そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

単色化、御用化する日本の報道

2016-05-12 | 報道
数日前の日本の新聞の報道は一斉にパナマ文書をトップ記事として扱っていた。その直後は北朝鮮の35年ぶりの党大会と、金正恩の党のトップ就任やパレードばかりであった。2日ほど前は、オバマ大統領のサミット後の広島訪問がほとんどのトップ記事であった。
大きな事件や出来事はどの報道も重なることがあってもいいとは思うが、報道の内容はほとんど変わらないことにこの国の報道のありようが見て取れる。タックスヘイブンは合法だとか、北朝鮮は三代目の権力機構が出来上がったとか、オバマは広島を訪問しても謝罪はしないと、まるでコピペのような内容である。

かつて、環境保護活動をやっていた時のことである。我々の要求を受けて、町が撤退するというのであったが、翌日町長が記者会見する予定であった。その日の朝、ある新聞だけが撤退会見のその日の朝の新聞一面で報道した。各社は町長の記者会見後に一斉報道すると申し合わせていたのである。
町長の記者会見後、その新聞の記者を全員が囲んで詰っている光景を見て驚かされた。この国には、報道協定があることをその時に知った。出し抜けることができるのであるから、決定的な決まりではないが仲良し団体のようでもある。
その典型の一つが、2000年の大みそか前日に発覚した世田谷の一家殺人事件である。大量の物的痕跡を残していたこの事件に、キャリアのトップの若いエリートが指揮を執ると出てきたのである。友人の警官の男が、これでこの事件の解決は長引くと私に教えてくれた。すぐにでも犯人が見つかると思われたこの世田谷の事件は、いまだに解決していない。報道に警視庁は子細であったり重要であったりする事実を、断続的に垂れ流す。いまだに新事実と称して各社は、これを一斉に報道するのである。
権力者は自らに不都合な事実の公共を嫌う。当然のことである。IS(イスラム国)にフリージャーナリスト後藤さんが殺害された時に、日本政府はテロには屈しないといっただけである。オバマは、「後藤さんは勇気をもって取材しシリアの窮状を伝えようとした」と声明を出した。アメリカではこの年に報道者73名を失っている。日本政府がその後ジャーナリストのパスポートを取り上げた傲慢さは、報道はこれまで管制であることが前提になっている背景がある。
お揃いの報道をするのは、記者室にお役人から情報が入ってくるからである。自らの足で稼いだものではない情報が今日も紙面を埋め尽くす。


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