ラクダのなみだ/宮田 修・作 T・スフバートル・絵/KIBA BOOKU/2001年
モンゴル出身ではじめて関取になった旭鷲山が、モンゴルで設立した財団法人を通じて子どもたちにプレゼントしているといいます。
親を亡くした子ラクダのシャトルボルグと、子供をなくした親ラクダのボルインゲの愛情物語です。
貧しいラクダかいの娘オトゴンは、いつもラクダを放牧し、夜遅く家に帰ってきていました。
ラクダの群れにはシャトルボルグといううまれてまもないラクダがいましたが、少しの間、羊を放牧しているともだちとあって、かえってみるとシャトルボルグも母親の姿がありませんでした。
必死でラクダをさがしたオトゴンは、シャトルボルグが、亡くなった母親のおなかのしたにいるのを発見します。母親がオオカミに襲われて亡くなったのですが、子どもだけはかばっていたのでした。
「すぐにオッパイをのませないと、しんでしまう・・・」
そこで、生まれた赤ちゃんがすぐにしんでしまったボルインゲというラクダのオッパイをのませようとするのでうすが・・・。
ラクダは自分の子どもしかオッパイを飲ませません。
でも、みなしごになったシャトルボルグをなんとか救おうと・・・。
ダルマという馬頭琴の名手の音のやさしいしらべとオトゴンの長唄。
なかなかボルインゲはオッパイをのませようとしませんが、こころをひとつにしたダルマとオトゴンの唄は、最後には願いが通じます。
「モンゴルにつたわるいのちの物語」という副題があります。
草原の風景や人物も素敵です。