ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ドナドナ

2017-11-21 23:01:54 | 日記
長かった。本当に長かった。
連打のごときクミの非常コールを取り続けたこの1年。
その道のりは、いやと言うほど長かった。

もともと神経質で心配性で
少しでも体調が悪いと
「ご飯を持ってきてちょうだい」
「死にそうなの。病院へ連れて行ってちょうだい」
とコールしてきたクミ。
そのコール壁は
腰の骨折により2ヶ月間の入院生活を経て帰ってきたときには
予想通り、悪化していた。

「めまいが…。ああ、めまいが…」

朝から晩まで、いや時には夜中まで
コールボタンを押してはそう訴える。
「じゃあ、安静にしていてくださいね」と伝えると
「はい、そうします」と素直に応えるのだが
電話を切って数秒後にはまたコールが鳴る。
「ああ、めまいが…」と。

この壮絶なコール魔に
職員も管理者も、疲れ果てていた。
とにかく仕事ができないのだ。

家族とも話し合った。
医療方面からのアプローチももちろん試みた。
考えられることはすべてやってきた。
なのに治まるどころか
壮絶なコールは1年間続いたのだった。

ここ数ヶ月はずっと事務所に連れてきて
デスクで塗り絵をさせていた。
そうしていると大人しいのだから
彼女は誰か周りに人がいないと不安で仕方ないのだろう。

クミについては
これまでブログでもずいぶんグチッてきたと思う。
「その話は聞き飽きた」と思われても仕方ない。

しかしついにその毎日から今日、開放されたことを
ぜひともここでお伝えしたい。

やった-----!!!
ついにクミが出て行ったぞ~~~!!!

正確に言えば退去したわけではないのだが
認知症の専門外来を受診した結果
服用している薬があまりにも多すぎる
まずは薬をすべて中止してリセットする必要がある、とのこと。
そのためには最低でも2ヶ月は掛かるだろう、というのだ。

入院してくれるだけでも嬉しい話なのだが
家族はその間に他の施設への転居を検討する、というではないか!?

そうなのよ、そうなのよ。
彼女のように
誰かがそばにいないと不安で不安で仕方のない人に
ウチのようなサービス付き高齢者向け住宅は不向きなのよ。

今日、息子の車で去って行く彼女を
その場にいた職員全員で見送った。

何がなんだかわからずにキョトンとあどけない目を向ける
車上のクミを見て
ふと、私の心にある歌が流れてきた。
ドナドナだ。

♪ある晴れた昼下がり、病院(市場)に続く道
 荷馬車がゴトゴト クミ(仔牛)を乗せていく
 かわいくないクミ(かわいい仔牛)売られていくよ
 悲しそうな瞳で見ているよ

クミ、もう帰ってこないでよ~
どうか達者でな~~~。笑






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