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切った髪、もう捨てない 病気の子のウイッグに 人気女優らも賛同

2016年10月15日 22時13分41秒 | 医療情報
切った髪、もう捨てない 病気の子のウイッグに 人気女優らも賛同
その他 2016年10月14日 (金)配信毎日新聞社

 小児がんの治療や脱毛症などで頭髪を失った子どものため、長い髪を切って寄付する人が増えている。集まった髪で作ったウイッグ(かつら)を贈る「ヘアドネーション(髪の寄付)」で、賛同する美容室は急増。「捨てるだけの髪で、子どもたちが笑顔になってくれたら」と、子どもや男性、人気女優からの寄付も。この活動を支える人たちの「思い」を知りたくなった。【鈴木梢】
 東京都内に住む大学生の村上陸人さん(20)は、爽やか好青年という印象とは違う意外な言葉を漏らした。「今年の春までは、飲食店でアルバイトをしたくても断られてしまうだろうと考え、諦めていました」
 その理由は、背中まであった長髪。髪を伸ばす前から、散髪する度に「切った髪を生かせないものか」と感じていたところ、髪の寄付は性別を問わずに参加できると知った。2年半かけて伸ばした末、東京都世田谷区の美容室「55ジェット」がこの夏に開いたチャリティーイベントで、一気に約40センチをカットした。さすがに「頭が軽い」と爽快感を味わった。
 この美容室は、開店20周年を迎えた昨年、寄付のため髪をカットする活動に加わった。代表の当間紀之さん(49)は「美容師だからできる社会貢献は何かと考えてきた。その結論がドネーションだったんです」と振り返る。
 寄付を希望する人のカット料金は通常の2割引き。寄付した人には記念に店独自の特製バッジをプレゼントしている。受け取った人には「勲章」と喜ばれているが、店側はバッグに付けて歩いてもらうことで、活動の認知度アップも期待している。
 啓蒙(けいもう)の一環として6月に実施したチャリティーイベントには、3歳から50代の男女43人が集まった。都内に住む主婦の神谷晶子さん(40)は2回目の寄付になった。大学時代に白血病を患っていた友人が、治療で髪が抜けた姿に心を痛めていたことが忘れられないと話す。米国に住んでいた5年ほど前に初めて寄付した経験があり、「日本で活動の認知度が高まっていると実感した」と言う。
 身近な人が現在、がんを患っているという人もいた。横浜市の高校3年の女子生徒(18)は、白血病で抗がん剤治療を続けている親友を思いやり、参加を決めた。「彼女はとてもおしゃれで、以前は長い髪を大切にしていた。だから自分も髪を切って活動に役立てたいと思った」
 イベントには、子どもの参加が多いことに驚かされる。「中には男の子もいるんですよ」と当間さんは笑顔で話す。
 髪が腰に達する後ろ姿は、参加最年少で横浜市の村田義希(よしき)君(3)。散髪嫌いで、女の子に間違えられることもしばしばだったそう。約40センチを寄付し、周囲から「格好いい」との言葉を浴びた。
 ヘアドネーションは1990年代に米国で広まったとされる。国内ではNPO法人「ジャパン・ヘア・ドネーション・アンド・チャリティー」(JHDAC、大阪市北区)が2009年に活動を始めた。
 ウイッグは病気やけがで髪の毛を失った18歳以下の子どもに無償で提供される。人工毛と比べ、自毛に近いと好評だ。募るのは、ウイッグに最低限必要とされる12インチ(約31センチ)以上の長さの髪だ。賛同する美容室は全国で1200店舗に上ると見られ、JHDACには、全国から髪が入った郵便物が1日平均約100個届く。
 認知度を高めたのは、柴咲コウさんら人気女優が長い髪を切り、寄付したことをブログや写真共有アプリで発信したこと。若い女性を中心に活動に注目が集まった。
 女優の水野美紀さんも寄付をした一人。昨年、ドラマの役作りのためにロングヘアを短く切った際、行きつけの美容室が活動に積極的だったことから寄付を申し出た。
 記念に自らの髪にハサミを入れた水野さん。「髪を切ったことにこれまでとは違う充実感があった」。美容師から髪の束を見せてもらうと、「伸ばしてよかった」と実感した。
 活動を広げたいと考える水野さんは、賛同する美容室が増えることがまず重要だと話す。「髪を寄付したいと考えても切り方や送り方が分からない。でも、行きつけの美容室が賛同していれば、一歩踏み出しやすいのでは。将来的には子ども1人に長さが違う複数のウイッグが行き渡るぐらい寄付が一般的になればいいですね」。次に髪が伸びた時も寄付したいという。
 JHDACは手応えを感じている一方で、課題も認識している。その一つが、50センチ以上の長い髪の不足だ。女の子の多くが希望するロングヘアのウイッグ作りには十分に対応できていないのが実情という。
 また、ウイッグ作りには時間や費用がかかり、これまでに贈ったのは115人にとどまる。さらなる課題は人手や資金の不足。頭の採寸から髪質を均一にする作業には人手がかかり、1台10万円以上になる費用も募金に頼っている。今も約100人の子どもたちが提供を待っているが、供給が追いつかない。
 では、活動をもっと広げるには何が必要なのだろう。JHDAC設立者の一人で、事務局長の渡辺貴一さん(45)は「ウイッグ作りはJHDACのメンバーら個人に依存しているが、信頼できるかつら企業などと連携し、組織的に運営する必要性が高まっている」と話す。
 「髪を切るだけで、これほどすがすがしい気持ちになったのは初めて」。寄付した人は口をそろえる。
 前出の当間さんは言う。「この活動のいいところは、すべての人が笑顔になること。美容室の鏡の中の髪を切る人と切られる人、その先にいる子どもたちの笑顔を見たいという気持ちが何より原動力になる」
 髪を切った女性のほとんどは、こんな経験をしているだろう。「失恋でもしたの?」という反応。渡辺さんはこの言葉に対し、男性から「ドネーションしてきたの?」と尋ねられることが、活動が一般化したバロメーターになると考える。
 髪を切る=失恋。「そんな発想もう古い」と笑って言い返せる時代が近いことを願いたい。
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