どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

セミ神さまのお告げ

2017年05月14日 | 絵本(昔話・日本)

                   セミ神さまのお告げ/古布絵制作・再話 宇梶静江/福音館書店/2008年初版

 油絵、水彩、鉛筆、水墨、クレヨンなどなど絵本の絵もさまざまですが、この絵本はアイヌ刺繡の細かな作業の積み重ねらから生まれた古布絵という独自の手法で表現されていて、重厚感がありました。

 表紙のセミはもちろん、下の台地のランぺシカ・コタン、上の台地のリペシカ・コタンという村を襲う津波、村の暮らしのおだやかな風景が古布絵にぴったりです。

 印象に残ったのは冒頭の部分。

 「二つの村には山のわき水からうまれた川があって、人びとは清らかな水で顔を洗い、のどをうるおし、煮炊きをし、仕事からかえると手足を洗い、洗濯をするなど、人々の暮らしになくてはならないものでした。
 川はまた、鮭や川魚をはこんできてくれました。
 野山にはクルミやイチゴやヤマブドウがみのり、ウドやワラビ、フキやキノコが採れ、海にはコンブや貝や魚がゆたかに満ち、人々はそれはしあわせに暮らしていました。」

 人びとの暮らしをささえてくれた自然の恵み。何か忘れていることを思い出しました。

 ウバユリの花の咲く頃、下の台地にすむ六代の人の世を生きてきたおばあさんが、昼も夜も繰り返し、津波がくると歌をうたいます。

 おばあさんの歌に耳をかたむけた上の台地の村人は、津波から生き延びますが、信じなかった下の村人は、海津波と山津波が一つになった大津波に飲み込まれてしまいます。

 おばあさんは、海の主の怒りをかって、六つ地獄におとされますが、村の守り神、アイヌ・ラックルの妹君が糸を紡ごうとして、糸かけ棒を地面深くにつきさし、六つの地獄をつらぬく穴をあけてしまいます。

 六代の人の世を生きたおばあさんは、糸かけ棒の穴を這い上り、六つの地獄を通り抜け、そして地上に出るとセミ神さまとなって生まれ変わります。

 作者は60歳を過ぎてからアイヌの刺繍を生かした古布絵を編み出したといいますから、なにかをはじめるとき、遅すぎるというのはなさそうです。

 セミは何年か地中ですごすというのは知っていましたが、こんなかたちで昔話(神話?)として残っているんですね。









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