The Game is Afoot

SHERLOCK & Benedict、その他 ドラマ、映画、書籍等々思いつくまま書いています。

『シャーロック・ホームズの事件簿(芸術家の血)』ボニー・マクバード著

2017-07-17 10:54:49 | 書籍
”Art in the Blood - A Sherlock Holmes Adventure”/Bonnie Macbird

ボニー・マクバード著 日暮雅通訳
ハーバーBOOKS  2016年10月発行

シャーロック・ホームズのパスティーシュです。

半年ほど前に読み、一応感想を書き留めていたのですが、「シャーロック」S4に係っきりだった
ので遅くなってしまいましたし、一部記憶違いがあったりするかもしれませんが その点はお見
逃し下さいマセ。

先ず、作者のボニー・マクバードですが、
長らくハリウッドで映画に係り脚本家、プロデューサー、原案者、女優というマルチタレント
であり、この作品を執筆するにあたり英米仏のシャーロッキアン達と交流して大物研究家達の
協力を得、それがこの作品を信頼できるものとしていると言える(日暮氏解説による)ロス
アンゼルス在住であるが、本書の大部分をロンドン ベーカー街にあるホテルで執筆したと言
われる。 又1982年のSF映画『トロン』の原案、原作者としても知られるとの事です
(本書中より)

又、この作品に出て来る歴史上の人物、場所、事項等、又その他本編に関するエピソード等は
下記サイトからご覧になれます。

http://macbird.com/

又訳者の日暮雅通氏に関しては、
日本で屈指のシャーロッキアンであり日本シャーロック・ホームズ・クラブ、ベイカーストリー
トイレギュラーズの会員。 正典翻訳も手掛けていらっしゃる事でも良く知られています。

本作品は、ホームズに関しては エレガントでウィットに富んだジェレミー・ブレット、精力的な
ボヘミアンであるロバート・ダウニーJr., 尊大に見えて傷つきやすいシャーロックのベネディクト・
カンバーバッチ。ワトソンはハンサムで危険な雰囲気のジュード・ローと暖かさとひょうきんさを
備えたマーティン・フリーマン、マイクロフトはマーク・ゲイティスにインスピレーションを得たと
書かれて居ます。 ただ、筆者自身としては正典の雰囲気に勝って欲しいとも書かれています。
(筆者謝辞から引用)

1888年のホームズの語られざるもう一つの事件。
ベイカー街221Bにパリから1通の手紙が届いた。二重仕掛けになった文面には、失踪した10歳の息子
を捜してほしいという切羽詰まった女性の訴えが。子供の父親が別件で美術品窃盗の疑いがある曰
くつきの伯爵と知り、ホームズとワトスンは一路パリへ。すぐにこれがただの失踪事件ではないと
気づき──子供の失踪と国際的な美術品窃盗、その周囲ではびこる謎の連続殺人。全ての事件は
やがて繋がりを見せる!
(本書案内から引用)

(以下一部ネタバレております)
結婚してベーカー街を離れていたワトソンが久し振りに訪れた時ホームズは 切り裂き魔の事件に
係り留置所に入れられた後コカイン漬けになっており ボヤ騒ぎまで起こしていた。
(冒頭は「瀕死の探偵」及びBBC版S4を彷彿とさせる様な出だしです)。
そこへパリのラ・ヴィクトワールと言う女性から失踪した息子を探して欲しいという依頼が
あり 捜査の為ワトソンと共にパリへ向かう事になるのですが、この時新婚のメアリーが「母親を
訪ねる為留守にしている」と言う設定はチョット引っかかります(メアリは天涯孤独の筈)、が・・
これはご愛敬として・・・(意味不明) 

実は子供の父親は美術品窃盗の疑いがある伯爵であり、子供はラ・ヴィクトワールから引き取られ
父親と本妻の元で暮らしていたという経緯があった。
子供の失踪と国際的美術品窃盗、それに続き殺人事件と混迷を極め フランス人探偵ヴィドックと
対立、翻弄されるホームズ。
黒幕の犯人は誰か・・・と最後まで引っ張られます。
瀕死の重傷を負ったり その後又酷い怪我をするなど災難なホームズですが、その都度甲斐甲斐しく
世話をしたり、心から心配する様子のワトソンが良いんです。 

正典の重厚な時代背景は若干希薄である様にも感じましたが 背景描写も丁寧に描かれています。
ホームズ物としては珍しく激しい格闘シーンもあり(この点もBBC版S4を彷彿とされますねぇ)
又ホームズが依頼人である絶世の美女 ラ・ヴィクトワールに惹かれている(のかも知れない?)
様子も珍しく マイクロフトとの関係もBBC版を彷彿とさせます。

理性的、頭脳明晰でありながら 自分勝手で我儘気ままなホームズですが、この作品では殺人事件の
被害者を守れなかった事で自分を責めて落ち込んだり、 嫉妬心や苛立ちも見せてくれる人間味溢
れる魅力的なキャラクターとして描かれている様に思います。
(この位の人間味表現なら良いと思うんだけど・・・意味深)
そのホームズを気遣いながら行動を共にするワトソンの友情が感じられて良いな~と・・・
BBC版もこうあって欲しい!

全体を通してテンポは良いし、何よりベネディクト/シャーロックのテイストが色濃く出ている様で、
この点をとっても好ましい(個人的に)作風でした。
筆者もかなりBBC版に思い入れがあるらしく ”SHERLOCK”のセットを訪問したり、制作会社のハーツ
ウッドフィルムから台本を読ませてもらったと記しています。
そんな点からもBBC版とのシンクロ、オマージュ(どちらが先か?)或は お互いにインスパイア
し合っている様にも感じさせられるんでしょう。

最後になりましたが、この作品のタイトル「芸術家の血」”Art in the Blood” 言わずもがな
ではありますが、正典「ギリシャ語通訳」でホームズが語った言葉からの引用です。
But, none the less, my turn that way is in my veins, and may have come with my grandmother,
who was the sister of Vernet, the French artist. Art in the blood is liable to take the
strangest forms.”
「僕の血管を流れる才能はもしかすると僕の祖母から来たものかもしれない。フランスの芸術家の
ベルネの妹だ。芸術家の血というものは奇妙な形態をとりがちだから」
作品中冒頭でもこの言葉がそのまま引用されています。
そして又ベルネの兄の絵がルーブル美術館に展示されている事も記されています。

(余談ですがSHERLOCK ”The Abominable Bride”の中では マイクロフトの手帳にこの”Vernet”
が書かれていました。 S4ではこの点には触れられていなかったので あれはどういう意味だった
のだろう? シャーロックとユーロスの関連性を暗示しているのか? いまいち不明です )

パスティーシュとしてはかなり気に入った作品になりました。
本シリーズは三部作との事ですが 次作 ”Unquiet Spirits”も予告されています。
これからも楽しみに待ちたいという気持ちになりました。



~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~



少し気分転換をして頭を冷やしましたので、次は改めて「シャーロック」S4、「最後の事件」の感想
追記をグダグダと続けます。






ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« SHERLOCK S4E3 ”The Final Pr... | トップ | 『Dr. Who』 13代目ドクター発表 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ボニーさん! (dico)
2017-07-17 13:20:44
こんにちは。
毎日暑いですが体調はいかがですか?
ボニーさんの著書のご紹介、嬉しいです。
以前、ご自身のブログに書いたTIG関する記事を訳したときに
いつか彼女の書いたホームズを読みたいと思っていたんです。
仰る通り、BBC版シャーロックやベネディクトに思い入れがあるようなので
現状をどう思っているのか聞いてみたいですよね。。。。
それはさておき、
ベネディクトを彷彿させるホームズとの事ですし、
何よりハズレのないYam Yamさんのおススメなので、
これは読まなければだめですね。
それにしてもボニーさんは才能豊かな方なんですね。

マイクロフトの手帳は私も気になっていましたが
いつもの通り制作側のお遊びなんでしょうね。

あとすみません、場所が違うのですがS4のラスト、
そんな意味があったとは知らなかったです。
このところ心が荒んでいたので(笑)それを知ってちょっと和みました。
>ボニーさん! (Yam Yam)
2017-07-17 19:08:45
dicoさん、こんばんは。
ホント暑いですねぇ。 もう脳が湯だってます(前から?)
dicoさんも超大作完結でガックリお疲れが出ているのではないかと気になっています。
なにより精神的な疲れが・・・ですよね。

ボニーさんの事ご存知だったんですね。 え? TIG記事訳されてました? もうすっかりボケで
忘れてしまっていましたんですよ。 スミマセン。

ほんとに、BBC版シャーロック、ベネディクト愛に満ちている方なんですね。
そうなんです、ベネディクトを重ね合わせて読んでしまいました、って、これって私だけなのかもで
すよ。 目が眩んでますから(汗) でも、個人的にはかなり気に入りましたので もしお時間に余
裕があれば(無いでしょうね)お読みいただきたいです。 こんな時ですから(意味不明)猶更です。
フト考えて、ボニーさんにBBC版シャーロックの脚本をかいて貰ったらどうかしら?(大暴言)
あれだけ愛に満ちて思い入れのあるた方が書けば 今回の様な事にはならなかったかも(号泣)

マイクロフトの手帳。 それからシャーロックに渡したジョンのメモ。
どちらも内容が気になりますが ホッポリ出されてしまいましたね。

>S4のラスト・・・ ママの手? それとも ”バットマン&ロビン”スタイルの事でしょうか?
ママの方ですね。 しかし あのママもちょっとアレですよね~。

>心が荒んで・・・ ですよね~。 こうなったらお互いに胸の内を吐き出して愚痴り合いましょ。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。