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頭蓋内動脈病変、内科治療の動向【STROKE2017】

2017年05月06日 05時45分59秒 | 医療情報
頭蓋内動脈病変、内科治療の動向【STROKE2017】
抗血小板薬2剤併用と脂質管理が脳卒中予防の鍵に
日本脳卒中学会2017年5月2日 (火)配信 一般内科疾患循環器疾患内分泌・代謝疾患脳神経外科疾患

 症候性頭蓋内動脈病変を有する患者の脳卒中再発率は最初の90日間で12%程度ときわめて高く、積極的な再発予防が望まれている。第42回日本脳卒中学会学術集会(3月16-19日、大阪市)のシンポジウム「頭蓋内動脈病変の診断と治療」では、兵庫県立姫路循環器病センター神経内科部長・脳卒中センター長の上原敏志氏が近年の内科的治療の動向を解説。「再発予防には、3週間から3カ月程度の抗血小板薬2剤併用療法が有効だ。スタチン投与の有効性も明らかになりつつある」と述べた。
急性期3週間から3カ月間の抗血小板薬2剤併用が有効
 頭蓋内主幹動脈の狭窄性病変は虚血性脳卒中の原因の1つで、アジア人では欧米人より有病率が高いといわれる。特に症候性頭蓋内病変がある場合は脳卒中再発率が高く、軽症脳梗塞または一過性脳虚血発作 (TIA) 例を対象としたCHANCE試験のサブ解析では、発症後90日以内の再発率が頭蓋内病変なし群より2倍以上高いことが報告された(12.5% vs 5.4%; p<0.0001、Neurology. 2015, 29;85(13):1154-62.)。上原氏らが最近行ったTIA例での検討でも、頭蓋内動脈病変のある例では90日以内の脳卒中発症率が13-14%と、病変がない例より3倍近く高いことが分かっているという。
 そこで焦点になってくるのが、脳卒中急性期からの積極的な再発予防治療だ。
 上原氏によると、2011年に報告されたSAMMPRIS試験は、この「積極的予防治療」の内容に重要な示唆を与えた(N Engl J Med. 2011, 15;365(11):993-1003)。
 試験対象は、頭蓋内主幹動脈に70-99%の狭窄があり、これに起因して30日以内にTIAまたは脳梗塞を発症した患者451例。積極的な内科的治療のみを行う群と、積極的内科的治療に加えて狭窄部位への血管内治療を行った群に割り付けて、30日後の脳卒中発症または死亡率を検討したところ、血管内治療を加えるより内科的治療のみの方が有意に低かった(14.7% vs. 5.8%)。1年後でも、内科的治療のみの方でイベント発生が少ない状況は変わらなかった。
 積極的内科治療では、90日間抗血小板薬2剤(アスピリン325mg/日+クロピドグレル75mg/日)を投与し、以降はアスピリン単剤とした。収縮期血圧140mmHgとLDLコレステロール70mg/dL未満への管理、徹底した生活指導も行われていた。
 抗血小板薬2剤併用療法の有用性についてはCHANCE試験でも検討されており、アスピリン+クロピドグレルの3週間併用群とアスピリン単剤群との比較で、併用群では90日以内の脳卒中再発が少なく、出血イベントには両群間で統計学的有意差はないことが示された。「この2試験の結果からは、3週間から3カ月間の2剤併用療法が有効である可能性が示唆された」と上原氏。
頭蓋内病変にもスタチンか
 上原氏によると、SAMMPRIS試験において内科治療で“予想以上に”脳卒中再発が抑えられた要因は、抗血小板療法以外にもあった。収縮期血圧140mmHgとLDLコレステロール70mg/dL未満への管理、および生活指導の徹底だ。いわゆる動脈硬化の危険因子の管理である。
 この頭蓋内動脈狭窄に関わる危険因子について、世界中の研究報告を時系列で見ていくと、2007年を境に結果が大きく変わっていることが分かるのだという。
 2007年以前は無症候性を対象にした研究が大半であり、いずれの研究でも高血圧あるいは糖尿病が危険因子という結果になっていた。それが2007年以降は、症候性を対象にした研究が増えた影響か、高血圧よりもメタボリックシンドロームや脂質異常との関連性が指摘されるようになった。「これは私見だが、脂質異常が加わることによって、無症候性の病変が症候性になりやすい可能性もあるのではないか」と上原氏。
 頭蓋内動脈病変の形態の時代的変遷も考えられる。頭蓋内動脈病変は、血管剛性を引き起こす血管内皮障害に続発する硬化が主であり、脂質沈着および炎症によって生じる粥腫が主である頸動脈や冠動脈病変とは異なると考えられていたが、最近、頭蓋内動脈病変も頚動脈や冠動脈病変と同様に粥腫が主であるという報告が増えてきている。つまり、頭蓋内病変についても、頚動脈や冠動脈同様、脂質異常が危険因子として関与している可能性が示されてきた訳だ。
 こうした知見を基に検討が始まったのが、頭蓋内病変に対するスタチン治療の有効性である。
 2016年には韓国のChungらが、頭蓋内動脈病変に起因する急性期脳梗塞136例を対象に、高分解能MRIを用いたプラークの性状と脳梗塞パターンを検討し、脳梗塞発症前からのスタチン使用群では不安定プラークが抑制され、皮質を含む大梗塞の発生頻度が少ないことを報告している(Stroke. 2016, 47(7):1789-96.)。
 頭蓋内狭窄病変に対するスタチンの有効性についての研究はまだ緒に就いた段階だが、上原氏は「頭蓋内病変についても、動脈硬化のリスク管理が有効であることが分かってきた」として、脳卒中再発予防における内科的治療の可能性に期待を寄せた。
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