そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

震災に弱い大型農業、

2016-05-13 | 農業と食
安倍政権は農業の6次化あるいは、攻める農業とラッパを吹くが、工業的感覚の経営感覚が根底にある。ところが大型農業あるいは高生産農業は、きわめて自然災害に弱いのである。簡便で大きな施設は、風水害に簡単にやられてしまう。竜巻や強風で簡単に飛んでしまう。風で飛んだり雪で潰れたりする、ビニールハウスは毎度放映される。
大型の畜産などでは限界に近い形で生産を家畜に強制している。ちょっとしたことがストレスになったり、一気に生産が低下する。時として危機的状況になる。
何よりも規模拡大したことによる、経済的な負担がちょっとしたことで狂ってしまう。外部資本に依存する経営は生産基盤がぜい弱なのである。
今回の熊本地震では、大型養鶏や酪農や肉牛農家が相次いで撤退している。天災で辞めなければならないのは不幸なことであるが、政策的に大型化を奨励してきた経緯の責任は政権にある。奨励される6次化を実践していた酪農家は、観光客が激減して生産どころか売ることもできない。大規模畜産の典型である採卵鶏であるが、熊本地震で33万頭処分されている。
オイルショックや気象災害やリーマンショックなどの外的国際的要因に、大型農家は耐える能力がないのである。彼らが生き残っているのは周辺産業を潤しているために、社会的影響が大きく、政治的な力が強いからに他ならない。年5万頭出荷し2100頭豚を飼育する農家では、被害が1億円を超えると計算している。しかし経営を落とすわけにいかないと頑張っている。
食糧という、人類に間断なく届けなければならない製品を安定的に生産するためには、大型農業は適さない。今風な表現をすれば、危機管理ができない生産システムということになる。

そもそも、大型農業や大量生産は経営的にいいとは限らない。むしろ当地の酪農のように、大型酪農は経営効率が悪く規模拡大が農家に経済的負担が大きくなり、家畜に負荷が強くかかることなど、経営そのものがいいわけではない。
ただ農家をめぐる周辺産業が潤うために奨励されるだけである。規模拡大した農業では、労働量と負債が増えるばかりで、農家にメリットはない。震災にあわれた方には気の毒のほかないが、熊本地震を教訓にしていただきたいものである。
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