今日はまた文字通りの秋晴れだ。空が澄み渡っている。青い空の何処かからひょいと蜂が飛んで来る。よく飛んで来る。そして透明硝子にぶち当たる。バチンという音がする。小さいアシナガバチは小さな音、スズメバチは中ぐらいな音、クマバチは大きな音。頭から突き込んでくる。脳震盪でも起こしそうに。どうしてなんだろう。僕の部屋を目指して急ぎ足で飛んで来るのはどうしてだろう。まさか部屋の中の僕が見えているはずはあるまい。女王蜂の伝令が飛んで「アイツ ガ ジャマ ダ。アイツ ヲ ヤレ」ということにでもなっているのだろうか。あんなのに刺されたらひとたまりもなく怯え上手な僕は正体不明になってしまうだろう。もうしばらく蜂の巣分かれの放浪の季節が続く。外へ出ていると危ない。お昼からずっと部屋に籠もっている僕にとっては透明硝子は守り神になっていてくれている。そういうことになる。畑が手招きして呼んでいるが、しばらくは此処にいた方がよさそうである。
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