レオナルド・ディカプリオやリドリー・スコットが製作に回り、オスカー俳優クリスチャン・ベイル主演で放つドラマ。アメリカの片田舎で暮らす主人公が、ささいなことをきっかけに転落の人生を歩む姿をつぶさに映し出す。弟を『ジェシー・ジェームズの暗殺』などのケイシー・アフレックが演じ、ウディ・ハレルソンやウィレム・デフォーら怪優たちが共演。閉塞感漂う町で必死にあがきつつ生きる男たちの生きざまが胸に突き刺さる。(シネマトゥディより)
地味に公開しているわりには豪華な俳優陣で驚きました。どの役柄も、最初からアテ書きしたのかと思うほど、俳優さんたちはハマっていました。うまい!
主役はクリスチャン・ベイル。彼は本当にうまいです。今さらながら驚きます。ハンサムな顔立ちで、大金持ちの御曹司を演じてもサマになるのに、社会の底辺で生きてるような兄貴を演じてもきれいにハマる。なんなのでしょうね。
さて、舞台は「リトル・ダンサー」のような(あれはイギリスだが)さびれた町。仕事もそんなに無さそうで、町全体が沈んだ雰囲気です。主演のベイルも、病気で寝たきりの父親の面倒を見ながら、細々働いています。一応彼女(ゾーイ・サルダナ)もいて、それなりに「まぁ、いっか」って感じで暮らしています。弟が一人いて、これがケイシー・アフレック。彼もいい子なのですが、いかんせん仕事も少ないので軍隊に入り、イラクへ出征すること4回。町へ帰って来たとてぶらぶらするしかなく、ウィレム・デフォー演じる小物な元締めと共に、つまらん賭けごとをしたりして、借金もかさんでいます。
なんとか弟を立ち直らせたい兄は、少しずつ借金を肩代わりしたりしながら面倒を見ていたのですが、ある時交通事故を起こしてしまいます。相手は死亡。個人的には急にバックして来た方も悪いとは思うのですが、少し酒を飲んでいたがためにベイルは服役し、前科者となってしまいます。
そんな中で、弟はどんどん人生を転げ落ちて行きます。他に生きて行くすべがないのが現実です。軍人ですから、体だけは屈強。より多くのお金を求めて、より危険な「賭けファイター」となって行き、誰も踏み込まない様な世界にまで入って行ってしまいます。
出所したベイルも、愛していたはずの恋人は去り第二の人生を送っている現実を目の当たりにし、やりきれなさを覚えます。でも、どうすることもできません。「君の幸せを祈っているよ」そんな風に言うしかすべがない。新しい彼氏だって、いい奴だってわかっているし、本当に他にすべがないとしか言いようがないのです。この辺は、共感しきりですね。暴れることも叫ぶこともできない”普通の人”は、これ以外に表現の方法があるでしょうか。
しかし、そんな中、弟が姿を見せなくなります。だから危険な世界には・・・もう後の祭りです。ベイルの壮絶な捜索・復讐が始まります。
今回、極悪人の役でウディ・ハレルソン。でも、彼もすごくハマってました。多分彼でないと、あれだけの雰囲気は出せなかったでしょう。でも、極悪人には極悪人のルールだってあるのです。彼はベイル演じる兄に言いました。「ロドニー(ケイシー・アフレックね)か・・・。強い奴だった」と。
ベイルのおじさんにサム・シェパード。ゾーイの新しい彼氏はフォレスト・ウィテカー(彼を最近よく見ますね)です。
見応えのある映画でした。でも、やや壮絶なので、繊細な女性には勧めません。