杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・沖縄で教科書検定意見の撤回集会 ~ 11万人余

2007-10-02 03:27:12 | Weblog
戦争中の「沖縄戦の集団自決に日本軍の強制があった」とする表現を修正させた高校日本史の教科書検定問題を巡り、沖縄で集会があり、そのことの報道が新聞をにぎわせました。

集会に10万人を越すなどというのは数十年前の安保闘争のころ以来とのこと。
そして、驚いたのは、会場へ向かう市民が、新聞の端に印刷されたマークを持っていくとバスがタダになるというのです。多くの市民が新聞片手に会場へ向かったということですが、バスが満席で、結局乗れない人、諦めて会場へ行けなかった人もあるということです。

公共の乗り物が、このようなときに市民の足になり、市民の表現行為を助けたということです。すごく心を動かされる一丸となった島の動きだったのですね。
このように市民が動けることは、気持ちの救いになりますね。

ところで、このような動きに対して、町村長官は記者会見で「沖縄の方の気持ちは、政治家としてしっかり受け止めて対応する」と述べていた、というのですが
気持ちの受け止めの問題ではないんではないでしょうか。



<読売新聞から>

教科書検定意見の撤回を求め、気勢をあげる県民大会の参加者(29日午後、沖縄県宜野湾市で)=板山康成撮影 沖縄戦の集団自決に日本軍の強制があったとする表現を修正させた高校日本史の教科書検定問題を巡り、検定意見の撤回を求める超党派の沖縄県民大会が29日、同県宜野湾市の宜野湾海浜公園をメーン会場に開かれた。

 約11万6000人(主催者発表)が参加し、「集団自決が日本軍の関与なしに起こり得なかったことを伝えるのは我々の責務」とする決議を採択した。決議文は10月中旬、福田首相、渡海文部科学相、全国会議員に提出する。

 県議会、県遺族連合会など22団体でつくる実行委員会の主催で、県と県内の全41市町村が参加。米兵による少女暴行事件を発端に約8万5000人(同)が集結し、日米地位協定の見直しを求めた1995年の県民総決起大会を上回る規模で、「島ぐるみ」での政府への異議申し立てを印象づけた。

 大会では、実行委員長の仲里利信・県議会議長が「(戦争体験者の)重い証言を軽々しく扱っているとしか思えない」と述べ、仲井真弘多知事は「記述を削除、修正するため県民を納得させるだけの検証を行ったのか」と遺憾の意を表明した。集団自決を生き延びた男性は当時の状況を訴え、高校生、県子ども会育成連絡協議会会長らは「次の世代に本当の歴史を伝えるべき」とするメッセージを読み上げた。

 検定意見では、近年になって軍の強制があったことを否定する学説が出ていることや、当時、沖縄の守備にあたっていた特攻艇部隊の隊長らが「集団自決を命じたと記述された書籍で名誉を傷つけられた」として出版社などに賠償を求める裁判を起こしたことなどから、強制の記述について教科書会社に修正を求めた。




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56 コメント

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歴史認識の一歩に (志村建世)
2007-10-02 18:37:06
集団自決を自然災害のような書き方にされて、沖縄が怒るのは当然です。11万人の力で再修正への動きが微妙になってきました。歴史認識共有の第一歩になればいいと思います。
すべての審議会は政府の提灯持ち (Devlin)
2007-10-02 18:55:06
>気持ちの受け止めの問題ではないんではないでしょうか

そこはそれ、一般庶民の「気持ち」と、政治家とりわけ大臣の「気持ち」はまったく位相が異なる、ということなんでしょう。「集団自決」削除の是非で、どちらが是でどちらが非かということを明言すれば、その発言に自分が拘束されてしまうからです。ですから町村さんの発言の真意を試みに解釈してみるならば、そんなに大勢の集会になるとは思わず、「困った・・・(気が進まないけれども)無視するわけにはいかなくなった」、という感じになるんでしょうか。

問題の根幹には教科用図書検定調査審議会の日本史小委員会と、その審議制度の運用にあります。ところが実際には何の審議も行なわれず、文部科学省の調査意見を追認したにすぎなかったことが9月12日の時点で発覚しています。沖縄戦の専門家がいなかったため、議論にならないから話し合いもなかったのは「歯痒い思いだ」と語った委員すらいるんです(下記沖縄タイムス記事参照)。審議会を政府が恣意的な運用をした疑いは濃厚です。沖縄の人々の怒りはここにあると思います。ヤマト(本土)のマスコミはこのような報道をしませんから、どうして沖縄はそんなに怒っているんだ、と思う人がいても不思議ではありません。

政治家が審議会に介入できないなどと言いながら、結局は政府・文部省主導で答申を出させた責任については頬かむり。町村さんも文部科学相・渡海紀三朗さんも「(中立で)公正な手続きに基づいている」と言い募り、渡海さんもまた「沖縄県民の気持ちに何ができるか、いろいろと考えたい」と述べています。自分や政府には責任がないという姿勢を通したい、というわけです。

審議会の結論は尊重しなければ、制度上の欠陥が問題になってしまいますから、審議委員に対して面子が立たない。ですから審議会にも責任はない、ということにしたいのでしょう。政府が審議会の結論を動かすのではそもそも審議会とは何だったのか、というジレンマに立たされてしまう。まさに「困ったちゃん」状態になっているわけですね。というわけで出てきた「気持ち」という表現、その実体には何の中身もない空疎な言い逃れに過ぎません。

ですが、何もしなければ沖縄県民の怒りの火に油を注ぐことになります。そんなわけで官房長官も文相も鎮火へと動かざるを得ないし、事実、動き始めた。それこそ政治家の介入になるじゃないか、と言われるジレンマも自覚しているはずです。政府は自らが構築したシステムのどの部分にも、なるべく傷を与えない方策を考え出すのに腐心しています、また大阪地裁の岩波訴訟にも影響がでない方法も。本音はそこにあります。どこかに傷ができたら、その部分は絶好の攻撃対象にされてしまうでしょうから。

沖縄タイムスを資料に、同社の協力を得られれば、今国会で政府を徹底追及する価値は大いにあると思います。一般に、分野に限らず「審議会」ほど胡散臭い会合はない、と信じて疑いません。その圧倒的多数は御用学者ではありませんか。ね、そうでしょ?


http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070916.html#no_1
[「集団自決」軍命削除] 文科省の意図が見える(沖縄タイムス社説2007年9月16日)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709121300_01.html
検定 審議実態なし/小委、文科省意見を追認 「集団自決」軍命削除/沖縄戦研究者は不在(沖縄タイムス2007年9月12日)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706231300_01.html
文科省「関与」鮮明に 修正前提の審査求める 「集団自決」検定(沖縄タイムス同6月23日)

事実経過:
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200603301300_02.html
「沖縄戦の記述減/高校教科書」後半: 消えた「軍の残虐行為」/「自決強要」も自主削除(沖縄タイムス2006年3月30日)
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/syudanjiketsu.html
沖縄タイムス:沖縄戦「集団自決」問題特集一覧(総集編)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/tosho/meibo/06022718.htm
教科用図書検定調査審議会委員名簿・臨時委員名簿(2006年3月1日~3月31日)
シャトルバス (鉄甲機)
2007-10-02 23:06:24
>新聞の端に印刷されたマークを持っていくとバスがタダになる
 単に主催者或は後援(応援?)している新聞社がチャーターしただけではないかと思う私は、商業主義に毒されすぎでしょうか。

 報道を見る限り検定撤回派の方々は、関与・強制・命令、この三つを意図的に混同しておられるようですね。
>「集団自決が日本軍の関与なしに起こり得なかったことを伝えるのは我々の責務」
 沖縄戦の集団自決を学習するに当たって、日本軍の関与を否定するような無能な教師がいるとお考えなのでしょうか。だいたい教科書のたった数行で、「日本軍が自決を強制した」と入れるだけで、すべてを理解できるほど沖縄戦は単純なものだったのでしょうか。
 「悪の日本軍」というレッテルを貼ることは、戦争の非情さを見損なわせ、悲惨な沖縄戦の実情やその悲劇を招いた背景を見誤らせる可能性が高いと思うのですが。
単純なことから (杉浦ひとみ)
2007-10-03 02:38:38
バスがタダという話は、また聞きです。すみません。
ただ、参加するときの「足」まで考えることは、仮に支援側が行ったこととしても、あっぱれだと思います(ある党が、選挙に病院からストレッチャーで送迎するというあっぱれ(?)も噂で聞いたことがありますが)。


日本軍が強制した、と入れない場合に沖縄民の特殊性とか、天皇への忠誠とか、もっとおかしなことになったりはしないでしょうか。ことに真実に近い単純なことをまず伝えることも重要かと思います。
なぜ自決だったのか (中年男性)
2007-10-03 04:52:03
なぜ、自決されたのか?
日本軍の兵隊さんが、強制したから?

ならば、両手を上げて降伏すれば、助かったの?

その無垢の民がいる沖縄に無差別艦砲射撃をしたのは誰?

その沖縄を守る為に、鹿児島から飛び立った飛行機は・・・

もう少し、冷静に、多面的に見た方が良いかと思います。

蛇足:11万人ですか・・・沖縄の人も大変だったでしょうね。私の地元も8・6になるとわけのわからん人達がたくさん来てますから。
検定の責任を明らかに (ken)
2007-10-03 22:21:58
 なんか、沖縄県民の怒りに恐れをなして(?)教科書修正を認める方向のようですが、問題のすり替えという感じです。
 いったい、これまでの研究で明らかになっている歴史事実(定説)は何なのか。検定の根拠は何なのか、検定は間違っていたのか、検定の責任は誰なのか、そのあたりをはっきりさせるべきでしょう。
 検定が正しかったというのなら、事実は多数決で決まるわけではないのだから、いくら大騒ぎになろうと変える必要はない、根拠をはっきり示して説明すべきでしょう。責任者が出てきて、発言すべきです。
 間違っていたというのなら、どういう過程で間違いが生じたのかをはっきりさせ、やはり責任者が記者会見をするなりして、なぜそれが正しいと判断したのか、なぜ間違っていたと気がついたのかと明らかにすべきです。沖縄で騒いでいたから間違いでした、なんてのは理由にならない。
 どうも、責任があいまいなまま終わってしまいそうが気がします。
>真実に近い単純なこと (鉄甲機)
2007-10-03 23:00:52
 単純に「日本軍が強制した」とすることは、逆に真実からかけ離れてしまうのでは。
 追いつめられて孤立し、米軍の嵐のような砲火にさらされたガマの中で、極限状態に陥った兵が民間人を殺傷したこともあったでしょうし、「俺とともに死んでくれ」と自決を強要したこともあったでしょう。逆に民間人から「こんな苦しい思いをするくらいなら」と言い出したこともあったかもしれない。自決用の手榴弾にしても「ガマの中で日本兵から渡された」と言う人もいれば、「事前に村長から渡された」と言う人もいます。日本兵含めて全員投降して生き残ったガマもある。これらの様々な状況をひっくるめて「日本軍が強制した」とまとめるのは、余りにも恣意的であり乱暴なのではないでしょうか。
 沖縄戦を「真実に近い単純なこと」で表現するのなら、「(集団自決に)追い込まれた」が一番真実に近いと思います。集団自決に至るまで、沖縄の歴史的地勢的特殊性・軍の方針と県知事との対立・本土からの兵と県民との意識の乖離・予想を遙かに越える米軍の猛攻などなど、沖縄の方々はまさに追い込まれたわけですから。そしてそこから学ぶべき事は決して「悪の日本軍」ではなく、兵だけでなく民間人まで蝕む戦争の狂気、非道さ、むなしさであるはずです。

>バスがタダという話
 いえいえ。私は「会場までのシャトルバスが出た」というのをニュースで聞いて、「えらく資金があるんだな~」と思っていたもので、「気持ちの救いになりますね。」と喜ぶ杉浦さんに比べて俺は何て心が汚れているんだとヘコんだものですから。(笑
大本営発表 (TT)
2007-10-03 23:37:21
>蛇足:11万人ですか・・・沖縄の人も大変だったでしょうね。私の地元も8・6になるとわけのわからん人達がたくさん来てますから。

そうでもないようです。
なにせ。主催者発表ですから。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/071003/edc0710030254001-n1.htm

160メートル四方しかないところに11万人って・・・。
主催者は、参加学生に「醜くとも真実を知りたい」ってしゃべらせてましたが、この学生は、目の前の状況と、報道内容とのギャップに対して、今頃どう思っているのやら。

学術研究の成果に対して、県民が納得しないから変更せよ、というのは、朝鮮人と同じレベルです。

以下、朝鮮人の歴史認識に関する引用

関川: ‥‥先方(韓国人)が実証的歴史事実の積み重ねでは説得されるつもりがないことは認識しておかないといけない。

古田: 日韓歴史共同研究委員会も似てますよ。‥‥日本側の研究者が「資料をご覧になってください」と言うと、韓国側は立ち上がって、「韓国に対する愛情はないのかーっ!」と、怒鳴る。‥‥さらに、「資料をみせてくれ」と言い返すと、「資料はそうだけれど」とブツブツ呟いて、再び「研究者としての良心はあるのかーっ!」と始まるのです。

関川: 歴史の実証的研究では韓国に勝ち目はないでしょう。事実よりも自分の願望というか、「かくあるべき歴史の物語」を優先させるようですから。‥‥

古田: 民族的感情を満足させるストーリーがまずあって、それに都合のいい資料を貼り付けてくるだけなんですね。当然、それ以外の様々な資料を検討していくと、矛盾、欠落、誤読がいっぱい出てくる。

櫻井: それは韓国の大学の歴史研究者ですか。

古田: イエス。これは韓国の伝統的な論争の流儀であり、思考パターンなのですね。李朝時代の両班の儒教論争も、みなこれですから。要するに「自分が正しい」というところからすべてが始まる。実はこの「自分が正しい」という命題が実証不可能なんです。この思想が突出したものが、北朝鮮の主体思想にほかなりません。

櫻井よしこ・関川夏央・古田博司「韓流“自己絶対正義”の心理構造」

(文藝春秋『諸君!』2006年4月号 69~70頁)

このような、実証のない民族感情を満足させるためだけの「正しい歴史」に終始する学問を、朝鮮人は「民族史学」と自称しています。
今回の沖縄での騒乱も朝鮮人の目には違和感なく映るようです。

沖縄って民度が低いですね。
おまけに、悪名高き近隣諸国条項にならって沖縄条項を創設せよとは・・・。

#ミンス党が沖縄を特亜に売り渡すと公約するのもむべなるかな!?
>なぜ自決だったのか (TOJC)
2007-10-03 23:40:51
話をすりかえるのはよしましょう!
>悪の日本軍 (TOJC)
2007-10-04 01:16:58
「悪の日本軍」と決め付けているのではなく「軍隊が必ずしも国民を守るものではない」ということだと思います。

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