超能力を手にした高校生たちが、その力に翻弄されていく姿をファウンドフッテージ形式で描いたSFアクション。平凡で退屈な日常生活を送る3人の高校生アンドリュー、マット、スティーブは、ある日、特殊な能力に目覚める。手を触れずに女子のスカートをめくったり、雲の上まで飛んでアメフトをしたり、3人は手に入れた力を使って刺激的な遊びに夢中になっていく。しかし、そんなある時、あおってきた後続車両にいら立ったアンドリューが力を使って事故にあわせたことから、3人は次第に自らの力に翻弄され、事態は予期せぬ方向へと発展していく。(映画.comより)
無名の若者たち(アンドリュー役のデーン・デハーンのみライアン・ゴズリングの息子役で見たことアリ)が主演の(多分)低予算映画。なんと日本では2週間の限定公開なんだそうです。知らなかった・・・。偶然見れてよかった。85分の短い作品ゆえ、一律1000円でした。こちらも知らなかったのでlucky!
さて、主人公のアンドリューは、カメラヲタクの内気な青年です。学校へ行ってるから多分高校生だと思うのですが、家では、朝から飲んだくれて暴力を振るう父親と、病弱で寝たきりの母親しかいません。なんでも、父親は元々消防士だったのですが、怪我をしていくらかのお金をもらって仕事をやめてしまい、毎日テレビばかり見て飲んだくれているとのこと。そんなお金はとっくに使ってしまい、今は母親の薬代にも事欠く日々。それでも、すべてを人のせいにして毎日怒鳴り散らしては息子をなぐっている、最低な父親です。
ひ弱なヲタク青年は、学校でもいじめの的で、アホづらの大柄男子生徒に殴られても黙っているばかり。
それでも、同級生にはいとこのマットがいて、最近は一緒に通学したり、廃屋でのパーティに連れだしたりしてくれてます。人が集まるパーティなんて苦手だったのですが、マットに言いくるめられ、カメラを持って参加することに。
さて、せっかくのパーティでもカメラばかりを回しているアンドリュー。「何を撮っている」などと因縁をつけられたりして、結局は表に。
すると、学年一の人気者にして生徒会会長候補、将来は政治家志望のポジティヴな青年スティーヴに声を掛けられます。「すごいものを見つけたんだ。カメラで記録してくれないか。来いよ」と。
行ってみると、それは地面にぽっかりと空いた不気味な穴。気持ち悪がるアンドリューですが、スティーヴやマットがどんどん入って行ってしまうので、仕方なく付いて行きます。ずいぶん歩いたでしょうか。やがて行き止まるのですが、水溜りのようなものがあったり、不気味に光っていたりと気持ち悪い限りです。
とりあえず出て来た3人。その時は「なんてことなかったな~」って思っていたのですが、この穴、次の日に行くともうない!!お巡りさんみたいな男たちに「こら、ここでうろうろするな」などと注意されるし、いよいよ怪しい!
やがて3人は、特殊な力を得たことを自覚し始めます。その力は初めこそコントロールが難しかったのですが(そしてヲタクなアンドリューが一番上手だったりする)、コントロールできてしまうとものすごい力であることがわかってきます。
世間には秘密にする、などルールを作ってやり過ごそうとする3人ですが、しかし平凡だった彼らの人生は、いい意味でも悪い意味でも変わり始め、やがてバランスを失ってしまいます。
そしてそれは、アンドリューの家庭が行き詰まった時、とうとう爆発してしまうのです。
しかしそれは、悪態をつくことしか知らない不出来な父親のせいでもあり、やはり子供が何かを踏み外す時というのは、大人の責任でもあるんだなぁ・・・と感じました。
私個人的には、家庭でのあまりの暴力に、「カメラに収めてあるんだから、それを持って児童福祉局でも何でも行って、保護してもらえばいいのに」と思いました。そんな簡単なものでもないのかもしれませんが。
気楽な青春映画の面持ちで、シリアスな展開。考えるところ多しでした。名作だと思いますね。なんでもっときちんと公開しないんでしょうか。1000円だし、結構クチコミででも入ると思うけどなぁ。