入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「秋」 (23)

2016年09月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 (前日から)雨の日が続く。昨日のような激しい雨降りなら、入笠のような2千メートル前後の山でも、予期せぬ不運に見舞われることがあるかも知れない。雨具はどんなに高価でも、完全だとは思わない方がいい。
 高山では長時間、雨や風に攻め続けられると体温も、体力も、気力も呆気なく低下してしまう。ましてそれが初体験だったら、それも3千メートルの稜線だったら、少しでも早く安全な山小屋へと焦り、道に迷ったり間違えたり、浮石を踏んでしまうといった不運の可能性も高まる。
 それでも、ともかく安全圏へ脱出できたとしても、まだ終わらない。危難、困難を克服できたという喜び、達成感は、老いらくの恋にも増して厄介な関係を山との間に結んでしまったからだ。
 また次へと、老いた身体に鞭打って、乏しくなるばかりの運を消費することになる。しかし、中高年にとっての山は、彼らの運を吸い取るように奪ってしまう。高ければ高いほど、険しければ険しいほどその消費は激しくなる。そして運が尽きれば、身を託していたロープがプッツンと切れるように、遭難が襲ってきて、現実のものとなる。
 長い、労多き人生を折角堅実にここまで来たのに、ザイテンなどで死ななければならなかったのは無念だったに違いない。山では自身の肉体に、若き日の残像を、幻影とも知らず見たかも知れない。それで残余の運を、推し量り損ねたのだろうか。
 
 これからの季節、雨に濡れ、風に吹かれて必死で森林限界を超えていく中高年登山者を目にすると、痛々しさを感じてしまう。むごくさえ思う。残り少ない余生と同じその運を、もっとちチビチビと消費すべきではないか。スーパーでは、あれほどまでに吝嗇に徹していたのに、山に登って自分の運をそんなに気前よく乱費することはない。勿体ない。
 思い出はたくさんできた。これまでの運に感謝して、秋雨前線に濡れた剣呑な山を去ろう。稲刈りの済んだ田の寒々しい光景を車窓に見たら、もう、2千600メートルを超える山に、中高年は足を向けないと決めた方がいい。そして彼らにふさわしい自然とのふれあい方を、残された運を使って、もっと安全な山で編み出してもらいたい。たとえヘルメットなんぞ被っても、やってくる冷たい冬の季節には、運を消費し尽したあなたを守ってはくれない。
 
 O沢さん、トクさん、コメントありがとうございました。O沢さんは雪の降るまでには来られたし。トクさんとは、新月に会いましょう。

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