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ナルコレプシーの病因治療効果を確認

2017年05月19日 21時46分47秒 | 医療情報
ナルコレプシーの病因治療効果を確認
筑波大、オレキシン受容体作動薬「YNT-185」のマウス脳室内投与で
QLifePro 医療ニュース2017年5月19日 (金)配信 一般内科疾患精神科疾患神経内科疾患

 筑波大学は5月16日、オレキシン受容体作動薬「YNT-185」には、情動脱力発作(カタプレキシー)を抑制する効果があるだけでなく、覚醒時間の延長を促し、体重増加を抑える働きがあることを発見したと発表した。この研究は、同大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の研究グループによるもの。研究成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版に5月15日付けで掲載されている。
 ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気や感情の高まりなどによって、身体の筋肉が脱力するカタプレキシーなどを主な症状とし、患者の社会生活全般に深刻な影響をおよぼす睡眠障害。その原因としては、脳内視床下部で睡眠覚醒を制御するオレキシン産生細胞が脱落し、オレキシンが欠乏することで生じることであると、明らかとなっている。しかし、その治療法は薬物による対症治療と生活指導のみで、根本的な治療方法が未だにないのが現状だ。
 オレキシン受容体には1型と2型があり、その両方を欠損するとナルコレプシーが発症し、1型受容体のみの欠損では、睡眠覚醒の異常は見られていないという。その一方で、2型受容体を欠損すると、ナルコレプシー症状が起こることから、睡眠覚醒の制御においては、 2型受容体がより重要であると考えられている。
 マウスの脳内にオレキシンを直接投与することでナルコレプシーの症状は改善されるが、静脈や経口などによる末梢投与では、オレキシンが血液脳関門を通過することができないため効果はなく、ヒトへの応用の妨げとなっている。そのため、オレキシンと同様の機能を示し、末梢投与でも血液脳関門を通過し、治療効果を発揮するオレキシン受容体作動薬の創出が試みられてきた。
 WPI-IIISの長瀬博教授らのグループは2015年、オレキシン受容体作動薬として機能する化合物「YNT-185」の創出に成功。今回の研究では、YNT-185のナルコレプシー症状緩和作用をナルコレプシーモデルマウスで詳細に評価・解析し、ナルコレプシーの根本治療薬としての可能性を検討した。
 研究グループは、ヒトオレキシン受容体を定常的に発現させた細胞とマウス脳スライスを用いて、YNT-185がオレキシン2型受容体に対する選択的作動薬として働くことを確認。睡眠覚醒への影響を調べるために、YNT-185をマウスに脳室内投与して脳波測定による睡眠解析を行なったところ、活動期の覚醒時間が延長することが明らかになったという。また、作動薬の効果が消失したあとに、過剰に眠るような行動である「睡眠リバウンド」は見られなかったという。さらに、腹腔内、静脈、経口などの末梢投与でも同様の効果が見られたことから、YNT-185 は血液脳関門を通過することが確認されたとしている。
 また、ナルコレプシー症状への治療の有効性を調べるため、カタプレキシーを人為的に生じさせたマウスにYNT-185を投与したところ、カタプレキシーが抑制されることが示された。作動薬を活動期(暗期)に3時間毎、3晩続けて使用した場合も、効果は減弱することなく、症状を抑制。さらに、ナルコレプシー患者は体重が増加する傾向にあるが、同化合物をマウスに1日1回、14日間連日投与すると、体重の増加が抑制されることもわかったという。
 今回の研究から、YNT-185にはカタプレキシー抑制効果があり、オレキシン2型受容体作動薬がナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示された。さらにこの研究成果は、うつ病症状による過眠症、薬の副作用による過剰な眠気、時差ボケやシフトワークによる眠気など、ナルコレプシー以外の睡眠障害を改善するための創薬にもつながるという。眠気改善効果についてさらに詳細に検討するため、今後は概日リズム睡眠障害モデルマウスなどを用いた評価を行なう予定、と研究グループは述べている。
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