と言うのは、まさにこのことではないだろうか。
だから一個人がたとえ子供であろうが、権利と責任と言うものを意識することは大事なことである。それは特に言葉で教えることでもないが、少なくともそれを感じとらせるということも一つの教育的配慮であり、ボクシングクラブという、いろいろな人間の中で養うことができるし、オリーヴは立派な社会人が多いのだからそういう人たちとかかわっていくことは、人間の成長を促すことでも重要である。
そしてもちろんボクシングという激しいスポーツを通して、肉体や精神を養うことも大事だが、そこで安価な持論を持ちだすのではなく、ただ彼ら彼女らがここにきてスポーツすることの楽しさ、そして人間とふれあうことの重要な意義と言うものを感じとり、生き生きとした実感を取り戻すことができればいいと思っている。
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