入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’17年「初冬」(11)

2017年11月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨夜、高い山は雪だったようだ。遠く後立山から槍、穂高、続く乗鞍、御嶽、そして中アは空木に至るまで、白い衣を新しくしたようだった。その中でも穂高、槍の山並みは一条の雲を曳き、その上にまるで座るように堂々と見え、上空はきょうも風が強いようで、奥穂の峰のあたりからは雲なのか雪なのか、白いジェットを吐き出していた。

 初冬のこの時期、午前と午後とでは周辺の印象が、躁と、欝ほどに変わる。午前中の光は明るく、凛として、天空にも地上にも漲る。しかし、午後になると一挙にそれまでの明るさ、光彩は輝きを失せ、萎え、陰影は深かまり悄然としてくる。
 どちらが良いということではない。葉を落とし、その分余計に日の光を浴びてる森や林は暖かくて明るく、晴れ晴れとして見え、眺めているだけで気持が和む。林間に酒を温め、紅葉を焚きたくなる気持ちが分かる気がする。
 その一方で正午を過ぎると、光は次第に明度と強さを失っていき、辺りの光景は物憂げで、うら寂しさを増す。その趣を品のある静けさとか、落ち着きと形容することもできるが、酒を温め(るのはいつでもいいとして)、林間に紅葉を焚くのはむしろこのころの方が、ふさわしいかも知れない。
 西の山に残光が消え、闇と静寂が辺りを包むと、まだその日は終わっていないのに終息感に襲われる。日没の後にはただ闇が待っていただけの昔の人の感慨を、今も引きずっているかのようにそう感ずる。
 
 夜の森の中で、昨夜もたくさんの動物を見た。2頭の鹿がヘッドランプの狭い光の中で当惑し、車の後部にぶつかった。里では鹿が減ったと喜び、あるいは逆に嘆く声も聞くが、そんなことはない。夜の森に来れば分かる。

 牧場は19日で閉めますが、その後も例年と同じように、折角いただいた予約にはできるだけ応じたいと思っています。 なお、11月からは冬季営業となりました。カテゴリー別の「28年冬季営業の案内」を参考にしてください。料金を含め、営業内容は昨年と同じにしたいと思います。

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