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茨城空港は、明確な目的・位置づけを持つべき

2010年03月23日 | ニュースの視点
国内で98番目の空港となる茨城空港が11日、開港した。

羽田、成田に次ぐ首都圏第3の空港として地元の期待は大きいが、現在決まっている定期便は韓国のアシアナ航空のソウルと、スカイマークによる神戸の2路線のみだ。

茨城空港は百里基地にある「百里飛行場」を兼ねている、軍民共用の空港だ。

私としてはその利点を活かして、空港としての目的・位置づけを明確にして欲しかったと思う。

例えば、成田空港は風による影響で閉鎖されることが比較的多い空港だから、成田空港に着陸できない場合の非常用の空港という位置づけなどが考えられる。

あるいは、団体のチャーター便を専門に受け入れる空港というのでも良いだろう。

ところが実際には、利用者が伸び悩んでいる静岡空港などと同じように「普通の空港」としてスタートしてしまった。

定期便は韓国のアシアナ航空のソウルと、スカイマークによる神戸の2路線のみとのことだが、これらも決定的な意味で「茨城空港が必要」だという理由にはならないと感じる。

なぜこのような空港が建設されることになるのかと言えば、「需要予測」によって「需要があると判断した」というのがその理由だ。

しかし実際のところ、「需要予測」と「実績値」の間には大きな乖離がある。

朝日新聞の集計による2008年度の国内空港の需要予測に対する達成率を見ると、需要予測に対して実績が100%を超えたのは、比較可能な69空港中わずか8空港のみだ。

「需要予測」のレポートは、ゼネコン、地元の政治家、産業界の「空港が欲しい」という期待を一身に背負って「○○総研」、「○○研究所」というような企業や航空行政の関係官庁出身者も多く在籍する財団法人が依頼を受けてまとめているケースもある。

結果、必然的にレポートをまとめるときには、ありもしない数字を並べて実態以上に大きな絵を描く傾向が強くなる。

こうした事態にならないためには、需要予測レポートをまとめた企業を公開し、きちんと責任を明示することだろう。

そして需要予測を大きく外してしまった場合には、今後その企業に需要予測レポートを発注しない、というくらいの厳しい姿勢が必要だと思う。

ここを放置してしまうから、毎年1つや2つ似たような不幸な事例が生まれてしまうのだ。

地方空港だけの問題ではなく、八ツ場ダムなどの建設についても全く同じ点に根本的な問題があると私は見ている。

私自身も需要予測をまとめたことがあるので分かるのだが、ちょっと工夫すればどのような数値を見せることもできてしまう。

だからこそ、そこにどれだけ冷徹なビジネスマンとしての厳しい目を向けられるかが重要だ。

すでに間違った需要予測に基づいて建設されてしまった全国の地方空港について、あるいは全国の空港統廃合については、「自由競争」に任せるべきだと私は思う。

自由競争の結果、つぶれる空港が出てきても資金援助をするべきではない。

また、例えば「羽田空港をマッコーリーが買いたい」というなら、それもアリだと私は思う。

ダメな空港をむやみに救済するのではなく、「資金を出してでも経営したい」という人がいるなら任せてみれば良いだろう。

そして、こうしたことに政府は決して干渉するべきではない。

自由競争の結果として「自然に」生き残るところが出てくる、という状況があるべき姿だと私は思う。
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9 コメント

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Unknown (永続する「自民党」のツケ…)
2010-03-23 13:32:06
公共事業は否定しないけど効果が無いのはもう勘弁!
静岡空港で最後かと思ったが・・・ (しなちく)
2010-03-23 17:24:18
また馬鹿な事を繰り返していますよね。
もともと関東空域は羽田・成田・百里と超過密空域のはず。計画した便数を処理できる管制キャパさえなかったのではないかとさえ思う。
この点クリアできているのか検証したんですかね。
税金をジャブジャブ天下り先へ渡すのは、これきりにして欲しい。
間違いない (kazushi11)
2010-03-23 19:19:47
この主張、間違いないない
しかしね、
どの程度の計画でこれを進めるか
って関係団体の猛反対を一つずつとって
いかなきゃだだから
すごく大変そう。。。
でも、やれよ。間違ってるんだから。
事無かれ主義 (ks)
2010-03-24 16:33:05
戦後日本に蔓延る、自分さえ良ければの典型的な事無かれ主義の産物。

柔軟性さえ失う現代日本人。

民主党に政権交代してから話題になる休日分散化、地方分権、高速道路無料化、子供手当、授業料無償化、公共事業見直し、事業仕分け等々を聞く度に、日本国憲法の見直し、憲法改正議論が必要であると確信する今日この頃。

国の根幹を定義する憲法に対して、自分自身も含め、より理解する事が日本国民全員に必要だと思う。

根幹がグラグラで不理解じゃ何も始まらない。政官財がバラバラだもの。継ぎ接ぎだらけの政策&行政。
皇室典範の議論もどこに行ったのやら。
本当は作らなければ良かった (不動産ブローカー)
2010-03-24 16:46:04
 チャーター便という発想は面白いですね。
荒唐無稽な利用客予想をしたところへは発注しないというのも有効な手だと思います。
 ただ、離島の空港は利便性の供与というより最低限の生活インフラなので一概に全て自しまえ由競争にしまえば良いかというと、そうではないと思う。
 
陸海空 (熊五郎)
2010-03-29 09:08:49
・茨城のこの地区に何故空港が必要だと思ったのか開発をスタートする段階で誰も疑問に思わなかったのでしょうか。今後、捏造された利用客予想を大幅に下回る利用客しかこの空港を利用しなかった場合、建設費が回収できず、次世代に大きな負担を残す事がわからなかったのでしょうか。
・空港建設のような大きな事業を開始する際には、もっと十分な検討をするべきだと思います。その際に重要となるのは大前さんの言うように透明性で、議論が出来るデータの開示なのだと思います。また、どのような状態になったら開発そのものを中止するのかも事前に検討しておくべきではないでしょうか?一般の会社で当たり前に行なわれている新規事業の立ち上げプロセスが、空港建設のような重要な案件に活用されていないように見えるのは、とても残念です。
・割と近くに東京都いう強烈なライバルがいる状態で、茨城空港を活用するには空港単体だけで考えるのではなく、港や高速道路との連携なども視野にいれなければ、とても無理だと思います。例えば、つくば市に世界的な学会や見本市を誘致し、茨城空港を使用してもらう事を考え、外国人でも走りやすい高速道路や街中を整備したり、宿泊するホテルを整備したりするのはいかがでしょうか。さらに、港湾を整備し、船積貨物との連携を強化することで、貨物空港として活用してもらうなどはいかがでしょうか。この場合、東京との価格差をどれだけ付けられるかや、小回り(融通)がどれだけ利くか、入管にかかる時間をどれだけ短く出来るかなどライバルに比べてトータルサービスでどこまで差別化できるのかが重要になってくると思います。
・作ってしまったからには有効に使わなければならず、知恵をしぼって少しでも日本の役に立てるように、次世代の負担とならないようにしていきたいですね。


Unknown (Unknown)
2010-04-03 12:57:39
最初に仕分をキッチリやっておけばよかったのにね。
Unknown (通りすがりですが)
2010-04-12 00:12:52
ターミナルビルはチャーター便とか格安航空会社(LCC)の就航を目指した低コストの設計になっているそうです。(定期便の就航が決まらなくて、いささか泥縄的な対応ですが。)
http://blog.hitachi-net.jp/archives/51011182.html
http://blog.hitachi-net.jp/archives/51004678.html
首都圏とのアクセスに難がありますし(常磐線までの専用バス&東京までの直行バス企画もあるそうです。)、LCCは撤退するのもあっという間ですので、茨城空港を「市場」がどう評価するか、大化けするかどうかを楽しみにしています。
(こけても、自衛隊用の滑走路の増設&改修にはなったのですから、もともと損ではないですから。)
Unknown (Unknown)
2010-04-13 09:48:54
JAL破綻で注目を集めた空港整備の特別会計がいい例です。特会でムダな空港を造り続け、自民党の族議員は空港建設で業者に利益を誘導。官僚たちは関連団体にゾロゾロ天下ってきました(霞ヶ関事情通)

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