そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

アニマルウェルフェア(家畜福祉)の普及を目指して

2016-09-27 | アニマルウエルフェアー
秋になれば様々な団体や研究機関から、講習会などの案内がドンとくる。私もかつてはそれらを可能な限り追求し、会得しようとしていたものである。しかしながら、畜産分野の近代化はすべてが規模拡大、高生産性の追求のためであったことに気が付いたのは、さほど遠くはない。群管理や新たな機械の開発や添加物の必要性や血液検査による資料の評価など、どれを見ても人間の側からの経済評価しかないのである。
私たち獣医師は単なる修理師になって、不幸な牛たちの命を救済してきたのである。私たち獣医師は目前に病気になっている個別の診療を何より見優先しなければならず、飼育形態や酪農家の技量などをあまり問うこともなく多くの獣医師は、治療に明け暮れている現状がある。
とりわけ道東の日本で一番頭数を抱える酪農地帯でさえ、外に出して太陽を浴びることもほとんどなく、与えられる資料の6割以上のカロリーは輸入穀物に依存しているのである。農地は生産性が低く安いので酪農家は大型化へと移行する要素はあったのだと思いますが、結果的には土地生産性を無視した頭数を飼うことになっています。
多頭化するための土地は十分あり、釧路には輸入穀物が大量に受け入れられる港が整備されて、多くの酪農家はどんどん頭数を伸ばしました。大量の穀物を与えられた乳牛は高生産を強いられ、多頭数を観察管理することは物理的にも不十分で、乳牛は常時病気を抱えて牛乳を生産しています。そして何よりも経った二産しかしないで淘汰されます。
私は今日、自分が診療している牛を廃用に出しました。立てなくなったのです。先月10産目を産んだのですが、数日前から不調で廃用にしました。13歳でした。こんなことは通常の酪農家は経験しません。この農家は親牛(搾乳牛)は45頭ほどしかいませんが、200頭搾乳農家よの平均収入よりも手取りは多いと思います。

私たちは、アニマルウエルフェアの普及のため、「一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会」を立ち上げました。やっと会のサイトもまだ不十分ですが立ち上げました。会は認証制度を設け、家畜福祉の評価基準を作り、認証制度を設けました。だから何も経済的な優位性はありませんが、チーズなどの乳製品を販売すれば表示することもできるようになります。
やがて消費が乳製品を購入する時に店頭で、家畜の飼養方法がアニマルウェルフェアの基準に合っているか確認できるようになる時代が来ることを望んでいます。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« まるで独裁国家の領袖演説を... | トップ | 国民に支持されていないTP... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (きなこ)
2016-09-28 04:31:23
>獣医師が単なる修理師になっていた
ウ~ン名言ですね(゚.゚)

酪農家から獣医師になる人が増えれば、変わってくるかもしれませんね。
馬の装蹄師でも、自分でがっつり乗馬している人は、実際的で上手なことが多い気がします。
私も、管理にうるさいです。しかし、管理に口出すと、尊敬されなくて嫌われることが多いですね。
病気を治療してくれる先生は格好よく尊敬されますが。
口うるさい嫌われ者も、大事ですよね~、他の人には見えていないところが、その人には見えているのかもしれない。

これは余談ですが、優秀な馬術選手で、管理能力も素晴らしい(二人で30頭近く管理して、しかも競技で勝つ!)ある若い人が、獣医学部に入ったそうですが、ある教授に「馬に乗ったら単位やらん」とイジワル(としか思えない(`へ´メ))されたことがあるそうです。
現場で、馬に乗って身につけた高い能力、技術、感覚こそ、凄い貴重なのに、しょうもない妨害するなよ!(乗れもしないくせに!…どうでしょう(^-^;?)と、思いました。
キューバ旅で真実を見ました (唐松)
2016-09-29 00:15:57
 分野は違いますが、キューバでの同年代旅行者の危機的な状況に、早朝から深夜まで見守った貴殿の姿に本質を見ました。

 義務教育で学力向上を目指した自民党政権ですが、国際比較を見ると毎年没落し、高等教育も例外でなくなりました。

 かって、家庭訪問やド素人の部活動は普通でしたが、授業時間の確保で学校行事は制限。部活動では補償以上の要求で担当教員はいなくなりました。
 与えられた仕事に追われ、夢を持つ教師が少なくなっているのが寂しい現実です。

獣医界の危機感、教育でも同様に感じます。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アニマルウエルフェアー」カテゴリの最新記事