パペット劇場ふらり旅 〜広島〜

芝居好きの私がめぐり合った人形劇の魅力、たっぷりとお伝えします。

天辺塔的自求自足SPECIAL!  〜レイノホール〜

2011-10-11 | 演劇
前2回の天辺塔的自求自足は、市内の喫茶室で無料で公演し、もしその舞台にお金を払うのだったらいくら?と尋ねるアンケートを貰っていたそうだ。
今回は実際に払っていただく金額を書き込んでアンケートに感想を求めた。もちろん、無料でもOKですとのこと。
実験的な作品も舞台に掛けてみたかったそうで、つまり試演会という感じなのかな。

「天辺小品集」全部と「山ちゃんまつり」を観て来たので感想をまとめておく。
演出は全て中村房絵。

「青い目のイブ」(約20分)  ★★★
作/飯島早苗 出演/村田遼太郎

少数の男が種馬として残され、社会は女ばかりになる近未来のお話。そんな世界で女の子として育てられた男の子が恋をする。好きになったら見ているだけなんて我慢できない。好きな女の子の肩や腕に触ってみたかっただけ・・。この社会では、19歳の彼は、誘拐・監禁・強姦罪で死刑なのだ。青い目のイブ(処刑のレーザー光線)の前で、彼は自分の短い生い立ちを話し始める。村田のひとり芝居。ぶっきら棒な口ぶりの彼の話の中にキュンと胸がつまるような純な恋心が浮かび上がる。恋をすることも、セックスをすることも素敵よ、ね。男の子ってこうなんだなって、切なくなる。素顔はそうでもないのに(?)、舞台の村田はいつも飛び切りの美少年である。作者の飯島早苗は劇団「自転車キンクリート」の脚本家。何といっても、やっぱり脚本がいい。

「かえるの王様」(約15分) グリム童話より  ★★
出演/古山渚、恋塚祐子、村田遼太郎

三脚の木の椅子を使って、これが泉のほとりになったり、食卓の椅子になったり、小さな姫のベットになったり。天辺塔お得意のシンプルな道具使いと場面転換のスマートさ。お姫様は14・5歳の少女の愛らしさと身勝手さが同居する年頃で、恋塚の透き通るような耽美的な演技に相応しい。しぶしぶお城に迎え入れた年老いたカエルを彼女は毛嫌いし、思わず壁に突き飛ばしてしまう。ところがカエルが息を吹き返すと、それはきれいな瞳の王子様(村田遼太郎)だった。村田はカエルと王様と王子様の3役を演じていたが、やはり王子様が一番似合う。
それにしてもグリムの童話、可愛い女の子にはめっちゃ甘い。

「赤ずきん」(約15分)   ★★★
作/いしいしんじ
出演/佐々木名奈

絵本が原作だという。赤ずきんは港町に暮らす蓮っ葉な姉ちゃんである。ドンデコスタ丸で航海に出た恋人のジローを待ちながらハマの酒場で働いている。彼女とジローにしか見えない赤いずきんを被り、その姿が他の誰にも見えない犬の「オオカミ」を連れて彼女は銭湯に行ったりするのだ。こんな愉快な絵本が本当にあるのかしら。芝居を観ていて呆気にとられ、そのうちすごく愉快になってくる。不思議なことがいろいろ起こる彼女の世界にまだまだずっと居たいなと思う。このアニメチックな赤ずきんを佐々木名奈がのびのびと演じている。今回の小品集の中で、私の一番のお気に入りがこの舞台だった。

「金魚と海」(約3分)
詩/難波香織
出演/保本奈美

彼女は天辺塔に入って2年目の研究生、初舞台だという。心臓の音が聞こえてきそうなくらいドキドキの舞台。まだまだ台詞の言葉を舞台に顕在化する力はない。

「ラプンツェル」(約15分) グリム童話より  ★★
出演/恋塚祐子

可愛らしい小さな小物が舞台のそこここにあり、観客席のイスを移動して舞台を狭く取り囲む。お話は最新のディズニー映画「塔の上のラプンツェル」と同じ、あの髪の長いお姫様のお話である。外出帰りらしい女性が部屋に戻ってくる。届いた手紙を読み、料理の支度を始める。小さなベットを軽くとんとんとして、赤ちゃんがいるのかしら。台詞は一言もない。テーブルの上の小さなラジオから放送劇らしいラプンツェルのお話が聴こえている。彼女は、塔の上に閉じ込められて、魔女に髪を切られてしまったラプンツェルなのか。それとも、ラプンツェルを荒野に放逐した魔女なのかしら。カバンの中に小さなおもちゃとアルバムを放り込み部屋から出て行った彼女はどちらだったんだろう。視点をずらすと、まるでだまし絵みたいにふたりの女の姿が見えてくるのが面白かった。

「そして、惑う。」(約30分)
作/新名基浩
出演/石田芽

新名が石田芽のために書き下ろした新作。石田に落ち目のアイドルというのは随分と思い切った配役である。彼女は時に痛々しくそして健気にこのアイドルを演じていた。ただ、いかんせん説明台詞が多すぎる。ラストの恋人からかかってきたケータイを手にしての延々の長台詞は拙い。そんなことしてたら切れちゃうでしょう、普通。

プログラムD 「山ちゃんまつり」   ★★★
作・出演/山城綾子(約50分)

山ちゃんまつりは、CTTHiroshima以来である。イワシ料理のレシピが、音楽が掛かるとホラーっぽくなり、サスペンスタッチになっていく面白さ、大衆演劇一座の音響係をしている時の危機一髪の顛末をはらはらドキドキでみせるネタも、観終わった後に本当にミュージカルの舞台を味わったような贅沢感のある「ひとり口パクミュージカル」まで、お馴染みのネタに新しく西条秀樹の歌で踊りだす不眠症の彼女という新ネタも加わった。シャンソンからクラシック、歌謡曲まで見事なあてぶりで、ぜひ着物を着て踊ってみせて欲しい。


ハダカ舞台に地明かりというシンプルなステージだが、衣装や小さな明かりの照明、小道具の小物まで行き届いた心配りが感じられる。特に衣装はさりげなくお洒落で(今回は全員の女優がスカートを重ねた様々のチュニックドレスだった。)日常のファッションのお手本になりそう。少人数の観客で見るのが何とも勿体ない。
急に決まったらしく告知がギリギリで間に合わなかったという。うーん、残念!
ジャンル:
演劇
キーワード
ラプンツェル グリム童話 ディズニー映画 塔の上のラプンツェル いしいしんじ かえるの王様 レーザー光
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