そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

アフガンに見る暴力の再生産の行く末

2014-12-29 | アメリカ
9.11アメリカの同時多発テロを受けて、アメリカのブッシュ大統領は、翌日報復宣言をした。その一月後、ブッシュのアメリカはアフガニスタンに報復の攻撃を仕掛けた。その後の中東の混乱はこの時始まった。中東から見れば世界が変わったのは、9.11ではなく9.12である。ブッシュは暴力に対して、暴力的解決を試みた。このことが大きな間違いであると言える。
世界からテロをなくすという戦いは、テロを増やしたに過ぎない。軍事作戦の成功の度に、「世界は一層安全になった。テロがなくなった」と勝ち誇る宣言をしていた。嘘である・
アメリカのアフガニスタン侵攻から、13年経った。イランに主軸を置いたアメリカに代わって、NATO主導の部隊である国際治安支援部隊(ISAF)がこれを担った。今月を持って退き、アフガニスタンの国軍の後方支援に移った。ISAFのキャンベル司令官は、「アフガニスタンの人々を絶望の暗がりから引き揚げ、希望を持たせた」と任務の成果を誇った。嘘である。
武力侵攻によってアフガニスタンから、タリバンなど暴力集団は撤退したか消滅したのかと言えば、全く逆である。ブッシュが倒したタリバン政権は、テロ集団として限りない殺戮を繰り返している。
アメリカは暴力の否定を、暴力で行っている。その典型が、オサマビン・ラディンのアメリカによる殺害である。この行為こそ、アメリカの行ったテロ行為と言える。オバマはこのテロ行為で、「テロの根を絶った」と宣言した。嘘である。テロをテロでなくすことはできない。
アメリカのアフガンの侵攻を、勝ちか負けかと言えばアメリカもISAFも勝つことができなかったといえる。タリバンは復活し、混乱は以前にまして暴力的になり、治安は一層悪化している。これは敗北であると言える。ソビエトの侵攻を教訓化できなかった。
タリバンとの交渉も全く進むことができない。タリバンは外国軍の支配を国民からナショナリズムに依拠する支援を受けている。こうした現実がある限り、決して暴力による解決はできるものではない。現政権が金銭的支援によってなんとか成立している限り、タリバン勢力は消えることはない。
本来であれば、国連の平和維持軍が駐留できるような環境を作るべきで、日本のように武力を持たない国家が介入するべきなのである。敵対する勢力よりより強力な武力を前提とした制圧などは、暴力の再生産を産むだけなのである。
安倍権は日本のこうした平和外交の根までたち切ってしまい、軍事国家へと歩み始めている。

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2 コメント

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嘘である・ (雑草Z)
2015-01-01 02:11:48
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。時事問題に対する批評は対応が素早く的確で、本当に参考になります。


 アメリカのブッシュ大統領や軍部の言った平和安全宣言や終結宣言をきっぱり『嘘である』と切り捨てる言い方が気持ちいいですね。じっかり状況判断されているからこそ言える言葉でしょう。

質問ですが、

プロフィールの挿絵や記事の終わりに時々出てくる挿絵・・・今回はカラーで大きいですが・・いつもいい感じです日本人でない方が描かれたような感じです。どこから引用されているのでしょうか?
Gulfnewsからです (そりゃないよ獣医さん)
2015-01-01 09:57:39
私たち田舎に住む者にとって、インターネットはありがたいものです。世界中の新聞が、都会の方と何の差別もなく見ることが出来るからです。
Gulfnewsもその一つです。
日本の報道の狭量さが解ります。

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