オクテック ガレージ ブログ OKU-TEC garage

大した人生ではないけれど,それでも読み返せば思い出されるあのときのこと.消えないように,そして生きた証になるように

“なんちゃって旋盤工”なので 旋盤によるネジ切りは真剣勝負 

2013-11-16 05:42:49 | 工作
依頼品の加工で久しぶりに旋盤と真剣に戯れる日々.

どこかの鉄工所でやってもらったら無残にも失敗したというので,友人を介して数ヶ月前に私の元に依頼が来ました.




アレコレ失敗箇所を「アハハ」と苦笑いしながら説明してくれる依頼者.
私も「アハハハ」と笑いながら聞いているけれど,自分が失敗しないと限らない.
同じように失敗すれば,次はどこかで笑われる羽目になる.
「明日は我が身」なので否応なしにハードルが上がってしまいます.


製作する部品の一つが棒の先っちょに取り付ける“延長する部品”.
先端にはピッチ1.0mmの逆ネジを切らないといけない.


雄ねじを切る方法は二つ.
ダイスと呼ばれる専用工具で切る方法と旋盤を操作して切る方法.
ダイスによるネジ切りはそのサイズに合ったダイスを買わないといけないですが作業は簡単.
対して旋盤でのネジ切りはギヤの掛け替えだけでいろんな種類のネジが切れるのですが,操作が複雑で面倒な
作業となるため,マニア以外はあまりやりたがらない方法です.




ダイスも細いネジ用なら2~3千円でありますが,今回のような太いサイズでしかも逆ネジでピッチが細かくなると
1万5千円くらいします.

工具代を上乗せしても良いと言われましたが,それも気の毒な話しなので久しぶりに旋盤でネジ切りをすることにしました.


プロの旋盤工ならすぐに頭の中で加工工程が描けるかと思うのですが,所詮は素人“なんちゃって旋盤工”
物覚えが悪いのに加え,物忘れも激しいので,先ずは加工工程を考えて紙に書き出してみます.

それを元に実際に削ってみると,いろいろと修正が必要なのが見えてきます.
修正を加えながら,作業をすすめていくわけですが,こういった所に必要以上に時間を費やしてしまうのもまた
素人なところ.

熟練者は正確に加工するだけでなく,短時間でやってのけるのがすごい所なのです.



先日ツールワゴンに取り付けた譜面台が役に立ちます.




ネジ切りも参考書を読み直して勉強し直しです.

旋盤でネジを切る場合,一回でネジが出来る訳ではなく,バイト(刃物)に負担が掛からないように,
少しずつ何度も何度も繰り返し削ってネジを形成します.

三角関数なんてので切り込み量に対して横にずらす量を計算なんかしたりします.



繰り返しの操作をしていると,「あれ? 今何度目やったかな?」と,記憶力の無さが露呈してしまいます.
なのでそのダイヤル操作も紙に書き出して間違いが起きないようにします.
要領悪いなあと自分でも感じます.




先ずは一個作ってみて要領をつかむことにしました.

少しずつネジを切っていくのですが,同じ位置で切り始めないとネジがなくなってしまうので
クルクル回る“ダイヤルインジケータ”を見ながら,所定の目盛りの位置に来たら“ハーフナットレバー”を
入れてあげないといけません.





クルクル回る目盛板に神経を集中し・・・・・





「ここぞっ」てところで“ハーフナットレバー”を入れてやります.




こんな事を地味に繰り返しネジを切っていくわけです.




地味な作業と言いつつも,単なる鉄の棒がネジに変わっていく様は何とも言えない気持ちにさせてくれます.


何個か失敗作を作った後に一つ出来たので,あとは失敗のリスクの少ない所で工程を分けて製作しました.
同じ作業を繰り返すことでも失敗のリスクが減ることが実感できます.





下ごしらえをした部品で最後のネジを切り損じたら一から作り直しになるので,誰も来ないときに一人で作業します.

私にとって“真剣勝負”.





図面が与えられるわけでもなく,寸法公差は依頼者の“このくらい感覚で”.

図面公差を追うのも難しいですが,依頼者の意図を想像しながら仕上げないといけないのは,作業ごとに迷いと悩みが
つきまといます.

純然たる機械加工の難しさではない,難しさ.
辛くも有り楽しくも有りってな感じです.




まだまだややこしい作業が続きます.
ではまた
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