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分析家の独り言 788(直立歩行と万能感からの脱却  - 2017.8 大阪子育て相談室より - )

2017年08月13日 18時56分45秒 | 分析家の独り言

8月8日(水)の大阪子育て相談室での質問です。

「孫が1歳2ヶ月になったが、この時期子育てする上で

気をつける事、大事なことは何か?」ときかれました。


1歳2ヵ月は、マーラーの『分離・個体化』の第三期、練習期に当たります。

それまでのはいはいから、身体機能の発達により

直立歩行ができるようになります。

自分の足で自分の興味のある所、行きたい所へ行けるようになります。

お母さんとの心理的分離も進んできて、自律心が芽生え、

自分を試して、どこまで自分の歩みを進められるか、

自分の思い通りに動けるか練習する時期です。


お母さんはますます子どもから目が離せません。

まだ、たどたどしい歩みで、危険を感知することもなく動き回ります。

すると、お母さんはつい「危ない」、「そっちに行ったらだめよ」と

子どもの行動を止めてコントロールしてしまいます。

これでは、いつまでもお母さんの管理下におかれ、自律期の学習ができません。

本当に危ないときは制止するなど、守ってあげなければいけませんが、

子どもが自由に動けるようにそばにいて見守ります。

これだけでもお母さんは大変です。


いつもそうですが、子どもに主体を置いて、それを尊重することです。

そうして子どもが自由に動くと、自分の限界と不自由に出会います。

これまでは自分が動かなくてもお母さんが、泣くなどのサインを読み取って

必要な事、欲しいものを与えてくれました。

赤ちゃんはお母さんとの分化・分離がまだほぼ無かったので、

お母さんが何でもしてくれることを、自分が万能であると錯覚していました。

これを万能感といいます。

しかし、自分で動いて、自分には出来ない事があり、

自分だけでは思い通りには行かない事があるとわかり、

万能感から脱却していきます。

この万能感から脱却するために、相当な自由が与えられなければ、

正常に練習期を送れず、精神の発達は止まってしまいます。


そのまま身体だけが大人になった人は、万能感から脱却できず、

自分が特別な存在だ、だから何をしても許されると思い込んでしまいます。

これが赤ちゃん時代に精神の時計が止まった、アダルトベイビーです。

適切な対応を受けて、精神は健やかに育ちます。

それには育てるお母さんやお父さんに、精神発達論などの知識が必要です。


           ラカン精神科学研究所 セラピスト 登張豊実


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