風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

映画『メカゴジラの逆襲』 昭和50年(1975)

2014-04-06 21:21:25 | ゴジラ


タイトルにゴジラ以外の怪獣の名前が冠されたのは、ゴジラシリーズ中この作品だけです。それだけメカゴジラの人気が高かったということでしょう。

監督には久々の本多猪四郎氏を迎え、音楽もまた久々の伊福部昭。脚本には公募によって選ばれた新人、高山由紀子。

シリーズ第15作。この作品の後、ゴジラシリーズは9年間の休眠に入ります。図らずも昭和ゴジラシリーズの集大成的作品となっています。



                     


では、ざっとストーリーを紹介


********************


メカゴジラの残骸を回収するため、インターポールは海洋開発研究所の探査船を使って探索するが、メカゴジラは発見されず、探査船は突如現れた恐竜・チタノザウルスによって破壊されてしまう。
実はメカゴジラは、ブラックホール第三惑星人によってすでに引き上げられていたのだ。ブラックホール第三惑星人の下には、日本人科学者・真船博士(平田昭彦)の姿が…。

真船博士は元海洋科学研究所の研究員。生物を人間の想い通りにコントロールする研究を続けていたが、その研究が認められず、学会を追われてしまう。
真船博士には娘の桂(藍とも子)がいたが、桂は博士の研究中の事故により命を落としてしまう。
その桂にサイボーグ手術を施し、蘇らせたのが、ブラックホール第三惑星人だったのだ。
人類への憎しみと、第三惑星人への恩から、真船博士はメカゴジラの修理・開発に関わることになっていたのだ。

チタノザウルスは、博士によって操られていたのだ。

海洋開発研究所の一之瀬(佐々木勝彦)は真船博士の屋敷を訪ね、そこで桂と出会う。お互いに魅かれあう二人。しかし運命が二人の間を引き裂く。

第三惑星人は桂の体内にメカゴジラのコントロール装置を取り付ける。人間の脳とコンピュータを連結させることで、メカゴジラを無敵の怪獣とするためだった。

メカゴジラとチタノザウルスの攻撃に苦戦するゴジラ。果たして地球は、人類の運命は…。


********************



アクション主体の福田純監督と違い、本多監督は人間ドラマを中心に据え、重厚な物語に仕上げました。しかしあくまで子供向け作品であることを念頭に置き、出来るだけ分かり易く、特撮といかに有機的にドラマを絡ませるかに苦労されたようです。

映画内では久々に、逃げる群集と攻撃する自衛隊が出てくる。福田作品にはこれがないんだな。日常世界との繋がりという意味で、逃げる群集のシーンがあるのとないのとでは、大きな違いです。やはり怪獣映画というのは、日常の中に突如飛び込んでくる非日常を描くもの。それが怪獣映画の王道というものです。

本多監督は、その王道の創始者でもありますから、そういう作品になるのは、ある意味当然かもしれない。




さて、平田昭彦氏演じる真船博士は、面白い存在です。

すべての生物を思い通りにコントロールするという、おまりに傲慢な研究が認められず、学会を追われ、人類を、社会をすべてを憎んだ。

そして、地球侵略を企む宇宙人に加担する、マッド・サイエンティストとなった。

これは、第一作目でやはり平田氏が演じた芹沢博士とは、真逆の存在です。

芹沢博士は、自らが開発したオキシジェン・デストロイヤーの秘密を守り通すため、ゴジラ抹殺とともに自らも海の藻屑と消えた。人類の未来に、確実に禍を及ぼすであろうオキシジェン・デストロイヤーを封印するには、その製法の秘密と共に、自らの命を絶つしかなかったからです。

これは、原爆実験という人類の傲慢なる過ちによって生み出されたゴジラと、オキシジェン・デストロイヤーは対になっているということなんですね。

どちらも人類の未来にとって明らかな禍なわけで、芹沢博士はその両方とも、自らの命を持って葬り去ろうとしたんです。そうやって人類を守ろうとしたんです。

翻って真船博士は、自身の個人的怨みを晴らす手段として、人類を侵略者に売り渡そうとする。なんと傲慢で自分勝手なことか。

その真逆な役を、同じ本多作品で、同じゴジラで、同じ平田昭彦氏が演じているというのが面白い。

ところで、この平田氏演じる科学者の対比の構図というのは、そのままゴジラ自身の対比の構図と重なるんです。

昭和29年の第一作目の『ゴジラ』では、ゴジラという存在は、人類の行き過ぎた科学への盲信と傲慢に対する、大自然からの警告というかたちで現れました。

しかし時が経つ内に、ゴジラは徐々に人類の味方となって行き、その警告性は薄れ、やがて消えて行きました。もはやゴジラに、大自然の怒りの象徴としての役割は果たせない。

人類の脅威から人類の味方へと、大きくシフトしてしまったゴジラ。そんなゴジラ作品にあって、人類への警告性を高めるにはどうしたらいいか。

それが、芹沢博士と真船博士との、立場の対比性にあったのです。

だからこの役は、絶対に平田昭彦氏が演じなければならなかったのです。

第一作目から21年、第15作目によって、ゴジラシリーズはその失われかけた警告性を取り戻した。人類の敵から見方へと、大きな「一捻り」を加えながら、一作目と15作目は繋がったのです。

まるで「メビウスの輪」のように。




「常に第一作へと還る」ことを示した『メカゴジラの逆襲』。この作品を範として、新たな作品を作るため、ゴジラシリーズは9年間の冬眠に入ります。

次作の登場は昭和59年(1984)。ここからゴジラは「平成VSシリーズ」へと、新たな展開を魅せて行くことになるのです。






『メカゴジラの逆襲』
制作 田中友幸
脚本 高山由紀子
音楽 伊福部昭
特技監督 中野昭慶
監督 本多猪四郎

出演

佐々木勝彦
藍とも子

中丸忠雄
内田勝正
大門正明

沢村いき雄
睦五郎

河合徹
森一成

佐原健二

平田昭彦

昭和50年 東宝映画
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (キャンディ)
2014-04-07 07:55:54
こんにちは(^-^)
薫風亭さんと、楽しくお話しがしたいです~。
よろしくお願い致します*\(^o^)/*
Unknown (薫風亭奥大道)
2014-04-07 19:35:58
キャンディさん、はじめまして。
よろしくお願いします~。

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