The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

グラナダ版 『マスグレーブ家の儀式書』 : (1)

2017-08-10 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”The Musgrave Ritual ” (1)

(1986年) The Return of Sherlock Holmes : S3E3 : 


『マスグレーブ家の儀式書』はBBC版S4E3で引用されていたのですが、改めて正典も読み直し、
グラナダ版も以前に何度か観ていたのですが色々忘れている点も多く、今回改めて見直しまして
フト気が付いたら未だ拙ブログでは取り上げていなかった事に気付きました。
丁度良い機会なので、遅まきながら・・・・

正典はワトソンと出会う前の学生時代に解決した事件として ホームズが語って聞かせる展開に
なっていますが、グラナダ版ではホームズがワトソンを伴い古い友人邸を訪れ事件を解決する形
にアレンジされています。
現在進行形の形を取り正典原作を超えた見事な脚色で非常に上手くいった変更と言われ、多くの
ファンに好まれる作品になっています。
この作品の脚本でジェレミー・ポールはアメリカMWA(アメリカ探偵作家クラブ)でエドガー賞を
受賞しています。

それと、以前も書いた事ですが カタカナ表示に関してはこれまでずっと”ワトソン”と表記していた
のですが、今頃になってやっと気づきました。
正典訳では”ワトスン”表記になっている物もありますね。 ただ、これまでずっとその様に記して
きましたので 拙ブログでは”ワトソン”で統一させて頂きます。
又、タイトルも『マスグレーブ』と表記されるものと『マスグレイブ』と表記されるものと両方あり
ますが、今回は『マスグレーブ』で統一させて頂きます。


さて、概略あらすじですが・・・・



ホームズの学生時代の友人であるレジナルド・マスグレーブの招待を受け馬車でサセックスを訪
れるホームズとワトソン。
ホームズのマスグレーブ評は辛辣で、大学時代の友人であるが 由緒正しき旧家の息子であり、
やたらにプライドが高く皆から敬遠されていた。 彼の姿を見ていると封建時代の遺物を思い出さ
せられる・・・等々
ワトソンから「それじゃ何故招待を受けたんだ?」と聞くと「君が何時も部屋を片付けろと小うるさく言う
からだ(駄々っ子の様なホームズ)。 だからこの休暇を利用して初期の仕事の整理をするつもりなんだ。
『タールトン殺人事件』、『ワイン商ヴァムベリ事件』、『ロシア人女性の冒険』、『リコレッティ―と内
反足の妻の事件”Ricoletti with the clufoot and his abominable wife”』、『アルミニウムの松葉杖の事件”
Alminum crutch”』
と足元のブリキ缶を示すと、途端に興味深々直ぐに食いついて全てメモを取りたいと
言うワトソンに、「フン、そうかい」と言いながら箱の上に足を載せて意地悪をするホームズ(笑)
(※ 上記の中、青線で記した部分はBBC版に踏襲されています。
そして、このシーンでホームズはコートではなくブランケットを肩に掛けています。 余程寒いのか
風邪をひいているのか? そう言えばゲホゲホ咳もしてます。 この後もずっとブランケットを掛け
ているのですが、この点が未だに良く分からない設定)


マスグレーブ家に到着すると執事のブラントンと共にマスグレーブが出迎えています。
ホームズによれば、ブラントンは以前教師であり、主人より格段に頭がよく、多くの楽器に通じて
いるとの事。


マスグレーブと再会の挨拶をする中で、ホームズが彼の夫人の事を尋ねると、独身だと言います。
それを聞いたホームズの一言 ”How wise” 「賢明だ」(ホームズらしい・・・)


晩餐の為正装したワトソンがホームズの部屋を訪ねると、ホームズはバスルームでお仕度中。
その間に例のブリキ缶を覗いて見ようとこっそり部屋に入ったワトソンが見た物は使用後のコカイ
ンの注射器。 複雑な表情のワトソン。 でも黙って立ち去ります。

(このシーンも当時NHK版ではカットされたそうですが・・・)


晩餐後くつろぐ三人ですが、この時もホームズは珍しくホワイトタイで正装しているにも拘らずブラ
ンケットを羽織っている。 そして椅子の上にちょこんと足を上げて座る(可愛いんですけど)、その上
意味なく大笑い(ヤクのせいでやたりにハイになっているのか・・・・)

マスグレーブは、「ブラントンは僕より我が家の歴史に詳しい」と言います。

(何故かホームズはブラントンの様子を意味深な様子で興味深そうに眺めています)
部屋を辞そうとするブラントンにレイチェルの様子を聞くマスグレーブですが、少し体調が悪いの
で早めに部屋に戻るように言ったと伝えるブラントン。
ホームズは、前回訪問した時に彼はフランス語で何時間もピッコロの起源を講釈をしてくれたと又
もや大爆笑。ワトソンが「あの才能で執事の職に長年甘んじているのが不思議だ。余程居心地が
いいに違いない」と言うのですが、このセリフがこのエピソードのキーになっています。


マスグレーブはこの屋敷を訪れた客は誰もが必ず執事を覚えている。だが、彼にも欠点がある。
女癖が悪いのだと言います。 数か月前にメイドのレイチェルと婚約したが直ぐに猟場の娘の
ジャネットと浮気をしているのだと。レイチェルは気性の激しい娘で、それ以来夜になると幽霊の
様に屋敷内を彷徨うのだと言います。
(グラナダ版冒頭シーンでブラントンとジャネットが納屋の2階で密会ちょっときわどいイチャイ
チャシーンがあり、それをレイチェルが目撃してしまうのですが、このイチャイチャシーンはNHK
版ではカットされてたらしいです)


翌朝の朝食時遅れてやって来たワトソンにコーヒーを注ごうとしているレイチェルに、ホームズが
「ブラントンは?」と尋ねると 動揺してコーヒーはこぼすし、失神してしまうレイチェル。
ワトソンが様子を見て正気付いたレイチェルにマスグレーブがブラントンを呼ぶように言いますが
彼は部屋にも何処にも居ない。行ってしまったのだと錯乱状態です。


ブラントンの部屋を調べるホームズは、ベッドは眠った様子もなく、ドアも扉も鍵が掛かっている。
貴重品を残したまま何故夜中に消えたのかと・・・・
マスグレーブは屋敷内のごたごたで2人の週末を台無しにする訳にはいかない。予定通り狩猟
に行こう。戻る頃には解決しているだろう と言いワトソンと出て行きます。


(そのままブラントンのベッドで眠ってしまうホームズ。 未だクスリが抜けていないのか?)





・・・・・to be continued です。




→ グラナダ版 『マスグレーブ家の儀式書』 : (2)

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