田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ケープタウン(ZULU)

2014年09月14日 15時29分42秒 | 日記

 「パイレーツ・オブ・カビリアン」のオーランド・ブルームと「大統領の執事の涙」のフォレスト・ウィテカーが、子ども失踪事件の捜査に奔走する刑事役を熱演したサスペンスアクション。フランスで話題を集めたクライム小説「ZULU」を、「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀」のジェローム・サル監督、「あるいは裏切りという名の犬」のジュリアン・ラプノー脚本で映画化した。南アフリカの都市ケープタウンで、元ラグビー選手の娘が殺害された。捜査に乗りだした刑事ブライアンとアリは、事件の夜、少女が薬物の売人と会っていたことを知る。その薬物は、街で頻発している子ども失踪事件の現場で発見されたものと同じだった。薬物を手がかりに捜査を進めるうち、刑事たちは事件の裏側にひそむ組織的な陰謀の存在にたどり着くが……。(映画.comより)

 

 

 R15+。なるほど、いろんなシーンがあります。しかし、一つ言えることは、オーリーもフォレスト・ウィテカーも、みんなすごくよかったということです。物語は悲惨すぎて身体の震えが止まらないほどですが、俳優さんたちはうまかったですねぇ・・・。

フォレストは、「ラストキング・・・」じゃなくて、この作品でオスカーを受け取るべきではなかったでしょうか。いやもちろん、まだわかりませんが。(え?アメリカでは昨年の公開かな?)

冒頭、一昔前のアパルトヘイト真っ盛りの南アフリカが映ります。少年だったフォレストの父親は、体に火をつけられて殺されました。窓から見ていたフォレスト少年が「father,father」と泣き叫ぶも、間髪を入れずに自分も襲われます。裸足のまま走って逃げる少年・・・そして、現在。警察署の中でも警部となったフォレスト。自堕落だが優秀な刑事、オーランド・ブルームと組んで事件解決に当たっています。

実は今の南アフリカは、アパルトヘイトの強固な実践者であった人物でも、マンデラ氏の「赦し」政策により、自分の罪さえ告白すれば許され、元の地位に復帰できています。その為、数多くの人が自由を得るため告白し、その実まだ人種差別主義者だ、ということが多発しているのです。フォレストの上司(署長)もしかりで、名目上彼を昇進させましたが、実は差別主義者です。

ある日、元人気ラグビー選手の娘(白人)が惨殺される事件が起きます。その捜査を始めたフォレストとオーリーは、やがてはるかに根深い事件の真相に行き当たることとなります。

悲惨です。これ以上ないほど悲惨です。ところどころ、危険な現場にたった一人、あるいは二人で乗り込んで無事だったり、「赦し」で自由になった科学者が、以前作った薬が”黒人にのみ特異に効き目を発する”ものだったと告白していたり、「そんなことがあり得るのか」と思うようなシーンも確かにあります。でも、元ラグビー選手の家が吐き気を催すほどの豪邸だったり、何故フォレストが独身のままでいるのかが明らかになってゆく過程や、たくさんの子供たちを実験台にし命を奪い、そうして“カネになる”クスリを創り上げて行く科学者たちを見るにつけ、あまりの現実に本気で吐きそうになりました。

ホームレスの子供が行方不明になったところで、誰も気にしない・・・科学者の目のつけどころはここです。そして、事件に関わった人間は、大人だろうが女だろうがみな殺してしまえ。そんな短絡的な行いが、温厚で「赦し」を実践していたフォレストの精神を生き返らせてしまうのです。

最後はスローですが壮絶なチェイスが描かれます。でも、それでよかったのかもしれません。彼はきっと後悔していないでしょう。

ラストに映る、オーリーの表情がやりきれません。仕方がないとは言え、映画を見ているだけの自分がはがゆいです。

 

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