ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ケイコ日記ーその10

2017-04-20 23:14:51 | 日記
みんなみんな寝静まっている午前2時。
部屋で一人、さめざめと泣く老婆がいた。
ケイコである。

トイレの声掛けでケイコの部屋を訪ねると
彼女はベッドに座って身をかがめ
両手で顔を覆って泣いていた。

どうした、ケイコさん?
隣に腰掛けて話を聞く。

入れ歯を外している。泣きじゃくっている。
認知症が進み、普段から支離滅裂な彼女の言葉は
そんな状況においてますます理解に手こずる。

しかし20分に及ぶ彼女の話の中で
一つだけ理解でき、しっかりと胸に届く言葉があった。

「私も以前は館長先生(彼女が所属する宗教団体の教祖)から
いろいろとお役目をいただき
みなさまの力になっていたことがあるんです。
ところが最近の私は、どんどんバカになってしまって…」

便座の座り方も、冷蔵庫の開け方も
入れ歯の嵌め方も、靴の履き方も
すべて忘れてしまった最近のケイコ。

でも脳のどこかしらにまだ自分を俯瞰してみる目があって
それが時おり開いては
己の今の姿を嘆いているのだろう。

ボケてかわいらしい人もいる。
けれどもケイコのボケ方は、残酷だ。




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