杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・コスタリカ憲法会議 ~ 憲法9条&12条会議 in コスタリカ

2009-06-29 01:24:40 | 憲法問題
コスタリカ憲法「9条+12条」集会成功のための


          日本国際法律家協会事務局長 弁護士 笹 本  潤

7月9日、10日に、コスタリカで日本の憲法9条と軍隊を廃止した憲法9条をテーマにした国際会議を開きます。
この会議は、日本の9条とコスタリカ12条の軍隊廃止の規定が現実政治に与えている影響を検証し、このような規範を各国が取り入れていくことが、世界的な平和や軍縮を促進するということをメインテーマにして、国連総会にそのような趣旨の決議案を提出することを目指します。
これは今まで取り組んできた「9条世界会議」やグローバル9条キャンペーンを現実政治に反映させるための重要な一歩になります。6月に開かれた国際民主法律家協会(IADL)のハノイ大会でも確認されたように、今世界の平和を作っていく上で9条のような憲法を各国で取り入れるような働きかけを一層強めていく必要があります。

つきましては、今回は日本から法律家としては、笹本潤、梅田章二、杉浦ひとみが参加してきます。
海外からも、コスタリカ大統領、エクアドル副大統領、国際平和ビューロー、反核国際法律家協会、(軍隊を廃止している)パナマの法律家、コスタリカの法律家など多彩なメンバーが参加予定です。

                     2009年6月23日

(以下、会議の内容)

平和憲法をいかして、地球の軍縮をすすめよう
憲法9条&12条会議 in コスタリカ

2009年7月9日(木)~10日(金)
プンタレナス、コスタリカ

日本国憲法第9条
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

コスタリカ憲法第12条
第12条 恒久制度としての軍隊は廃止する。公共秩序の監視と維持のために必要な警察力は保持する。
大陸間協定により又は国防のためにめみ、軍隊を組織することができる。いずれの場合も文民権力に常に従属し、単独又は共同して、審議することも声明又は宣言を出すこともできない。

会議の趣旨
 2008年5月の「9条世界会議」の成功から一年が経ちました。この成果を引き継ぎ、発展させるための国際会議が、コスタリカのプンタレナス港に停泊するピースボート船上(オセアニック号)にて開催されます。
 「9条世界会議」で明らかになったように、日本国憲法の平和条項に盛り込まれた原則は国際平和メカニズムとして活かすことができるものであり、これを支持する国際運動は広がりをみせています。それは、紛争予防、軍縮、核兵器廃絶、開発、平和構築そして環境など、さまざまな地球規模の課題と関連しています。
 「憲法9条&12条会議in コスタリカ」は、昨年の「9条世界会議」の成果を踏まえながら、日本国憲法9条とコスタリカ憲法12条がもつ価値を、歴史的および現代的な視点、そして地域的文脈から明らかにします。日本国憲法9条は、東北アジアの安全保障の土台として考えられてきました。コスタリカ憲法12条は、エクアドルやボリビアそして南米諸国連合(UNASUR)が憲法および憲法条約において平和条項をもつことを励まし、南米地域における平和への息吹をつくりだしました。日本とコスタリカの平和憲法が、両国がその採択以来戦争に直接巻き込まれることを防いできたことにかんがみ、このような平和憲法をそれぞれの国において保持するとともに世界に広げていくための方法を議論したいと思います。
 さらに、現在の金融・経済危機とそれに伴う食料危機、また貧困と暴力紛争の世界的な拡大のなかで、「憲法9条&12条会議in コスタリカ」は、両国の平和憲法と国連憲章第26条の関連についても着目します。国連憲章26条は、世界の平和と安全のために、軍備を規制し、世界の人的・経済的資源の軍備への転用を最小限にするためのシステムを作り上げることを求めています。
 軍隊を解体し軍事費を教育へと振り向けた実績をもつコスタリカは、2008年11月、国連安全保障理事会において集団的安全保障と軍備の規制に関する会合の開催を導きました。
 「憲法9条&12条会議 in コスタリカ」は、このようなコスタリカの取り組みを歓迎しつつ、その意義を検証します。そして、資源分配の優先順位を変えるために国家・地域・地球の各レベルにわたって取り組まれている努力をいかに発展させ、また相互に共鳴させることができるかについて、議論します。この会議は、軍事費を減らし、お金を、持続可能な開発と人間の安全保障のために回していくことを提唱します。そして会議の最後には宣言を採択し、地球規模の軍縮を促進するために平和憲法が果たす役割を認める国連決議を提案する予定です。

憲法9条・12条会議in コスタリカ
共催団体 ピースボート
  日本国際法律家協会
  日本反核法律家協会
国際反核法律家協会ラテンアメリカ支部
コスタリカ大学法学部
グローバル9条キャンペーン
          
(ほか調整中)

使用言語 英語(一部のみ日本語と西語の通訳あり)

問い合わせ先
ピースボート
Tel 03(3363)7561 Fax 03(3363)7562
pbglobal@peaceboat.gr.jp



プログラム案
2009年6月8日現在

(日本から参加する場合 7月8日までにコスタリカ(サンホセ)に到着、陸路プンタレナスに移動)

7月9日(木)

朝 プンタレナス港にピースボート着岸
(第66回ピースボート「地球一周の船旅」の一環として、パナマから到着)
クルーズ詳細:http://www.peaceboat.org/cruise/66th/index.html

午前
開会式
基調講演 オスカル・アリアス
(コスタリカ大統領、1987年ノーベル平和賞受賞者 (交渉中))
レニン・モレノ
(エクアドル副大統領(交渉中))
(記者会見)

セッションⅠ 日本の憲法9条とアジア、アメリカ
 日本によるアジア太平洋への侵略戦争そして広島・長崎への原爆投下を経て1947年につくられた日本国憲法9条は、戦争放棄、軍隊と戦力の不保持、平和的生存権という3つの基本原則とともに、東北アジアの安全保障の土台となってきた。
 しかし、日本は自衛隊を世界的に最大規模の軍隊につくりあげ、アメリカとの軍事協力を強めるなど、この憲法上の義務を果たしてこなかった。今日では、北朝鮮の危機などを口実に、憲法を改定しようとする議論が高まり、憲法9条は危機にさらされている。
 このセッションでは、日本国憲法9条がアジアと世界のなかで果たしてきた積極的な役割を議論すると同時に、現在また将来にわたって9条が直面している課題を考える。

昼食

午後
セッションⅡ コスタリカ憲法12条とラテンアメリカ
 コスタリカは1948年に軍隊を廃止し、翌年に制定した憲法12条のなかでそれを正式に定めた。その後60年間にわたり、コスタリカは軍隊や自衛隊をもたずに国の平和を保持してきた。憲法12条の存在によって、コスタリカは周辺の国々と異なり、内戦や紛争を経験することがなかった。さらに、軍事費を教育や文化活動に回したことによって、同国は人間の開発および環境の指標において世界的な高ランクを一貫して維持してきた。
 このコスタリカの前例を踏まえ、最近、いくつかのラテンアメリカ諸国が重要な動きを起こしている。2008年5月に署名された南米諸国連合(UNASUR)の設立条約(憲法条約)は、平和の文化を促進し核兵器のない世界をめざすという条項を有している。その後、エクアドルとボリビアが新しい平和憲法を制定した。それらは、平和の文化を促進し、普遍的な軍縮をすすめ、大量破壊兵器の使用や国土への外国軍の設置に反対するという内容である。
 このセッションでは、コスタリカの独自の経験を学ぶとともに、これらの地域的な動きについても議論する。

セッションⅢ 地球規模の軍縮
--- 国連憲章26条、国連での取り組みとその発展
 コスタリカは、2008年11月の国連安保理議長として、「集団的安全保障の強化と軍備の規制」に関する公開討論を開催し、「世界の人的・経済的資源の軍備への転用を最小化する」と定めた国連憲章26条を履行するための動きに新たな活力を与えた。
 このセッションでは、この安保理での取り組みとともに、「債務を免除するとともに、環境保護、教育、公衆保健、人々の居住のための支出を増やし兵器や軍隊に対する支出を減らしている途上国に対して、国際的な金融上の支援をおこなうメカニズムを創出する」とするコスタリカ・コンセンサスや他の国連における取り組みにも焦点を当てる。これらの取り組みを通じて、世界的に軍事費を削減し、お金を人間の安全と基本的ニーズのために回し、持続的な平和を求め、持続可能な開発のための持続的な軍縮をすすめるよう、具体的な提案とともに、国際社会への圧力を強めていく必要がある。

宣言の採択


レセプション、夕食

7月10日(金)

午前
フォローアップ、戦略討議
 世界の軍事費がかつてない伸びをみせているなか、国連安保理その他での取り組みに関する前日の討議を受け、市民社会と政府がどのような行動をしどのように好機をつりだし、どのように変化をもたらしていけるか、国家・地域・地球レベルにおいて議論する。

昼食

午後
ピースボート出港

地元市民との交流プログラムなど

主な参加者(交渉中):
オスカル・アリアス (Oscar Arias、コスタリカ大統領)
ローラ・チンチラ (Laura Chinchilla、元コスタリカ副大統領)
レニン・モレノ (Lenin Moreno、 エクアドル副大統領)
リゴベルタ・メンチュウ (Rigoberta Menchu、ノーベル平和賞受賞者、グアテマラ)
アドルフォ・ペレス・エスキベル (Adolfo Perez Esquivel、ノーベル賞受賞者、アルゼンチン)
カレン・オルセン・ベック (Karen Olsen Beck、ホセ・フィゲレス・フェラー元コスタリカ大統領夫人)
デニス・クシニッチ (Dennis Kucinich、米民主党下院議員)*ビデオ参加
ジェレミー・コービン (Jeremy Corbyn、イギリス下院議員)
カルロス・バルガス (Carlos Vargas、国際反核法律家協会副会長、コスタリカ)
ラファエル・ゴンザレス・バラード(Rafael Gonzalez Ballard、コスタリカ大学法学部長)
ロベルト・サモラ (Roberto Zamora、平和活動家、コスタリカ)
イブラヒム・アスバット (Ibrahim Asvat、パナマ憲法学者)
コリン・アーチャー (Colin Archer、IPB国際平和ビューロー事務局長、スイス)
ジョナサン・グランノフ (Jonathan Granoff、グローバルセキュリティー研究所、アメリカ)
アラン・ウエアー (Alyn Ware、国際反核法律家協会(IALANA)コンサルタント)
笹本潤 (ささもと・じゅん、日本国際法律家協会事務局長、日本)
梅田章二 (うめだ・しょうじ、日本国際法律家協会関西支部長、日本)
川崎哲 (かわさき・あきら、ピースボート共同代表、日本)

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4 コメント

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キツイことを書きます (鉄甲機)
2009-06-29 21:37:22
>日本国憲法9条は、戦争放棄、軍隊と戦力の不保持、平和的生存権という3つの基本原則とともに、東北アジアの安全保障の土台となってきた。

9条は「アメリカ軍が日本を守る」という担保の上で、アメリカから拝領させられたもの。
つまり「日本国憲法9条は、戦争放棄、軍隊と戦力の不保持、平和的生存権、アメリカ軍の駐留という4つの基本原則とともに、東北アジアの安全保障の土台となってきた。」が正解。

> しかし、日本は自衛隊を世界的に最大規模の軍隊につくりあげ、アメリカとの軍事協力を強めるなど、この憲法上の義務を果たしてこなかった。今日では、北朝鮮の危機などを口実に、憲法を改定しようとする議論が高まり、憲法9条は危機にさらされている。

アメリカとの軍事協力が9条の存在条件である以上、アメリカとの緊密化は当然であり、憲法上の義務をしっかり果たしてきたと言えますな。
それに北朝鮮の危機は、かつてのソ連と同じく、「口実」などではなく現実に存在するのですから、見たくなくてもきちんと見ましょうよ。そうやって現実逃避するから「宗教」などと揶揄されるんですよ。

極東アジアはドングリの背比べ状態の南米と違います。
経済格差に民族問題、崩壊する農業、枯渇する水資源など、問題山積みのまま世界第二位の軍事力を持つに至り、さらに外征能力に磨きをかける中国。
破綻しきった経済状態でありながら先軍体制を続け、周囲全てを敵視しながら恐喝外交を続ける北朝鮮。
「コスタリカの独自の経験」 を 学ぶのは結構なことだと思いますが、それをそのまま日本に当てはめようとするのではなく、日本の状況に合った方策を「コスタリカ独自の経験」 か ら 学ぶ方向でよろしくお願いしたいものです。
Unknown (志村建世)
2009-06-29 22:57:52
ご苦労さま、お気をつけて行ってらっしゃい。
ピースボートと連動なのですね。パンフレットを貰い、船を見に行ったことがあります。
Unknown (お松)
2009-06-30 17:53:02
この問題は、どのような方向性の論法にしろ、言葉の表現方法にしろ、様々な意見をみんなが孕んでいるいますよね。
デリケート、且つ、対立する意見同士で論争すれば激しい衝突が起こりえる問題です。
僕は僕で、やはりある程度の意見は持っています。それはそれとして・・・。
(大まかなくくりでの)護憲派にしろ憲法改正派にしろ、それぞれの意見に責任を持って、信念をもって外に働きかけることは、僕は「良いこと」だと思います。
本人は何もしないで自分の意見と相反する論者を厳しく罵倒するタレントなんかをTVで散見するにつけ、そう思うのです。
最近多いでしょ、そういう手合いが。
反論があるならば、記題のシンポジウムや講演のように、自分たちの労力でもって実施して、働きかければいいわけです。
「地球規模の軍縮」
失礼な言い方ですが、そういう言葉を聞いて、頭ごなしに反論したり、鼻で哂ったりする人は多くいると思います。
「現実的でない!」とかさ。
でも、僕としては、草の根的に、こうやって「少しでも近づこう!」と一生懸命やってる人たちは、やっぱりエライと思うよ!
失礼な言い方・・・って、そればかりで申し訳ないのですが(笑)、こんなことしてもたいしてお金にならない訳じゃない?
ということは、これは無償の愛ですよ。
そう思うのです。。

理解不能な文章 (宇宙戦士バルディオス)
2009-06-30 23:03:18
>日本国憲法9条は、戦争放棄、軍隊と戦力の不保持、平和的生存権という3つの基本原則とともに、東北アジアの安全保障の土台となってきた。

 ここまでと、
>しかし、日本は自衛隊を世界的に最大規模の軍隊につくりあげ、アメリカとの軍事協力を強めるなど、この憲法上の義務を果たしてこなかった。
 の後半部は、率直に言って、同じ文章だとは思えません。全く理解不能。日本が憲法上の義務を果たさなかったのに、憲法9条が「東北アジアの安全保障の土台とな」るわけがないのです。一体、何の事実を指して「東北アジアの安全保障の土台」を言うのでしょうか?

 それにしても、ピースボートですか。この前はガッカリさせられましたね。最初、海賊退治の自衛隊派遣を憲法違反だ、反対だと叫んでおきながら、実際に自分たちがアデン湾にさしかかると、何のためらいもなく自衛隊の護衛を受けているんですから。これが、「憲法違反の存在で、米帝国主義の手先である自衛隊の世話には死んでもならない。人民の味方である中国海軍に守ってもらう」とかいうなら、方向はともかく筋は通っていると評価します。私は、方向は異なっていても筋を通す人間には、耳かき一杯分くらいの敬意を形だけでも示す人間です。ところが、ピースボートには、筋も根性も皆無だったわけです。かつてカンボジアPKOの時には、わざわざタケオの駐屯地まで出かけて活動を邪魔した自衛隊の世話になるなんて、所詮は金持ちのボンボンのお遊び集団に過ぎないのでしょう(今時、世界一周安くても二百万円なんて、よっぽどの金持ちでないと無理でしょうな)。
 がっかりさせられた私は、同様に海賊討伐の自衛隊派遣や海賊対処法案を違憲だと会長声明を出した日弁連の会長以下幹部を、ソマリア沖クルーズにご招待してあげたくなりました。実際に目の前にカラシニコフで武装した海賊が現れても信念を貫けるか、ひじょーに興味があります。大丈夫、海賊は身代金獲得が目的だから、拉致されても殺されません。日弁連の理事以上がまさか身代金を払うだけの財力がないこともないでしょう。信念を貫いて、憲法を守って欲しいものです。
 ほんと、実行できるだけの財力がないのが残念ですよ。

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