日々の暮らしを記憶に刻む

 日記、詩、短歌、読書録など焦らず無理せず書き続けています。
傍ら移りゆく社会及び地域の有り様を綴るブログです。

②石牟礼道子「椿の海の記」を読む

2016-10-13 21:14:00 | 読書・映画・演劇・舞踊・美術
      十三夜、厚い雲に覆われ見えない
      椿の海の記を読む

池澤夏樹 氏が解説で言います。

【この本を前にした時に一つ大事なことがある。
ゆっくり読むこと。
今の世の中に流布している本の大半は速く読む
ことを前提に書かれている。ストーリーを追っ
て、あるいは話題を追って、どんどん読み進め
て、なるべく早く最後のページに至る。内容は
すぐに忘れて次の本に手を伸ばす。
しかし、これはそういう本ではないのだ。
一行ずつを賞味するように丁寧に読まなけれ
ば沢山のものを取りこぼしてしまう】 


 たしかに忙しい世の中です。
手にしたばかりで、早くも読み終えようとする
意識が先走りました。読みきりたい本を抱えて
いましたので、文庫本ならバスや電車の中でも
読めるという気軽さを感じていましたので、池
澤夏樹 氏のことばに諭された感があります。
 詩情あふれる描写からはじまり、過ぎた幼い
日々のくらしの中で父や母、まわりの大人から
聞き取った言葉、会話の数々がお国のことばで
語られています。
山や磯での自然が与えてくれた恵みは豊かです。
山の神、海の神に頂く物は人間だけの為にある
のではありません。山で生きる猿や狸、狐や兎、
海に生きる魚貝や海草類を根こそぎにするよう
な愚かさを諭す先祖からの知恵が伝わって来ま
す。
「山に成るものは、山のあのひとたちのもんじゃ
けん。もらいにいたでも、悠々とこさぎ取ってし
もうてはならん。カラス女の、兎女の、狐女のち
ゅうひとたちのもんじゃるけん。ひかえて、もろ
うて来(け)」
と祖母の「おもかさま」が言い続け、父親もまた
其れを言い続ける環境にあった四歳の女の子、
それが長じての石牟礼道子に「苦海浄土」という
主題、水俣の闇に向きあわせる大きな素因であっ
たことを改めて知ることのできた、自分史のよう
で有りながら自分史ではない著作でした。
 
 深山あかね様は目次を1から11までと記載し
ましたが、此処では表記します。
目次内容が解ったからとて、テーマや中身の文
章が想像できるというものでもありませんが、作
者が何を捉えようとしていたのかを、うっすらとで
も感じて下されば幸いです。

第一章 岬
第二章 岩どんの提燈
第三章 往還道
第四章 十六女郎
第五章 紐とき寒行
第六章 うつつ草紙
第七章 大廻りの塘
第八章 雪河原
第九章 出水
第十章 椿
第十一章 外ノ崎浦
あとがき(筑摩書房版) 河出文庫版あとがき
ジャンル:
小説
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