杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・佐藤正久(元イラク先遣隊長)の脱法発言

2007-08-15 04:16:44 | 憲法問題
既に、いろいろなブログでも話題になっていますが、「駆けつけ警護」を行うつもりだったという、佐藤正久元イラク先遣隊長(現参議院議員)の発言は大きな問題です。

8月10日にTBSでなされました報道から・・・・・・・

集団的自衛権に関する政府の有識者会合は、PKO=国連平和維持活動を行う自衛隊に対して、正当防衛を超えるために憲法上できないとしてきた「駆けつけ警護」(味方である他国の軍隊が攻撃された場合、駆けつけて応戦するもの)を認めるべきだという意見で一致したとの報道があった。

これに際して
イラクに派遣された陸上自衛隊の指揮官だった佐藤正久氏は、
当時現場では、事実上の「駆けつけ警護」を行う考えだったことをJNNの取材に対して明かしたということで
「自衛隊とオランダ軍が近くの地域で活動していたら、何らかの対応をやらなかったら、自衛隊に対する批判というものは、ものすごく出ると思います」
「巻き込まれない限りは正当防衛・緊急避難の状況は作れませんから。目の前で苦しんでいる仲間がいる。普通に考えて手をさしのべるべきだという時は(警護に)行ったと思うんですけどね。その代わり、日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」(元イラク先遣隊長 佐藤正久・参院議員) 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
つまり、
もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだった、ということです。

この佐藤氏の発言は、
3つの点で大きな問題だと思います(私見)。

1 現場ではシビリアンコントロールが働かないことがあきらかになったこと。
2 佐藤氏がこのようなことを正義に照らして正しいと思っていること(「日本の法律で裁かれるのであれば喜んで裁かれてやろうと」)
  <自衛官のもつ価値観の危険性>
3 このようなことを、佐藤氏が(心の中で思ったというにとどまらず)平気で言っていいと思える環境が自衛隊の中だけにとどまらず社会の中にもある(と認識している)こと<社会全体の意識>

特に、国民がこのままこの発言を見過ごすことがあれば、佐藤氏が認識している3のような社会の現状(そう思ってよい、そう公言してよい)を、国民が認めたことになってしまいます。

現場で9条がなし崩しにされていくことの重大性について、他のマスコミがなぜもっと取り上げないのでしょうか。
この問題の重大性をワイドショーなどでも分かり易く解説すべきです。
多くの人から意見が出されるべきですし、何より憲法・9条の遵守を敏感に感じることの出来るはずの弁護士が、この問題を放置しておいてはいけないと思います。


この問題についていち早く指摘し、多くの意見を集約されている
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊) さんのブログを紹介させていただきます。
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005 


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12 コメント

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こんにちは。 (bando)
2007-08-15 06:29:11
佐藤さんの発言の意図は分かりませんが、正直に話してくれたことに関しては感謝したいと思っています。
戦争が始まってしまえば、法がどのようにあろうともそれがなし崩しにされてしまうのはどうしても仕方のないことだと思っています。だから、九条堅守なのだと思います。

昨日NHKのハイビジョンで「マニラ市街戦」についての番組を見ました。結構良かったです。NHKのことなので又再放送が何度も有ると思います。お勧めです(^^ゞ。
「脱法」宣言には当たらない (宇宙戦士バルディオス)
2007-08-15 16:22:38
 と私は思います。
 なぜなら、「もしオランダ軍が攻撃を受ければ、「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」という状況を作り出すことで、憲法に違反しない形で警護するつもりだった」
 ということは、正当防衛・緊急避難の状況となった上で武器使用を行うという意味であり、実行したところで、法律(イラク特措法)に何ら違反しないからです。
 ですから、総理大臣が有する最高指揮権を踏みにじったことにはならず、何らシビリアン・コントロールから逸脱してはおりません。
 違反するというなら、条文を根拠に主張するべきでしょう。ヤメ蚊という人物も、おかしな事を主張する人物ですね。
ヒステリー (ふ)
2007-08-15 23:39:35
「巻き込まれる事で・・・」もし自衛隊員が数人死亡すれば、世論はどう動くでしょうか?

マスコミが煽り、冷静さを失った国民はどんな動きをするんでしょうね。
「脱法」とは言えるけど「違法」ではない (鉄甲機)
2007-08-16 00:33:39
と思います。
 私の受けた感じでは、自衛隊をイラクに派遣した当時の政府は「とにかく戦闘はするな」「死傷者を出すな」が至上命令だったような雰囲気でしたし。そういう思惑を受けてイラク特措法が成立したのなら、法の網の目をくぐり抜けた行為ですね。佐藤さんも勇ましいことを仰ってますが、遡及法が許されない以上、栄転はあり得ないが更迭左遷ですむと思っていらっしゃったでしょう。余談ですが、阪神淡路大震災の時も、何故かあまりに出ない出動命令に業を煮やして、更迭覚悟で出動しようとした指揮官がおられたそうです。

1 シビリアンコントロールについては、政府が法改正でこういう行為を禁止するようにすれば良いだけのこと。それで現場が改正された法を遵守すれば問題なし。皆さんが懸念されておられる関東軍とは、かなり事情が異なります。
2と3 「このようなこと」=「日本を警護してくれるオランダ軍が敵対勢力に襲われ、窮地に陥った場合に援助にいくこと」 …どう見ても「正義」です。まったく日本や世界の人々に受け入れられやすい話ですね。ビンラーディンさんですら認めてくれるでしょう。
 単なる感情論なのも事実ですが。

 マスコミがこれの報道に及び腰なのは、この話が皆に知られるところになって、「友好国が攻められてるのに、日本が知らんぷりなのはおかしい」「一国平和で良いのか」という真っ当な声が挙がるのを恐れているのでは、と邪推しているものであります。
単純な疑問ですが (宇宙戦士バルディオス)
2007-08-16 20:13:13
 「違法」は法律上の用語ですから理解できるのですが、「脱法」とは正規の法律用語なのでしょうか?
 正規に定義付けされた用語でないならば、少なくとも法律家たる者が使用すべきではないと思いますが。でないと、このような用語を使用した主張は「言いがかり」以上のものにはならないからです。
お二人様 (TOJC)
2007-08-20 18:28:22
ゲリラ活動で国民の安全を脅かすことを考えるバカですが、武官の次官が、直属の文官の上司に逆らうことまであっても、シビリアンコントロールがきくと思えるほど私はおめでたくないです。ましてや、前線でホントにコントロールできると考えているのですか?軍隊を持たずに国を守る以上に理想論という気がしますが、、、
戦前と戦後の違い (宇宙戦士バルディオス)
2007-08-21 22:09:49
をはっきりと認識されてから、ご発言された方がよろしいのではないでしょうか?

>武官の次官が、直属の文官の上司に逆らうことまであっても、

 現在の防衛省事務次官は、武官ではありません。


>前線でホントにコントロールできると考えているのですか?

 できます。戦前との違いでいえば、内閣文民制(軍部大臣現役武官制の否定)と総理による閣僚罷免権がありますから。
 戦前、軍部が政治を操ることができた最大の要因は、武力を持っていたからではなく、軍部大臣現役武官制があったからです。軍部大臣を出さないことで、気に入らない政権は、合法的に倒閣させることが可能でした。現代では、もちろんこんなことは不可能です。まず、防衛省を含む閣僚には、現役武官(現役自衛官)はなることができませんから、上記のような真似はできません。
 また、出先指揮官に対して、内閣意図通りの命令指示を出さない防衛大臣を、総理は随意に罷免できます。また、高級幹部自衛官の人事は閣議決定事項ですから、総理の意を示すことができます。
 戦前のように、内閣の意図を外れた軍人が、陸相・参謀総長の人事権に守られて、地位を保つようなことはあり得ないのです。

 朝鮮戦争を思い出しますと、ワシントンの意図に反して満洲への戦線拡大を主張するマッカーサーを、トルーマン大統領は人事権を行使することでこれを罷免し、リッジウェイに替えることで、シビリアン・コントロールを維持しました。
 このように、人事権が文民内閣にあることで、十分以上に最前線のシビリアン・コントロールは守れるのです。それは歴史が証明しています。
宇宙戦士様(気分をかえて) (TOJC)
2007-08-22 11:26:12
戦前と戦後の違いの認識がないのはあなたも同じでは?あまりにも戦前のままのものを今に合わせようとしていませんか?私でも守屋次官の経歴は知っていますよ。広義に考えすぎているのかも知れませんが、仮に彼が退職後、続きで大臣になるとしたら、武官扱いされる気がしますが。。。戦前とは違いがあってもおかしくないと思うのですよ。
あなたは戦争はすべて国権の発動(閣議決定)であると、正しい主張をされています。以前もお尋ねしたのですが、戦争が国権の発動であるならば、9条の解釈として、戦力保持はおかしくないですか?その状況下での、自衛隊の位置づけも関係しますよ。

>シビリアン・コントロールは守れるのです

前線の全将兵に効果があるとは思えません。虐殺・捕虜拷問・婦女暴行・略奪等、閣議決定されていないことは起こることはないのですか?それとシビリアン・コントロールは違うとおっしゃりたいでしょう?すべて、コントロールできないと、どこで先制攻撃がなされるかわかりませんよ。その攻撃には閣議決定がなかった。と、発表しても、先制攻撃された「あなたの言う侵略的性向を有する軍事大国=私は認めてませんが」は認めるでしょうか?

それよりなにより、総理が最も戦いを望めばシビリアン・コントロールなんてねえ、、、、、、
されません (宇宙戦士バルディオス)
2007-08-22 20:39:01
>仮に彼が退職後、続きで大臣になるとしたら、武官扱いされる気がしますが。

 そんなこと言ったら、守屋氏の方で怒るでしょう。
「オレは、そんな下郎ではない!」と。


>戦争が国権の発動であるならば、9条の解釈として、戦力保持はおかしくないですか?

 9条を読み足りないのでは?
 9条が禁ずる武力行使(戦争)は、「国際紛争を解決する手段」としてのみに過ぎません。ですから、これ以外の目的を持った戦争は憲法に違反しないし、それを実行する「自衛力」もおかしくないのです。


>すべて、コントロールできないと、どこで先制攻撃がなされるかわかりませんよ。

 先制攻撃をやろうにも、我が国がどこで先制攻撃を行うのですか?地理的に、現在のわが国では不可能です。次に、戦争には予算の裏付けが必要です。予算も確保できないのに、戦争を始める馬鹿は、(極一部を除いて)おりません。
 戦前には、主観的ではあっても、守るべき権益が大陸にありました。だから満州事変という形で戦争に訴えたのですが、今の日本には戦争に訴えてまで守らなければならない在外権益は皆無です。だから、我が国が先制攻撃を行う必然性は皆無です。


>先制攻撃された「あなたの言う侵略的性向を有する軍事大国」は認めるでしょうか?

 加害者に認めさせる必要はありません。国際世論に認めさせれば良いのです。国際世論とは、要するに超大国の世論を指します。もっと分かりやすく言えば、米国です。
宇宙戦士様 (TOJC)
2007-08-23 11:39:27
あなたを、法に詳しく感情に訴えない冷静な方と思っています。だから「改正か自主憲法か」ということについてもあなたを称えたコメントを書きました。
しかし、、、

>オレは、そんな下郎ではない!

感情的ですね。私も彼が個人的にはそんなことは望むとは思ってはいませんよ。文武の判断を伺っています。

>国際紛争を解決する手段以外

具体的に幾例か教えてください。

>我が国がどこで先制攻撃を行うのですか?

以前私が質問した領海と公海の境界やイラクであっても不可能ではないでしょう?

>守るべき権益が大陸にありました

有史以来存在した権益ですか?そんなことはないですね。意図的に権益が発生したわけですよ。今後発生しないとなぜ言えるのですか?

>加害者に認めさせる必要

とりあえず、先制攻撃をされた側は「被害者」と思うのですが。。。

>国際世論とは、要するに超大国の世論を指します。もっと分かりやすく言えば、米国です。

国際法にとことんこだわるあなたらしくない!従軍慰安婦の件は認めるのですね?原爆投下も正当なのですね?東京大空襲も正当なのですね?だから、イラク戦争は侵略戦争ではないのですか?

Unknown (宇宙戦士バルディオス)
2007-08-23 19:16:38
>文武の判断を伺っています。

 一度も制服を着る職務に就いたことにない人間を「武官」として扱うような国が存在したら、是非行って確認したいので、具体的な国名をお教え願います。


>具体的に幾例か教えてください。

 自衛権を行使する場合、国連の集団安全保障に参加する場合等が、それに該当します。


>以前私が質問した領海と公海の境界やイラクであっても不可能ではないでしょう?

 で、そこから先はどうなります?どうやって内閣を納得させて予算案を組み、どうやって国会を通しますか?少し考えれば、先がなくて、現実性がないことが分かります。


>今後発生しないとなぜ言えるのですか?

 戦前の我国は、国内で養えない人口増加に悩んでおり、これを送り出す先を必要としました。また、日英同盟が破綻して以後、有力な同盟国がなく、単独での国防を追及せざるを得なくなり、必然的に防御ラインを大陸に、努めて前方に出さざるを得なくなった。これらが、戦前の我国が大陸に権益を求めた理由です。
 ところが、戦前はこうした理由が皆無になりました。日本本土だけで十分過ぎるほど国民を養えるし、少子高齢化のお陰でその傾向は強まるばかりです。また、自由貿易体制のために、資源は幾らでも世界中から買えるようになりました。そして、超大国の米国というこの上ない有力な同盟国を持っているので、大陸に防御ラインを築く必要もなくなりました。このような状況は、日米安保を日本が破棄するというような愚挙でも犯さない限り、なくなりそうもありません。だから、発生しないと言えるのです。


>先制攻撃をされた側は「被害者」と思うのですが

 我が国は、先制攻撃を受ける側だということを、お忘れなく。朝鮮戦争当時、国連安保理は北朝鮮の南侵を即座に侵略と認定しました。実際の戦争では、先制攻撃をどちらが先に行ったかは、結構簡単に分るものなのです。


>従軍慰安婦の件は認めるのですね?原爆投下も正当なのですね?東京大空襲も正当なのですね?だから、イラク戦争は侵略戦争ではないのですか?

 米国の世論にも、間違うことはあります。そのときには、事実をプロパガンダして、我が国に有利になるような工作をする必要もあるでしょう。まずは、河野談話を否定して、当時の資料を英訳し、米国にPRする必要があるでしょう。それから、慰安婦の主張には証拠が皆無だということも、同時に訴えなければなりません。
宇宙戦士様 (TOJC)
2007-08-27 23:50:53
>自衛権を行使する場合

国際紛争でないのはどういう場合ですか?

>原爆投下も正当なのですね?東京大空襲も正当なのですね?だから、イラク戦争は侵略戦争ではないのですか?

慰安婦以外のお答えは???

>我が国は、先制攻撃を受ける側だということを、お忘れなく

議論がまったく噛み合っていませんね。。。

>どうやって内閣を納得させて予算案を組み

あなたの仮想敵国は日本侵略の時、予算をどうするのでしょう?
「憲法に違反しない形で警護するつもりだった」が実行される状況が発生し、継続したら、予算はどうなりますか?事実が先行しますよ。

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