ワタミがファミレス業に進出とのニュースがありました。
居酒屋チェーンのワタミはファミリーレストラン事業に参入する。11月にも都内に1号店を開業し、居酒屋業態では出店していない郊外立地へ出店する。既存の駅前型居酒屋だけでは事業成長の余地が限られてきたため、出店先を広げる。最近は郊外から撤退する外食企業が相次ぎ、外食店の空白地帯になっているのを好機とみて、中長期的には100店規模に広げたい考えだ。
日経8月21日朝刊
このニュースを聞いて、有名社長といえども、日本の人口動態の変化を理解できていないという現実を知りました。日本の世帯は、2005年に大きな変化がありました。
単身世帯が、それまで一番のボリュームセグメントであった夫婦・子供世帯を抜いたのです。2009年では、約5000万世帯といわれる日本の中で、単身世帯が約1800万、夫婦子供世帯が約1400万世帯となっています。
ファミリーレストランのメインターゲットとしては、当たり前ですが夫婦子供世帯
となります。その世帯の減少とリンクするように、ファミレス業界は衰退をしています。例を挙げると、デニーズでは2年連続の赤字、非上場のすかいらーくも2年連続赤字、ロイヤルホストは減収増益予測だがコストカットという内向きな姿勢を示しています。
一方、単身世代の拡大を受けて、ファーストフードは低価格志向もあって絶好調となっています。「すき家」は営業利益で前期比47%アップ、マクドナルドは営業利益で20%増となっています。
ファミリーレストランの特長は、家族みんなが違うものを食べたくてもそれに対応できるメニューが揃っていることです。しかし、単身世代からは一人で食べるのだからそんなにメニューがあっても仕方ない、ということで敬遠されるのです。
このように、構造的にファミレスを必要とするセグメントが減少している中で、ワタミがファミレスに進出するのか全く意図が理解できません。
一つだけ考えられる勝機は、ファーストフードに飽きた消費者に対して、同じ価格帯でファミレスをぶつけることだけです。
平均単価が1000円のファミレスでは、夫婦と子供2人で食べると4000円の出費となります。マクドナルドのセットなら、600円×4人の2400円となりますので、2400円で家族が食べられる設定をするならば、ファミレスから流れた客を取り戻すことが可能となります。敵は既存のファミレスではなく、ファーストフードなのですから。
しかし、残念ながらワタミのファミレスの設定価格は、ランチ1000円、ディナー2100円!!!というものなのです。
大丈夫なのでしょうか?
通常のファミレスと同価格で戦うのであれば、既存のファミレスを凌駕するキラーコンテンツが必要です。既存のファミレスは、先行者のノウハウがあるので、新規参入者にそうやすやすと同じ土俵で負けるとは思えません。
私が渡邉社長であれば、まずテスト販売でファミレスに適した立地の店舗でランチ営業を1000円で行います。テスト販売が上手くいかなければ、絶対にこの案件は進めません。
記事を読んだ限りでは、郊外立地の撤退が進んでいて空白地帯を狙った戦略と見えます。しかし、事業成功の鍵は、そういうものではありません。消費者の動向の変化を見極めて、それに求められるサービスを提供していく姿勢が真の成功の鍵だと私は考えます。
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