どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

トム・ミラーとかげぼうし・・アリソン・アトリー

2016年08月19日 | 創作(外国)

     月あかりのおはなし集/アリソン・アトリー・作 こだまともこ・訳 いたやさとし・絵/小学館/2007年初版


 トム・ミラーは、いつも自分のかげぼうしにだまされていました。

 いつかかげぼうしが、手に持っていたのは光る金貨。でも次の朝、おきてみると金貨ではなく黄色いキンポゲ。
 かげぼうしがつぎにもってきたのはダイヤモンド。次の朝、宝物は雨つぶに。
 金、銀、青、緑・・・いろんな魚は次の朝、魚はいません。

 トムはほんとうに腹をたて、おまえなんかいらないと大声をだします。
 びっくりしたかげぼうしは、黒いなみだを流して泣き出し、家からにげだします。

 長い年月がたって、トムはおとなになり、むすこも生まれます。その子は「小さなトム」とよばれていました。

 トムがおまつりの日、呼び声につられて、赤と白のテントにはいると、そこの舞台で、ロープにおなかを結ばれた黒いかげがハーモニカをふきながら、はねたり、とんだりしていました。

 黒いかげは、ずっとむかしトムのところからにげていったかげぼうしでした。
 ちいさなトムは、あの子を家につれてかえろうとささやきます。そして・・・・。

 チム・ラビットシリーズの作者の魔法のような世界。

 かげぼうしは、やっぱり本人とは別れられない存在のようです。

 かげぼうしは、トムをだましたのではなく、トムのどこかにひそんでいた夢を実現させてくれたのかもしれません。そしてその夢は簡単に実現できなかったことも。


この記事についてブログを書く
« モーリッツと空とぶ船 | トップ | もりのおるすばん »
最新の画像もっと見る

創作(外国)」カテゴリの最新記事