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この世界の片隅に。後編。







 私は昨年10月初めて広島に出張で訪れ、打ち合わせの後、平和記念公園と呉の大和ミュージアムを訪問させて頂いたことはブログにも書きましたのでご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。
 この世界の片隅にはその翌月公開されたのでした。私が感銘を受けた二つの土地「広島」と「呉」が舞台であるこの作品にちょっとした縁を感じるのでありました。



タイムスリップしたこうの氏

 原作者のこうの氏は広島出身です。彼女の出世作は「夕凪の街 桜の国」という原爆投下後の広島市を描いた作品です。そしてその次の作品がこの「この世界の片隅に」です。

 彼女の母と祖母が呉出身であり、戦前戦中の人達の暮らしがどういうものであったか。ということを作品にしたのでした。このお話はフィクションでありますが、時代考証はもう本当に詳細に行われており、平成の作品でありながら、当時の昭和の匂いを私達に運んでくれます。

 絵は上手であったけれど要領の悪い主人公すずはこうの氏御自身の投射であろうと思いますが、その時代と舞台は、彼女の母と祖母の住んでいた街「呉」であり、緻密な取材と彼女の母系の血の繋がりの霊感?から当時の世界がリアルの空気感で私達の前に広がっていきます。





主人公すずとこうの史代さん。似ていますね〜。



平成と昭和を同時に生きる

 この作品の原作は「漫画アクション」という雑誌に掲載されておりました。この作品の連載は平成と昭和が同時に存在していました。連載開始が平成18年の年末です。この時「このせか」の舞台は昭和18年の年末からの話です。こうして平成19年になると、漫画の舞台も昭和19年になり、現代の時間の流れと同じ早さで読者も昭和の時代を進んでいくことになります。

この作品が淡々と話が進んでいく秘密は平成と昭和の同時進行にあったのでした。映画の中でも淡々と人々の生活が進んで行きます。







 こうして連載は平成20年の8月(漫画の世界では昭和20年8月)に向けて淡々と進んでいきます。



ゆっくりと激化していく戦況

 すずが嫁いだ呉は日本最大の軍港の一つであり戦艦大和の生まれた土地です。



 このため日本の制空権を取られ始めてから、敵機が呉の軍港を襲い、呉の空は空中戦が毎日行われるようになります。



 ただし初めて私達が空中戦を見るとすずのように呆然と見入ってしまうかもしれません。



 こうして戦況がどんどん苦しくなって行きます。軍の病院に入院した義父からは「ここにいるといろんなことがわかる。大和も沈んだ。日本は多分負ける」と聞かされます。
 私達は昭和20年の8月6日に近づいていることを、心の片隅では覚えていながら、すっかり「この世界の片隅に」と同じ時間軸を体験して行きます。そう。あの8月6日。すずの生まれ故郷である広島。



心揺さぶられる展開

 シン・ゴジラも君の名はもネタバレになるので肝心なことは書けませんでしたが、このせかについても同様です。淡々と進む戦時中の日常生活劇は私達の心を大きく揺さぶる展開へとなっていきます。予告編からは想像もつかない展開かも?

 上映している映画館の多くもこの三連休までのところが多いのが残念でありますが、機会がある方は是非ご覧になって頂きたいと思います。

映画『この世界の片隅に』予告編






補足1
終戦の日、玉音放送の流れる中、韓国の太極旗が上がるシーンがあります。ほんの1〜2秒でしかも太極旗は小さいので多くの人は気づかなかったかもしれません。
しかしこうの氏はその綿密な取材の中で、朝鮮進駐軍の悪逆な行為もいくつも知ることになったのだなあと思います。ただそのことは今の日本ではタブーですので、このように映画の1シーンで少しだけチラッと見せるだけが精一杯の表現であったと思います。

私はこの映画が「旧日本=悪」という単純な反戦映画ではないと感じている一つの理由のシーンです。戦争はあってはならない。しかし「旧日本=悪」というステレオタイプから抜け出す時代に入っているということを示す映画であり、その映画が口コミで大ヒットになっていることに感動いたします。





補足2
主人公すずの声を演じているのは「あまちゃん」の主人公を演じたのん(能年玲奈)さんです。彼女は事務所問題からほぼ芸能界を干されたようでしたが、この映画では非常に良い味を出されていました。ゼロからの出発とは人に大きな恩寵を与えるのかもしれません。



 ありがとうございます。





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コメント ( 13 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
この世界のかたすみに (ちゅぶ)
2017-03-20 15:17:33
いつもありがとうございます。
映画は見てませんが、漫画で読みました。家内は映画を見たようです。
年中の子供と見たそうですが、年中は空爆シーンで思わず声を出したそうです(笑

いつもと同じ生活に戦争が入り込んでくるというのは、今までの戦争漫画にはなく、
感銘を受けたのを覚えています。

日本を再びこういった状況にしてはいけないと思うのですが、一部の国会議員は
足を引っ張ることしか考えてませんね。。。。
あーー、森○問題はやく終われよ、と思うこの頃です。
 
 
 
ただいま映画館におります (なのみーな)
2017-03-20 15:30:45
まもなく始まりまーす。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2017-03-20 15:40:35
こうの史代さんは「ぼおるぺん古事記」も素晴らしいですよ。古事記の躍動感そのままです。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2017-03-20 16:40:45
シンゴジや君の名はとは違いほとんど民放では特集されることのなかった(「能年玲奈」改め「のん」が芸能界から干されているのが理由でもあるらしい…)この作品が大ヒットロングランとなりとても嬉しく思っております。
 
 
 
Unknown (みきぷる)
2017-03-20 17:25:19
「夕凪の街 桜の国」  何年か前、田中麗奈さん主演で映画を見ました。とても感動したのにハッキリと覚えていない。   広島、呉の海軍工ショウから見たキノコ雲は、少年だった亡き父の目に、どう写ったのかな。 どんな悲しみや苦しみの後にも、絶体、楽しいこともある~!笑っちゃお!←ひょっこりひょうたん島みたい。 
 
 
 
こっちの出来事は何処? (ハルカ)
2017-03-20 18:30:45
第三国人は高倉健氏主演、映画三代目襲名の冒頭に出てきますね。

まるぞうさん、軍都は我が市もそうです。
広島長崎後の海軍工廠空襲なので影が薄いですが。
今でも工業団地だし自衛隊駐屯地です。
 
 
 
Unknown (たま♪)
2017-03-20 18:59:58
地上波を待ちます♪
テレビでも取り上げられていたのですね~。
https://www.youtube.com/watch?v=jjDfKLdfWhI
自分は、山口で育ったので、呉の方言も近いものがあって、心地良いです。自分のことを うち と言ってたことを思い出しました。能年ちゃんの方言っぷりもいいなあ♪と思いました^0^
挿入歌も良かです☆
https://www.youtube.com/watch?v=C8IYZkoWodE
 
 
 
Unknown (Unknown)
2017-03-20 19:04:15
能年さんが大河の主役にも関わらず、仕事帰りにスーパーの値引きされたお弁当をうれしそうに買って帰るのを見て、監督がすずさんは能年さんしかいない!と、思ったそうですね。最初は小さい映画館でしかやってなく、観ることができないなと諦めていたんですが、しばらくすると大きな映画館でも上映されていて観にいきました。そのあと、原作本も買いました。
今日は「君の名は。」を観にいきましたが自分には「?」でした・・・
 
 
 
訂正です (Unknown)
2017-03-20 19:25:01
大河じゃなくて朝ドラでした。すみません。
 
 
 
生きる選択。 (Unknown)
2017-03-20 20:03:56
なぜ人は、残酷になれるかを考えました。私も自分の残酷を夢で観ました。殺し屋でした。
他人事と無関心と変わらない世界での自己責任なし。何かが誰かが悪い悪人を作る事での責任転嫁だと思いました。お金のためと生きるための違い。家族の為と自分のための違い。ほんとうは全部自分の為なのかも知れないです。過去の自分と問うと思います。その先にあるものを今の自分は知ってます。疑う心から。疑いでない確信で生かす殺すの選択を自己責任で歩み。そこに後悔ない自己選択を人生としたいです。僕の確信は自分よりも強ければ殺せにあります。裏表の世界は見えない世界は常に自分と闘ってるから美しく感じ思考します。だからあるときから存在になみだするほどこころあらわれました。継続そのものは現れであり。私の思考では今があるはずはなかったからです。
 
 
 
巨大な母性 (おとく)
2017-03-20 21:01:43
夕凪の街の「やったぁ、また一人.......とちゃんと思うてくれとる?」と、片隅にの「よういきとってくれんさったね」の台詞に圧倒されました。読んだ瞬間、本の上に涙がぼたぼた落ちてびっくりしたです。
「思うとるんじゃろ?」じゃなく「ちゃんと思うてくれとる?」
「よういきとったね」じゃなく「よういきとってくれんさったね(敬語)」
もう人間の女性じゃなく、阿弥陀さまの呼び声の領域だと思いました。(すみません私、浄土真宗なので)

料理、家事がおできになるまるぞうさんには「さんさん録」おすすめです。安心して笑えます。
 
 
 
Unknown (チャメゴン)
2017-03-21 08:52:11
このせか、連休までなのてんすか〜〜⁉︎ガーーーン!!!!! でも演ってる所見つけるぞ! のんちゃん、頑張ってね!!
最高にキュートなのんちゃん♡応援してるよ!!
 
 
 
アラートありがとうございます (ジャスティン)
2017-03-21 19:33:32
まるぞうさん、アラートありがとうございました。春分の日に見ることが出来ました。兵庫住みで野球好きなので甲子園とどちらにするか迷いましたが、上映期間が長いのでもう終わるかもと思い、こちらを見ました。本当に大正解でした。のんさんもよかったですね。クラウドファンドへのお礼の映像で、軽くその後を描いていたのもよかったです。私は子供がたった一人で生きていかないといけないシーンを見ると、胸が張り裂けそうになるくらい切なくなるのですが、最後、あの女の子を・・・本当に良かったです。
リマインドありがとうございました。
 
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