食とくらし~王子光照苑栄養課のメモ帳~

王子光照苑広報誌「ふれあい通信」と連動して、食とくらしにまつわるお話をお届けします

食欲の秋

2012-09-18 10:16:09 | 栄養雑学


 暑い日が続きます。気象庁によりますと、今年の残暑は今月いっぱいは続くのではないかとのことですが、その後は、一気に秋が深まるのだそうです。

 秋が深まるということは、気温が下がっていくということになります。そんなのわかっていると言われそうですが、少し聞いてください。なぜ、食欲の秋なのかを・・・。

 食事は、今や人として楽しみの一つとして数えられます。親しい人との楽しい時間を過ごす手段として、または、どこかに出かける際の目的の一つとして有効活用されています。

 もちろん、それも食事をする大きな目的の一つですが、基本的には「生命維持活動」になります。

 生命維持活動の根源に「体温の維持」があります。例えば、自然界の一部の哺乳類、両生類、爬虫類など冬眠を行う動物は、冬季の食事量は極端に少なくなるか、行われません。これは冬季に体温調節の必要がないからです。特に、変温動物と言われている爬虫類などは普段も食事回数が少ない動物なのです。

 一方、私たち人を含む冬眠をしない動物は冬でも体温を維持しなければ生きていけません。夏に気温が高いから食欲が減退する原因も何となく説明がつきます。また、夏のまばゆい太陽を浴び、四季の中で一番の実り(旬)がもたらす恩恵は、気温低下も手伝って、食欲が戻るとともに食を楽しむ気持ちが増してきます。そして、ここに「食欲の秋」たる由縁が見え隠れします。

 現在は、1年中食材が豊富で、夏場も栄養補助食品などで栄養補給が容易にできる時代になり、旬のものを楽しむといった趣は廃れてきた感がありますが、栄養士として施設の利用者様には食事を通して季節を感じていただきたいと思っています。