フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月23日(金) 晴れ

2007-11-24 02:36:41 | Weblog
  午後、散歩に出ようかどうしようか迷ったが、録画してまだ観ていなかったETV特集「言葉で奏でる音楽~吉田秀和の軌跡」(2007年7月1日放送)を観ることにした。前回の「ライフストーリーの社会学」の授業で吉田さんの「私の転機:終戦目前の召集令状」という文章を取り上げたのがきっかけである。吉田さんは召集令状に従って昭和20年3月8日に大阪に徴兵検査を受けに出向いたが、不合格となり、見知らぬ人の善意で大阪に一泊し、帰京を一日延ばしたおかげで、3月10日未明の東京大空襲に遭わずにすんだ。吉田さんはこの2日間の経験から、自分の生命がいかに多くの人の死と苦難と善意によってあがわなれたものかを知った。戦後間もなく、吉田さんはそれまでの勤めを辞め、何の成算もないまま音楽でものを書く生活に腰をすえた。それは、今度こそ自分の力で生き、いつ死んでも悔いのない日々を送ろうと考えたからだった。音楽評論家「吉田秀和」誕生のエピソードである。吉田さんは1913年の生まれ。今年で94歳であるが、週に一度のNHKFM「名曲の楽しみ」、年に4回のペースの朝日新聞「音楽展望」をいまも担当されている。ETV特集「言葉で奏でる音楽~吉田秀和の軌跡」は1時間半の番組だったが、言葉を選びながら穏やかに語る吉田さんの姿に私は釘付けになってしまった。それはとても充実した午後のひとときだった。本当に深く考えている人は決してエラソーに語ったりしないものだということ、心の底から好きな仕事をしている人は仕事の大変さではなくその楽しみを語るものだということ、そういうことを吉田さんの語りを聞きながら改めて認識した。
  夕方、今夜はすき焼きにしようと提案する。今夜は家族全員がそろっているから(それは最近では週に一度あるかないかだ)、娘の誕生日(25日)と妻の誕生日(28日)のお祝いを今夜やろうと。妻は外食に未練があったようだが、今日大学の授業があって帰宅したばかりの娘は(金曜日の授業回数を確保するために祝日にもかかわず授業があったのである)家で食事がしたいといい、私の提案が通った。さっそく私と息子の二人で買出しに出かける。東急のスーパーですき焼きの食材一式を仕入れる。肉は一番高い100グラム1200円のものにする(ただし数が足りなかったので、980円、780円のものも混ぜる)。これまでのわが家の記録は100グラム1300円だったから、記録更新とはいかないが、それに「肉迫」するものである。東急プラザの名店街でケーキとプレゼント用にチョコレートの詰め合わせを2箱購入。家の近所の花屋で花束(2束)を購入。食材とケーキとチョコレートの代金は私が負担し、花束の代金は息子が負担した。月明かりの道を歩きながら、女性へのプレゼントの大切さについて息子に語って聞かせた。

           
                     明日が満月
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