華の会

日本文化を考える

一葉の名前の由来と一葉桜

2005年04月18日 | 
樋口一葉の名前の由来と一葉桜
1、一葉のペンネームの由来
① 達磨大師がのる芦の葉
樋口一葉のペンネームは昔インドの達磨大師が、中国の揚子江を一葉の芦の葉に
乗って下ったという故事に因んだもので一葉は「達磨も私も、おあし(銭)がない」
からだと貧乏をしゃれのめして友人に答えたという。

 「我こそはだるま大師に成にけれ 
   とぶらはんにもあしなしにして」 一葉の歌

明治27年4月、萩の舎の親友伊東夏子に送った手紙に次のような文章と歌がある。
「芦の一葉にのりて舟遊山をしたる達磨大師さへ御座候ものをや
   行く水の浮き世は何か木の葉舟 流がる々ままにまかせてをみん
 かくうたひたる時我は笑ひしか なきしか君こそ思ひやらせ給ふべけれ」

②一葉万里説
浮き世という荒海に「漂う舟」という表象したものという説
「なみ風のありもあらずも何かせむ
    一葉(ひとは)のふねのうき世なりけり」 一葉の歌

この2説は一葉の名前がペンネームとして定着してからの文章である。

③西川佑子の説
大正11年(1921)山梨県塩山市慈雲寺に一葉の碑が建立された時、
式典に出席した半井桃水が寄書帖に
「一葉散りて秋知る文の林かな」と記している事と
萩の舎の親友伊東夏子から一葉にあてた手紙の一節に、
「武蔵野にもえ出し一葉比林の花も紅葉もしのぎて茂りゆかん事遠からず存候」とある。
この二つを受けて、桃水が発行する同人誌「武蔵野」に一葉の最初の小説「闇桜」
を掲載する時、桃水は「若い女が実名で小説を発表すれば、不便が生じるであろう」と言い、
ペンネームを「文の林に萌え出つる一葉はどうか」と薦めたのではないかと
いう説を述べている。

④杉山武子の説
一葉が萩の舎に入ったばかりの頃、
例会で先輩たちに鮨を配っていた皿に「前赤壁の賦」の一節が書いてあった。
姉弟子の田辺龍子が読んでいるのを聞いて一葉はすらすらと
その後のの一節を口ずさんだという有名な話がある。
杉山武子はこの話を受けて、「前赤壁の賦」の一節からではないかと言う。

『一葉は歌塾に入る前から蘇東坡の詩「前赤壁賦」を暗誦していましたが、
その中には「駕一葉之扁舟」の一節があり、
また小説習作の余白に「一葉舟士」の書き込みがあることや、
未完成作品に「棚なし小舟」があり、
他の作品や日記にも舟や浮き草のイメージを繰り返し描いています。』
http://www5a.biglobe.ne.jp/~takeko/mamechishiki.htm#mame24

中国の古典「一葉落ちて天下の秋を知る」や
坪内逍遥の「桐一葉」は明治29年の作なので関係はないようだ。
O・ヘンリーの短編「最後の一葉」とも関係ないと思われる。

2.「一葉」という名前の桜

 山桜の名前は「江戸彼岸桜」「大島桜」「山桜」と最後に桜が付き、
 里桜の名前は「染井吉野」「普賢象」と最後に桜が付かないのが原則。

この原則に従い、里桜の中に「一葉」という八重桜がある。
東京の公園ではよく見られる種類で、4月中旬
ソメイヨシノが散り終わった頃から咲き始める。

大きな特徴は
下半部が葉化した緑色の雌しべが普通一本突き出て咲くので
「一葉桜」と呼ばれている。よく見るとめしべが2本ある花もある。
オシベは退化して短い、垂れるように咲く。
花経が5センチ、花弁は20から25枚もある八重の大輪、
花の形は円形で色が咲き始めは淡紅色、
花びらの内側の弁が白いために満開時は白色に変化する。
若芽は少し褐色を帯びた黄緑色、
樹形は杯状形で直立して生育よく、
幹の皮が所々縦に裂けるので鑑別し易い品種。
樹勢強く栽培しやすい。
山桜の一種「大嶋桜系」の変種だという。

国立遺伝研究所のHPの一葉桜
http://www.genetics.or.jp/sakura/htmls/ichou.html
http://www.genetics.or.jp/sakura/PCD/PCD3832/pages/14.html


平成15年、東京都台東区では一葉が21歳の時10ヶ月ほど住み
小説「たけくらべ」の舞台になった所の近くの通りを
(台東区浅草5-11~浅草6-35)
「一葉桜 小松橋通り」と名前を代えて、
八重桜のイチヨウ(一葉)を道の両脇に130本植えた。
http://www.city.taito.tokyo.jp/taito-co/tosizukuri/kouen/ichiyouzakura/ichiyouzakura.htm

先日、一葉や荷風も母上のために買い行ったという、
向島の長命寺の桜餅を浅草から言問橋を渡って買いに行った。
ソメイヨシノは散り始めていたが、八重桜は咲き始めていた。
言問橋のたもとの公園には八重桜の「一葉」が沢山咲いてた。

この他に里桜でわかりやすいのは

八重の大輪で花びらが深紅色の「関山」(カンザンともセキヤマ)
http://otakara-souko.net/sakura/archives/05-0330-211144.php

子房が葉化した一本に雌しべが2本あって、
花びらの中から象が顔を出しているような「普賢象(フゲンゾウ)
http://homepage1.nifty.com/morino/sakura/data/fugenzo/02fugenzo.html

花の色が淡緑黄色の「ウコン」
http://www2.jyose.pref.okayama.jp/cec/kdss/13_jumoku-u/1_ukonzakura/idx0313165025.htm

御衣黄
花弁の数は13個,ごく淡い緑色の花の色で花の終わりに近づくと紅色の線が入る。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/gyoikou.html

以上



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