ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

どうなっているのか? 妄想する脳

2017-05-23 23:00:44 | 日記
妄想する脳。
それはいったいどうなっているんだろう?

医学的な答えを求めているわけではない。
妄想が激しい認知症高齢者の言うことがあまりにも突飛すぎて
単純に、不思議でならないのである。

トヨコは部屋でよく転倒する。
駆けつけてみると、彼女はあらぬ方向を見つめて言う。
「いま出て行った男が私を突き飛ばしたんです」
「トイレに行こうとしたら、大男がいきなり私を背負い投げしたんです」

登場するのはいつも悪漢だ。

そしてケイコ日記でお馴染みのケイコ。
毎日いろいろやってくれるが
“作話から妄想に発展することがある”という認知症症状が顕著なのも
彼女の特徴だ。

最近のケイコは
トイレに行くものの、ズボンを下ろしているうちに間に合わず
床に便をしまうことが多くなった。
はじめは何とか自分で始末しようとするらしく
異変に気づいた職員が駆けつけてみると
トイレの床は大量の便とトイレットペーパーと
それを片付けようとして奔走したらしい無数の足跡で
大変なことになっている。

咄嗟に、彼女は言う。
「いま、男が来てウンチをしていったんです。
ひどいことをするでしょう?
アナタ、そんなことしちゃダメ!って言うと
私をキッと睨みつけて走って逃げていったの」

そして悪臭に吐き気を覚えながら後始末をする職員に言う。
「かわいそうに。アナタにこんなことさせるなんて。
あの男は悪い。あの男は本当に悪い。
アナタ、許しちゃダメよ」

対応には大概慣れたので「困った人たちだ」と呆れることはないが
彼女たちの妄想や巧みな作話には
すごいなあ、頭の中、どうなってるんだろうなあと
自分が介護職であることを忘れて首をひねるばかりだ。

ちなみに、トヨコとケイコには共通点がある。
どちらも英語が堪能で
能力を遺憾なく発揮できる場で働いてきた女性であるということ。
そして、お金をかなり持っておいでらしい、ということ。

前にも書いたが
認知症になった場合、過去の栄光とプライドは介護の妨げになる。

介護職としてはまだまだ青い私の持論ではあるけれど。




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