「 単なる無知よりも “ 無知であることへの無知 ” こそが、
知識の死である 」
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド ( イギリスの数学者、哲学者 )
Not ignorance, but ignorance of ignorance, is the death of knowledge.
Alfred North Whitehead
クライアントの若手社員が、昨夜、40分間も電車に閉じ込められたらしい。
たった一人が飛び込み自殺をすることで、多くの貴重な時間が失われる。
( 自殺者の多い国 : 男性 * 数字は10万人あたりの自殺者数 )
1位 リトアニア 70.1
2位 ベラルーシ 63.3
3位 ロシア 61.6
4位 カザフスタン 51.0
5位 ハンガリー 44.9
6位 スリランカ 44.6
7位 ラトビア 42.9
8位 ガイアナ 42.5
9位 スロベニア 37.9
10位 日本 35.6
( 自殺者の多い国 : 女性 * 数字は10万人あたりの自殺者数 )
1位 スリランカ 16.8
2位 韓国 15.0
3位 中国 14.8
4位 リトアニア 14.0
5位 スロベニア 13.9
6位 日本 12.8
7位 ガイアナ 12.1
8位 ハンガリー 12.0
9位 ベルギー 11.4
10位 スイス 11.3
この表は、WHO ( 世界保健機構 ) が2007年度に発表したランキングで、年間3万人以上の自殺者を出している日本は、男女ともに順位が高い。
世界では、男性のほうが女性より2倍以上も自殺者の数が多く、旧ソ連や東欧の北国に、自殺者が多いという現象が明らかにされている。
よく、「 人はなぜ自殺をするのか 」 という哲学的な議論を耳にするのだが、ある人は 「 政治が悪い 」 と言い、別のある人は 「 環境が悪い 」 と話す。
しかし、この表をみるかぎりでは、明らかに政情の不安定な国が上位に無いため、「 政治が悪い 」 という説は、信憑性に欠けるようだ。
日本以上に男女とも上位につけている リトアニア は、緑豊かで、人の穏やかな国として知られているし、「 環境が悪い 」 という説も怪しい。
ランキングをみるかぎり、自然の豊かさとか、経済や産業の発展度といった観点の整合性はなく、先進国が高いとか、後進国が高いという傾向もない。
自殺者の90%に 「 精神疾患があった 」 という統計から、ランキング上位の国々が抱える 「 精神病患者数 」 に関連が深いという説もある。
たしかに、日本は 「 精神病大国 」 と呼ばれるほど患者数が多いけれど、他の上位国が “ そうでもない ” ため、これも決定的な根拠とはいえない。
そうなると、複雑に入り組んだ 「 複合的要因 」 によるという説が浮上するわけで、決定的な原因が特定できないため、対策も曖昧なものとなる。
ところが、先日、ある動物学者の本を読んでいると、「 自殺の原因は、巷で語られているような “ 複雑なもの ” ではない 」 という説が書かれていた。
その学者によると、「 自殺を図る人は、単純に “ 頭が悪い ” だけです 」 という説で、それは、「 生き物の歩んできた歴史 」 をみればわかるそうだ。
人間も含めた生物全般にとって “ 頭の良さ ” とは何かというと、すなわち 「 生きるための知恵 」 であり、それは進化の過程をみれば明らかである。
絶滅を免れるため、ある生物は体毛を濃くして氷河期に耐え、ある生物は外敵から身を守るために翼を得たり、高い木の上で生活するようになった。
天敵から捕食されないように、硬い殻や棘を得た生物もいる反面、自然に順応する進化を遂げない代わりに、道具を使うようになった人間もいる。
そのすべてに共通しているのは、絶滅を防いで、生き残る知恵を学んだ者こそ賢く、そうでない者は、淘汰されてきたという 「 歴史の真実 」 である。
単純明快すぎて、にわかには納得し難い人もいるだろうが、「 頭の良さ 」 という尺度に対する先入観を捨てれば、この説には説得力がある。
先日、30年間も地獄のような 「 タダ働き 」 を強いられていた知覚障害者がいるとの報道を目にしたが、彼らは絶望に耐え、健気に生き続けてきた。
かたや、両親から大事に育てられ、名のある大学を出て上場企業に入ったものの、仕事が面白くないとか、些細な理由で簡単に自殺する者もいる。
線路に飛び込んで電車を止めるのは、こういった 「 自分が バカ なのだと気付かない バカ 」 であり、それこそが、はた迷惑な存在なのである。
純文学を読み、クラシックを聴いていれば教養があり、漫画を読み、ヒップホップを聴いていれば バカ だというのは、単なる思い込みに過ぎない。
毎日、多くのビジネスマンに会い、色々な相談事、悩み事を受けるのだが、「 頭は良いはずなのに、仕事が上手くいかないんです 」 と話す人が多い。
おそらくは、高学歴を根拠に 「 頭は良いはずなのに 」 と話すのだろうが、適性検査を施すと 「 抑うつ状態 」 にあり、精神科に通院中の人もいる。
精神病の場合、患者の ショック を和らげるために “ 心の病気 ” と呼んだりもするが、本来、心が病気になるわけでなく、それは “ 脳の病気 ” だ。
いくら知識や教養があっても、“ 脳が病気 ” なのに 「 頭が良い 」 とは言えないわけで、むしろ 「 上手くいかないのは、脳に問題あり 」 なのである。
もちろん、ストレートに 「 あなたは頭が悪いから ダメ です 」 とは言わないが、少しづつ、価値観や、知恵の使い方を軌道修正させる方策をとる。
過去に何度か 「 自殺について 」 の日記を書いているが、度々、自殺者に厳しいとか、精神障害者、人格障害者に偏見が強いという指摘を受ける。
しかしながら、仕事の性格上、数多くの 「 問題を抱える人たち 」 に対峙する中で、いまのところ、その “ 厳しさ ” は功を奏しているという自信がある。
逆に、「 理解 」 という名の “ 特別扱い ” により、「 あら可哀想、大変ねぇ 」 と甘やかす世間の風潮こそ、彼らを 「 死 」 に陥らせるのではないか。
日本全国で大々的に、「 自殺は バカ のすることで、チョー格好悪い! 」 というキャンペーンを張り、頭の良さ、賢さとは何かを、問うべきだと思う。
実際、事故で四肢を失くしたり、誰もが憐れむ不幸を背負った人ほど健気に生き、自殺する人は概ね、アホ みたいな理由で死んでいるのである。
『 Tonight 今夜の気分 = エンピツ版 』
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1、統計について
「自殺者の90%に 「 精神疾患があった 」 という統計から、ランキング上位の国々が抱える 「 精神病患者数 」 に関連が深いという説もある。」
統計は必ず参考文献名を表記してください。ちなみに、わたしが参考資料に使用するのは(警察庁生活安全局地域課「自殺の概要」)です。
これを見る限りでは、高齢者の自殺が多く、リーマンの自殺は職業別で見れば多いものの、無職者にはかないません。
精神疾患を理由とした自殺は、10%にとどまっております。2004年の理由別で検証すると、高齢65%、無職10%、経済的問題5%、精神病10%、その他10%です。
私がいままで自殺研究をしてきて思うのは、精神疾患が自殺のシンボルであるとは、あまりに考えにくいということです。自殺の基本は高齢者です。
2、環境の視点から
「日本以上に男女とも上位につけている リトアニア は、緑豊かで、人の穏やかな国として知られているし、「 環境が悪い 」 という説も怪しい。」
環境といったときに。「緑」「川」「自然」を連想するのは、乱暴すぎると思います。むしろ、環境問題の定義は、人が一定に死ぬ必要性を論じたものを指します。
戦争の多い国は自殺者が多いという乱暴な意見もあります。しかしながら、WHOの統計を見て解るとおり、戦争のあるなしに関係ありません。私も環境論は管理者の言うとおり怪しいと思います。
3、政治・経済の問題から
「しかし、この表をみるかぎりでは、明らかに政情の不安定な国が上位に無いため、「 政治が悪い 」 という説は、信憑性に欠けるようだ。」
政治とはなにを指すかが重要な要素となると思います。たとえば、簡単に「社会保障」で考えます。すると、信憑性にかけます。確かに、発展途上国の社会保障は先進国と比べて充実してはいません。日本は、社会保障の少ない国ですし、韓国はそれ以上少ない。上位10位だけ見ると社会保障論でもやっていけそうですが、ノルウェーが割と上位にあることから考えにくいのです。(2007 WHO)
しかし、バイオ・ポリティックスの視点から見れば、いとも簡単に理解できます。社会保障政治ではなく、生-政治の観点から見れば、この順番は恐ろしいほど一致します。
生-政治及び生-権力の指標としてこれらをあげます。
1、治安維持法はあるか
2、公衆衛生法はあるか
3、医療化の程度
4、死刑制度はあるか
5、保安処分はあるか
6、競争社会か
これらの観点から考えて、バイオ・ポリティックスは自殺者をだす政治的な要素が高いことがいえます。
たとえば、殺人犯のうちの数人は「死刑にされたくて人を殺した」といいます。これが生-政治のデメリットであり、リスクのない社会の危険性です。死刑廃止をして犯罪者が減少することは、ここに理由があるのです。
生存依存こそに自殺の根本があります。
このような観点から、考えることもできると思います。
長期不在のため、返信が遅れましたことをお詫び申し上げます。
1、統計について
精神疾患が90%というのは、自殺の 「 理由 」 ではなく、自殺企図時の 「 状況 」 を指しています。
未遂で終わった者の聴取、未遂、実行者を含めた精神科、心療内科の通院治療暦から、当時の精神疾患を判断したもので、どの文献だったか記憶は定かでありませんが、ご納得いただける資料が存在するはずです。
ご指摘の通り、年齢分布でみると高齢者が多く、自殺の理由についても高齢ならではのものが最大です。
2、環境の視点から
仰る通り、自然背景だけを 「 環境 」 と捉えるのは乱暴すぎました。
今後、表現には注意いたします。
社会を取り巻く環境全般をみた場合、特に日本の場合は 「 死者に鞭打つ 」 ことを善しとしない文化風土にあり、自殺の是非や抑止についても、具体例を対象としては、あまり追求を深めない傾向にあると感じています。
また 「 侍の切腹 」 に代表されるような、集団に対する忠誠からの自死と、それとは真逆に、最近の若者に多くみられるような、仲間との共同性を維持できない個人主義による自殺を、同一視しがちな人々が多いことも問題でしょう。
もし、環境が自殺に影響を与えているとするならば、自殺に寛容な社会か、否かが、挙げられるように思います。
3、政治・経済の問題から
日本の社会保障が “ 少ない ” という点は、マクロ的にみれば当てはまる要素もありますが、はたして、その通りかどうかは疑問もあります。
たとえば、近年の中国と日本を比較した場合、全体的に所得格差が小さく “ 社会主義国家 ” に近いのは、むしろ日本のほうです。
日本人の集団主義的な価値体系や内的世界観は、けして “ 脱落者を出しやすい社会 ” を形成しておらず、自殺の原因を政治・経済の仕組みに求めることは、世界的な基準に照らすと 「 間違い 」 でしょう。
後半の 「 殺人 」 に及ぶ危険という点は、3月29日付けの 『 自暴自棄が生み出す 「 間接自殺 」 という殺人 』 に、自分の考えを示しております。
最後になりますが、私は “ この人ほど不遇なら、自殺しても仕方ないかな ” と思うような人が、逆境に耐えて必死で生きている一方、なんでもないようなことで安易な死を選ぶ御仁の多いことに、日頃から憤りを感じつつ、暮らしております。
もちろん、ご本人にしか理解できない苦悩もあって、単純に他人の苦しみと比較することはできないのでしょうが、なんともならんものなのでしょうか。
自殺者数を 「 0 」 にすることは不可能かもしれませんが、せっかく生まれてきたのだから、命あるかぎり、できるだけ多くの人が人生を楽しんでもらいたいと願っております。
今後とも、お気づきの点がございましたら、コメントを賜りたいと存じます。
有難うございました。
危険な思想だ・・・。日本的とも言えるけど
天才は別ですね。
凡才ほど自殺せんわな。傑出したもんがしがち。
歴史が証明しとるよ。
じゃあ一部の人間は動物よりも脳みそが足りない馬鹿なんだね。
食べて寝ることに満足してキャンキャン吠えてるだけの犬は自殺しないし人間より頭がいいのか。
生きるのが辛いからこそ自殺という逃げ道を選ぶのであってその要因は人それぞれ複雑に絡み合っている。
他者から見たほんの一部の視点でつまらないと決めつけるには思考が狭すぎる。
自殺を止めるために自殺を馬鹿にする。
そこにどんな効果があるのか言いたいことは理解できるが共感できないし自殺がなくなるとは考えられない。
精神が弱い人間がさらに追い込まれてしまう場合だってある。
難しい考えはなしに人間一人ひとりがはっきりとした役割を持ってそこに生きがいを感じられれば自殺は大幅に減るのではないかと思う。
自殺する者の心に他者評価は響かないからです。
ただ、貴殿のように自殺に思い至らない人は、きっとこの世を強く生き抜いていけるんだろうなと、素直に羨ましく思います。
これは理解できるでしょうか?
統計を計ることも大事ですが、あくまでその本質を探るため、改善のための糸口、一要素であると理解すべきです。
計りし得ない、ましてや理解の仕切れないことに対し、こうするべきである、こうであるべきなどという言葉は傲慢以外のなにものでもありません。
できるのであれば、客観的に別の問題に置き換えて考えてみてください。
自分の理解し得ない、その本質を説明もできない事柄に対し、こうであるべきだと声高々に宣言する人間を頭の良い人だと感じるのでしょうか?
”単なる無知よりも,無知であることへの無知こそが知識の死である。”
これは正に、この記事を書いたあなたへぴったりの言葉だと思います。