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「待機児童さらに増える」 申し込み殺到、自治体懸念 「表層深層」保育無償化

2018年01月20日 22時49分35秒 | 行政
「待機児童さらに増える」 申し込み殺到、自治体懸念 「表層深層」保育無償化
2018年1月9日 (火)配信共同通信社

 幼児教育・保育の無償化で待機児童が増えかねない-。国が打ち出した子育て支援策を巡り、実務を担う自治体の危機感が増している。保育所整備が十分に進まない中で無償化が実施され、利用申し込みが殺到する恐れがあるためだ。無償化となる施設や事業の線引きは夏に先送りされ、現場からは戸惑いの声が上がる。
 ▽競争激しく
 「無償化で計画の見直しが必要になった」。昨年4月時点の待機児童が849人と、全国で2番目に多かった岡山市の担当者が困惑気味に語る。
 市は2019年度末までに待機児童を解消する目標を掲げ、昨夏、3400人分の受け皿の整備計画を立てた。だがその後の衆院選で、安倍晋三首相が公約として幼児教育・保育の無償化を打ち出した。19年度からまず5歳児を対象に始まるが、今年4月入所の申し込み数を既に押し上げ、競争が激しくなっている印象を抱く。「今のうちから育児休業を早めに切り上げて狭き門をくぐろうとする動きを助長するのではないか」
 独自に第2子以降の保育料を無償にしている兵庫県明石市は、手厚い支援策により子育て世帯の転入が続く。泉房穂(いずみ・ふさほ)市長が「無償化と同時に待機児童の解消」を掲げて年千人規模の保育の受け皿拡大を進めるが、昨年4月の待機児童は全国で6番目の547人で、おととしの2倍以上。今年4月入所の1次申し込み数は前年比で約1割増えた。
 泉市長は「無償化と待機児童の解消は車の両輪で、二者択一は間違いだ」と強調。「政府は必要となる保育量を少なく見積もったまま、衆院選向けに無償化を打ち出した」と批判する。
 ▽先送り
 保護者らから「無償化より待機児童の受け皿を優先すべきだ」といった声が相次ぐ中、政府は昨年末に「人づくり革命」と呼ぶ無償化を盛り込んだ政策パッケージを策定。だが無償化の詳細な制度設計は明確にしないまま、専門家会議を設置して議論することに。決定は夏に先送りされた。
 このため、関係者からは「影響を見極めづらい」といった訴えも目立つ。認可保育所の場合、世帯所得に関わらず全ての3~5歳児が対象となることが決まったが、認可外の場合はどこまでの施設、事業が対象となるかは未定で、利用料の補助額も決まっていないからだ。
 「制度設計によっては、認可に利用希望が殺到する」(東京都世田谷区)、「待機児童がいる中での無償化は、認可に入れない保護者の怒りや不公平感が増すのではないか」(東京都府中市)と、不安は尽きない。
 ▽現場の実態
 横浜市の林文子(はやし・ふみこ)市長は昨年11月、「現場を知る自治体の意見を聞いてほしい」と厚生労働省や内閣府へ緊急要望した。市では幼稚園に午後6時半までの預かり保育の協力を求め、約7割が実施するまでに。来年度は約8千人の利用を見込むが、無償化の対象になるかは分からない。担当者は「自治体ごとに取り組みも違う。きちんと実態を踏まえ議論してほしい」と話す。
 「保育園を考える親の会」の普光院亜紀(ふこういん・あき)代表は、受け皿や保育士が足りない中での無償化に強い懸念を抱く。「人手不足に拍車がかかれば、国が考えるのは保育士数などの規制緩和だ。その結果、保育の質が下がり、子どもたちがしわ寄せを受けてしまう」

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