時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

燃え上がるインフェルノ:ロンドン高層ビル火災

2017年06月17日 | 特別トピックス

 

 Hieronymus Bosch (c.1450-1516), Inferno, details



 ロンドンの高層ビルの大火災(6月14日発生)のニュースを知って、たちまちいくつかの前例が脳裏を走った。1911年、ニューヨーク市のトライアングル・シャツウエイスト・ファイア事件、映画ではあるが、1974年度のアカデミー撮影賞、編集賞、歌曲賞を受賞した、The Towering Inferno 「タワーリング・インフェルノ(地獄の業火)」、バングラデッシュの繊維工場の大惨事など、このブログにも取り上げたものも多い。さらに、9.11のワールドトレード・センターの同時多発テロなど、大きな火災に関連するイメージが次々と浮かんでくる。かつて、ロンドンのホテルでは、筆者自身が宿泊したホテルで火災に遭遇したこともあった。これらの経験は、多少ブログに記したこともある。

今回のノース・ケンシントンのグレンフェル・タワービルは高層の公共住宅ビルで、24階、127のフラット、そのうち20階が住宅に当てられており、下の4階が商業施設と住居施設が混在している。2010年に改修工事が終了したことになっている。死者は当初の予想を上回り今日現在では30人近くに達するのではないかと憂慮されている。さらに確認できない居住者の数はさらに増える模様だ。火災の実態があまりにひどく、発生時にビル内にいた人の確認はかなり困難なようだ。正確な死傷者の確認にはかなりの時間が必要と推定されている。

40台の消防車と200人以上の消防隊員が、消火活動に当たったが、ビルはほとんど壊滅的な惨状を呈してようやく消火にいたった。最初に発見された犠牲者がシリアからの難民Mobmmed Alhajall であったことは、この火災事故の本質を語っている。この難民は兄弟で14階付近で救助にあたっていたが、別れ離れになり、兄は命を落とした。事故発生当時、このビルには400-600人が住んでいたのではないかとの推測もある。現場は低所得者層住宅の多い地域であり、貧困家庭の比率もイングランドでは有数の高さだったようだ。多分、非合法移民の家族なども住んでいたのだろう。

火災の発生原因は未確認だが、発生階は地上4階付近と見られている。エレベーターも機能しなくなり、上層階の住民はビルの外へ逃れることも極めて困難なようだ。ビル内部の構造が発表されているが、Ground floor (1階) から4階までは事務所、商業施設、住居などが混在しておりそれ以上の階は住居になっていた。23階まで中心部に2基のリフト(エレヴェータ)が並んでおり、その裏側に階段が設置されていた。階段やリフトを立ち上ってくる煙や火炎は、脱出者にとって、文字通りインフェルノだったろう。公式には127戸の住居、24階のビルであり、2000箇所を超える改装工事が終わっていたという。同様な設計・工事の低所得者用ビルなどは、落ち着いて寝てもいられないだろう。

今回の大火災事故の包括的報告書の発表は、かなり先になるようだ。現時点で注目されるのは、改装されたばかりの外壁に、可燃性の断熱材が使用されていたらしいというニュースである。過去においては、こうした大災害は、その後の時代に向けて、様々な予防、防止政策導入の契機となったが、今回はいかなる教訓を学ぶことになるだろうか。

人間は過去の大災害から、どうも真摯に学んでいないらしい。支援物資だけは到着していると伝えられるが、善意だけでは災害を防止、癒すことはできない!


★このたびの痛ましい事故で亡くなられた人々に、深い哀悼の意を表したい。

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