
Domenico Scarlatti: Best Sonatas
ERATO 2292-45423-2
演奏:Scott Ross
ドメニコ・スカルラッティ(Giuseppe Domenico Scarlatti, 1685 - 1757) は、オペラ、オラトーリオなど声楽作品の作曲家として良く知られていたアレッサンドロ・スカルラッティ(Pietro Alessandro Gaspare Scarlatti, 1660 - 1725)の息子で、ナポリで生まれ、ヴェネツィア、ローマで活動した後スペインのセヴィリアに4年間滞在し、1733年にマドリードのスペイン宮廷に雇われることとなり、残りの生涯をここで過ごした。スカルラッティの鍵盤楽器のためのソナタは、1738年から主に王女マリア・バルバラの教育のために作曲されたものと考えられている。
スカルラッティのソナタについては、その出版社や研究者による複数の作品番号があるが、今日ではアメリカの鍵盤楽器奏者、ラルフ・カークパトリック(Ralph Kirkpatrick - 1911 - 1984)によるものが標準的な作品番号(Kで示される)として用いられている。このカークパトリック番号を付せられたソナタは、556曲(204番には204aと204bがある)ある。これらのソナタの自筆譜は残されておらず、スカルラッティの晩年に作製された複数の写譜の形で存在する。その主要部分はイタリア人のカストラート歌手ファリネッリによって1759年にイタリアにもたらされ、パルマとヴェネツィアの図書館に保管されている。しかし、この他にもスペインやその他の国で、スカルラッティのソナタとされている作品の写譜の存在が知られるようになり、その多くはすでに知られている作品だが、一部は今までに出版されたことのない作品も含まれる。ただ、それらのすべてがスカルラッティの作品かどうかには疑問がある。これらの内14曲(ファンダンゴ1曲を含む)は、曽根麻矢子による演奏でエラート・レーベルから発売された(ERATO 4509-94806-2、1994年発売)。
スカルラッティのソナタの大半は、単一楽章で前半部と後半部がそれぞれ繰り返されるAABB形式で、和声的にも遠い調性への転調はなく、非常に単純な構造の曲であるが、それぞれの曲は非常に変化に富んでいて、驚くべき多様性を有している。また、例えば、K. 88のように、グラーヴ − アンダンテ・モデラート − アレグロ − メヌエットの4つの部分からなる曲もある。K. 73、77 - 78、80 - 81、88 - 91のように、独奏と通奏低音のための作品も含まれている。
スカルラッティのソナタは、現在のピアニスト達によっても演奏されており、すでに故人だがウラディミール・ホロヴィッツも演奏会でしばしば取り上げていた。
スカルラッティのソナタの全曲は、先ずスコット・ロスにより1984年から1985年にかけて、エラート・レーベルに録音され、現在もWarner Classicsレーベル、34枚のCDセット(2564-62092-2)で販売されている。さらにピーター=ヤン・ベルダー(Pieter-Jan Belder)の演奏で、ブリリアント・レーベルから2007年に発売された36枚のCDからなる全集がある。この全集は、CD3枚のセットで12巻からなる分売もされているが、現在第IV巻以降のみウェブサイトのカタログに掲載されている。また、ニムバス・レーベルから、リチャード・レスター(Richard Lester)のチェンバロ、時にはオルガン、フォルテピアノによる演奏で、また一部の曲ではリコーダーを加えての全集が、多くはCD6枚セット、7巻で合計38枚のCDで発売されている。この全集の曲の選択については、詳しくは分からないが、カークパトリック番号順ではないようで、K番号のない作品も含まれている。
今回紹介するCDは、スコット・ロスによる全曲演奏の中から、カークパトリック番号の1番から555番まで(K. 1, 9, 14, 27, 38, 103, 114, 141, 208, 213, 296 - 299, 380, 490 - 492, 555)19曲を収録した「ベスト盤」である。確かにK. 1、9、14,380等は良く演奏される曲である。演奏には、アンソニー・シドニー、ウィリアム・ダウド/フォン・ナーゲル、ウィリアム・マーティン、ジャン=ルイ・ヴァルの製作による4台のチェンバロが使用されている。
スカルラッティのソナタの全体像を、この19曲で把握することは出来ないだろうが、と言って筆者には全曲を聴くほどの意欲もない。他にもいくつかのソナタを含むCDがあるので、それを併せて主な曲を聴くことが出来ればいいと思っている。その点ではこのスコット・ロスによる「ベスト盤」は、都合の良い存在と言える。演奏、録音ともに申し分ない。現在このCDは、エラート・レーベルの”elatus”シリーズで2564-60030-2の番号で販売されている。また、ワーナーミュージック・ジャパンから、2000年6月21日発売の「ワーナー・ベスト・クラシック100」の一枚として1,000円のCDがWPCS-21069の番号で出ているが、販売店に在庫がない限り、入手は難しいだろう。
発売元:Warner Classics & Jazz

ERATO elatus
2564-60030-2

Warner Best Classics 100
WPCS-21069

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レスターの録音は初耳です。機会があれば、是非聴いてみたいです
この全集は、私も最近まで知りませんでした。渋谷のタワー・レコードでその内のいくつかを見かけて、気が付きました。曲の取り上げ方が、カークパトリックの作品番号順でないところに、独自性が感じられます。しかし私は聴いていませんので、その内容については何も言う資格がありませんが。