岡山市立市民病院 総合診療グループ(ER+GIM)

岡山市立市民病院の総合診療グループである『総合内科』と『救急総合診療科』の日常の雰囲気を伝えていきます。

岡山市民病院ケースカンファレンス(2016/06/17)

2016-06-24 18:08:41 | 院内カンファレンス
こんにちは。Dr.Waveです。

6/17のケースカンファレンスは長期の未診断の副甲状腺機能亢進症を背景に関節炎を主訴に精査加療となった高齢女性のケースでした。
既往に繰り返す尿管結石があり、その他closed questionで、便秘、多尿、性格の変化(ご家族より聴取も確認されました。
最終的に副甲状腺腫摘出で症状の安定化を得ることができました。

今回のlearning pointは3つありました。
1つは高Ca血症診療の考え方と進め方、もう1つは関節痛の診療の考え方と進め方。
3つめはは関節痛診療において、副甲状腺機能亢進症に伴う偽痛風発作と考えて診療を進めるのか、副甲状腺機能亢進症と他の原因の関節炎が併発したと考え診療を進めるかという診断戦略の点です。

いわゆるOccam's razor(オッカムの剃刀:病因を一元的に考えること)の立場で診療を進めるか、Hickam's dictum(ヒッカムの格言:複数の病因から成り立つと考えること)を立場で診療を進めるかということです。
ある教科書では50歳以下はOccam's razoreでまず診療を進め、50歳以上はHickam's dictumでまず診療を進めることを推奨するともされています。

しかし現実はどちらの可能性も必ずあります。一番大切な事は「治療を含めた臨床経過が最終的な診断をくだす」「確定診断は治癒後にやってくる」ということです。実際の診療では決め打ちをせず、慎重に臨床経過を追っていくことが肝要だと考えられました。

1時間のカンファレンス時間でしたが、何とかぴったり進行をされたS木先生、ありがとうございました。







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