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出雲で進む在宅の終末期医療 普及へ市民の啓発重要

2016年12月31日 13時35分59秒 | 地域
出雲で進む在宅の終末期医療 普及へ市民の啓発重要
2016年12月28日 (水)配信山陰中央新報

 出雲市で患者が終末期に自宅で過ごす在宅医療の環境が整い始めている。総合病院の医師や開業医、福祉関係者らの連携の機会が増えたことに加え、医療用麻薬を投与する機器を使った出雲独自の仕組みもあるためだ。市民の在宅医療に対する一定のニーズはあるが、地域で受けられることを知らない患者や家族は多い。さらなる普及には体制強化とともに、理解促進に向けた啓発が重要になる。
 2015年1月24日、出雲市小山町で建設会社を営む木村秀義さん=当時(47)=は、最後の誕生日を自宅で迎えた。ケーキのろうそくの火を吹き消し、妻の優子さん(47)と4人の子、2人の孫に囲まれ、喜んだ。
 末期の食道胃接合部がんを患い、14年6月に余命半年を告げられた。終末期を自宅で過ごすことも可能と知り、入院中の島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)の医師らと相談し、14年12月25日に退院した。
 仕事を再開し、休日は趣味の競馬や家族旅行を楽しんだ。誕生日の1週間後の1月30日に症状が悪化し、家族に見守られて自宅で息を引き取った。優子さんは「入院中は落ち込んでいたのに、家に帰って好きなことをして楽しそうにしていた」と、家族と自宅で過ごせたことに感謝した。
「自宅で最期を」38%
 終末期医療を在宅で提供する動きは、医療費抑制のために入院期間を抑え、在宅医療への移行を促した14年度の診療報酬改定が後押ししている。
 住み慣れた自宅で終末期を過ごしたいというニーズは一定程度ある。出雲市の15年度の調査で「人生の最期をどこで過ごしたいか」との問いに、市民1551人の38・5%が「自宅」と答え、最多だった。
 とはいえ、在宅医療を誰もが受けられるわけではない。医療や介護などの従事者が存在し、連携できる環境が不可欠だ。同市は総合病院の医師の呼び掛けに開業医らが呼応し、主に市中心部で体制ができてきた。
 木村さんの場合、訪問看護師が毎日訪れ、在宅医は定期診療と急な呼び出しにも応じた。点滴のように注射針を刺し、患者がスイッチを押せば、あらかじめ処方された量の鎮痛薬が自動的に追加投与されるPCA(自己調節鎮痛)ポンプを自宅で使いやすい仕組みを、市内の医療関係者らで構築したのも大きかった。
 出雲市には過去の緊急往診や看取(みと)りの実績などの要件を満たし、自宅療養を支える機能強化型在宅療養支援診療所が10カ所ある。県内は他に4市9カ所しかなく、充実ぶりが際立つ。
 木村さんを担当した、すぎうら医院(出雲市今市町北本町2丁目)は、がん患者を在宅で看取ったのが、13年度の8件から、15年度は半年間で17件に上る。
 同市は総合病院の医師や開業医、介護福祉関係者らが自主的に在宅医療に関する研修や意見交換する動きが活発で、連携の土壌ができており、県立中央病院(同市姫原4丁目)緩和ケアチームリーダーで総合診療科の今田敏宏医長(43)は「出雲は進んでいる」と説明する。
選択肢として提示へ
 課題もある。在宅医療は、医療機関の少ない島根半島沿岸部や山間部では難しく、出雲市でさえ全てのニーズに対応できているわけではない。
 患者の側の認識も十分でない。同市の15年度調査で在宅医療を知っているのは86・1%だったが、具体的なサービスが分からないとの回答も約70%に及んだ。緊急時の対応への不安、家族に迷惑を掛けるという患者の遠慮などから、在宅は無理との見方も依然ある。
 島根大医学部付属病院緩和ケア病棟の橋本龍也医長(43)は「選択肢としてきちんと提示できるようにすることが大事だ」と説く。
 自宅での療養や看取りは患者や家族が話し合い、納得して決めるところから始まる。医療機関などは体制をつくり、実績を重ね、在宅医療の重要性を発信し続けていくことが大切だ。
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