どんぴんからりん

昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・。それにしてもまるで森に迷い込んだ感じです。(2012.9から)

死神と神さまがでてくる昔話

2016年11月20日 | 昔話(外国)
▼グリムの「死神の名付け親」
 「死神の名付け親」というタイトルの ”の”という助詞にひっかかっていましたが、「死神とその名づけ子」としているのもありました。(世界の民話6 ドイツ編 赤ひげとぶどう酒商人ほか/小川一枝 佐藤忠良・絵/家の光協会/1978年)
 「名付け親になった死に神」というタイトルは、完訳グリム童話(小澤俊夫・訳/ぎょうせい/1985年)。
 タイトルにも、いろいろあって、この場合は小澤訳がピッタリしていると思うのですが、「死神の名付け親」のほうが一般的になっているので、これをかえるのは大変そうです。

 ある貧乏な男が子どもの名付け親のなり手を捜しにいく。神、悪魔、死神と順に出会うが、死は誰にも平等だということから、死神に名付け親になってもらうという出だし。

▼ハイチの「神さまと死神さま」では、神さまと死神さまが、ある男に水をくれと頼んでみて、どっちに水をたくさんくれるかみてみようと、はじめに神さまが頼みます。
 男がいうには「水を汲むのに往復18キロもある。ところがあなたときたらある人たちに水を全部やってしまって、わしなんぞはほうりっぱなし」とことわります。
 死神がたのむと、男はすぐにヒョウタンに冷たい水をいっぱいもってきます。
 男の言い分は「死神はえこへいきしない。金持ちでも貧乏人でも、若くても年とっていても死神さまには、みんな同じ」というもの。

 水にめぐまれないハイチの昔話ですが、ここでは持てるものと持たないものを作りだした神さまへの痛烈な皮肉があって、神さまもあまり評判がよくない。

 グリムでは死神が男を連れ去るが、ハイチのお話では水をくれた男の家を避けていくという終わり方になっています。

▼死神と神さまがでてくるもので面白いのが、イタリアの「ウリボとっつぁん」。
 タイトルからは想像できないできないが、文句なしに楽しい。

 貧しいが、自分より困っている人がいると、自分のものを気前よくわけてやったウリボとっつぁんのところに、神さま(キリスト)と12人の巡礼が、食べものをもとめてきます。
 半分のパンしかなとく、暖炉の火は消えかけ、ぶどう酒も半分しかないなかでも、ウリボとっつぁんはもてなそうとします。
 こんなやさしいウリボとっつぁんに、神さまは奇跡をおこします。パンはたっぷり、暖炉には薪が、ぶどう酒瓶は1ダースも。
 ローマにむかおうとする神さまの弟子が、ウリボとっつぁんに、何か願い事をしたらどうかというので、囲炉裏の傍にある椅子に誰かが座ったら、いいというまで、立ち上がれないようにしてほしいと願い事をします。
 なんて馬鹿げた願い事をするんだと弟子がいうので、次は、「誰かが木にのぼったら、わっしがいいというまでおりられないようにしてくださいまし」。
 さらに三つまでおねがいできるというので、「ポーカーをやったら、かならず勝つようにしてくださいまし」と願い事をします。
 ここまでは、後半への舞台設定。

 後半は、願い事をしてから何年もたった2月のある日、死神がむかえにやってきます。ウリボとっつぁんはこの死神を椅子に座らせ動けないようにして300年の命をえます。
 300年後に死神がやってくると、今度は木に登らせ、動けないようにしてさらに300年の命をえます。

 次に死神がやってきたとき、ウリボとっつぁんは661年も生きたしと、死神とでかけることにします。
 途中、地獄の門を通りかかったとき、二度ポーカーもできなくなると悪魔とポーカーをすることに。
 1回勝ったら地獄にいる12人の魂をいただくという条件で、ウリボとっつぁんは勝ち続け、地獄はからっぽになってしまいます。
 そして地獄から助かった数百の魂と天国に旅立ちますが、ここでも一波乱。

 訳もなじみやすく楽しい話です。勉強会で話してみました。22分でおさまりました。
 女性の方は語りにくいと思っていたら、やはり話をされていた方がいらっしゃったようです。
   
▼ノルウエーの「死神のふくしゅう」
 グリムの「死神の名付け親」と話型は同じです。       

 ビールづくりの親方のところで、長年奉公した若者が、小型のビール樽をもらって、国に帰る途中、樽がだんだん重くなります。
 ビールを一緒に飲んでくれる人を探している若者に、神様が声をかけます。
 若者は、この世の人たちに差別をつけ、公平なあつかいをしないからと、これを断ります。
 次に会ったのは、悪魔。人を苦しめ悩ませるからとこれも断ります。
 次に会ったのは死神。死神とは一緒にビールを飲みます。
 すると死神は、どんなにビールをのんでも、ビール樽がからにならないようにして、樽のビールが<いのちの水>となって、これを飲めば医者がみはなした病を治すことができるようにします。
 ただ、いのちの水の効力は死神が病人の足元にすわったときだけ。枕元にすわったら、いのちの水でも病人を助けることはできません。

 そののち、若者は有名な医者になり、あるお姫さまの病気を治すことになりますが、死神は枕元にすわっています。
 死神がうつらうつらといねむりをはじめたとき、若者はベッドをくるりとまわして、お姫さまの病気を治すことに成功しますが・・・。
 最後に、若者が主のいのりをとなえるところがでてきますが、印象に残る終わり方です。

 神様を拒否した若者が、最後は神様に祈るという皮肉な結末です。


       神さまと死神さま/魔法のオレンジの木/ダイアン・ウォルクスタイン採話 清水 真砂子訳/岩波書店/1984年初版
       ウリボとっつぁん/世界むかし話3 南欧 ネコのしっぽ/木村 規子・訳/ほるぷ出版/1979年初版
       死神のふくしゅう/大人と子どものための世界のむかし話12 フィンランド、ノルウエーのむかし話/坂井玲子・山内清子・編訳/偕成社/1990年初版

          
ジャンル:
文化
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