風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

穢れと芸能民 ~その2~ 踊り念仏

2016-10-01 03:54:13 | 歴史・民俗




中世の頃、「河原者」などと呼ばれた人々がおりました。


牛馬の屠殺や皮革製品製造を生業をしていた者たちは特に「かわた」などとも呼ばれ、この河原者たちの中でも芸能に従事するものたちのことを「宿(夙)の者」とも呼んでいたようです。


この「河原者」、上記のように屠殺や皮革製品製造などの他に、死者の葬送儀礼や遺体埋葬などにも直接的に関わることを生業としていたようです。


つまり、日常的に死穢に触れていたわけです。




しかし、死穢は伝染病のようなもののはず、そんな危険なものに日常的に触れていて、大丈夫なのか?


この点、結構な要なのではないかと、私は思っています。




日常的に死穢に触れながら、なんともない彼ら河原者に、常民たちはある種の「神秘性」を覚えていたのではないでしょうか。


ですから彼ら河原者は、単に「厭い」「嫌われ」ていたわけではなく、そこには「畏れ」るがゆえに「憚る」という思いもあったのではないでしょうか。

「忌」という言葉が、単に厭うという意味ではなく、「畏れ憚る」という意味であったように、おそらく常民たちは彼ら河原者たちの神秘性に「畏れ憚り」ながら、しかし死穢を纏っているということで、「厭い」なるべく関わりを持たぬように遠ざけた。


これが、差別といわれるものの、抑々の実態「だった」のではないでしょうか。



だから、彼ら河原者の披露する芸能は、その神秘性と相まって、とても「有り難い」ものとなった。


芸能は神に捧げるものであり、それそのものが「祓い」でもありました。だから寺社の縁日や正月などのハレの日に披露される河原者の芸能は、それだけでよい「祓い」となった。



芸能には祓いの要素があったんです。特に神秘な力を持つ河原者の行う芸能には強い祓い力がある、と人々は考えていたのではないでしょうか。








河原者の芸能の一つに、「鉢叩き」というものがあります。



念仏を唱えながら鉢を叩き、踊る。この芸能はやがて、浄土宗の一宗派にほぼそのまま継承されていきます。


それが、一遍上人の唱えた「時宗」です。


一遍でも「南無阿弥陀仏」と唱えれば、それだけで極楽往生できる。その喜びを踊りで表した「踊り念仏」。

この踊り念仏を披露していたのは、実は河原者たちだったと言われています。


武士も町人も非人(河原者)も関係なく、念仏を唱えれば往生できる。この教義に河原者たちも強く惹かれたのかも知れませんね。やがてその芸能が、時宗の教線拡大に貢献していく。


南北朝の動乱期には、武士たちは多くの時宗僧を帯同させ、戦場に赴きました。一度でも念仏を唱えさえすればよいとする時宗の教義は、いつどこで死ぬかわからない武士にとっては大変都合のよいものでしたし、時宗僧は戦死者の埋葬などにも積極的に関与したといいます。

つまり「死穢」を厭わなかったわけですね。こういうところにも、河原者の影が伺えます。








ところで、時宗僧はその法号を「阿弥」といいました。



そうです、「観阿弥」「世阿弥」の阿弥です。





といったところで、今日はここまで。


続きます。
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4 コメント

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わはは♪ (たま♪)
2016-10-01 09:17:32
前回までカテゴリーが歴史だったのに、今回からももクロのカテゴリーに変えてるところに兄者の主張が表れてますね♪
ももクロちゃん達が神様の「為」に歌とダンスを捧げる生活になったら、とんでもなく素晴らしい巫女様になることでしょうね♪
Unknown (薫風亭奥大道)
2016-10-01 09:37:35
たま♪さん、それ、間違いでした(笑)でも主張そのものは、そんなに外れてないかもね(笑)
Unknown (玲玲)
2016-10-01 14:44:47
岩手の鬼剣舞も念仏踊りだったのですよね?
この前少し調べたけど、色々な主張や踊り方で派閥?のような雰囲気があって、分かりづらかったのですが、最終的にこの記事のお話がももクロのアメノウズメに繋がるかと期待して読みます(笑)
あと、記事違いですが、しゃちのゆずぽん卒業…。18歳のゆずぽんのバースデーを祝うももクロ姉さん達の動画が上がってて、泣けます。
Unknown (薫風亭奥大道)
2016-10-01 21:07:09
玲さん、ももクロに繋がるかもしれないし繋がらないかもしれないし、書いてみないと分らないなあ(笑)
ゆずぽん…ある意味あーりん以上の「圧」の持ち主だったのにね、悔しいだろうな…でも病気じゃ仕方ないし、これで芸能界の夢が完全に断たれたわけじゃあるまい。どうするかは本人次第だけど。
今は治療に専念して、次を目指せばいい。
人生なにがあるかわからん、頑張れ!

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