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三谷幸喜のNY初公演って(3)

2009年11月21日 | 海外公演
     
入場客に配れらるPlaybill。 表紙とキャスト・スタッフのページ。



11月19日付けの朝日新聞のウェブサイトに「三谷流、言葉の壁に挑む 米オフブロードウェーでミュージカル」なる記事が掲載されていました。(興味のある方はこのアドレスで記事が読めます)http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200911190279.html

いわく・・・
「・・・・三谷に言わせれば・・・・「言葉の壁」を乗り越えることに挑戦したという。」
「毎月1回はミュージカルを見ているというスチュアート・ドルギンスさん(73)は・・・・と思う」と話す。」
「俳優陣にとって本場の反応は新鮮だったようだ。香取は「練習とは違う、想定外のところで盛り上がった」と驚いた。」
「三谷は「自分の作品を生の姿でこっちの人に見てもらうあり得ない機会を得た。次は日本語の芝居で笑わせてみたい」と手応えを語った。 」

と結局、主には直接の関係者からのコメントを引用しただけの記事で、(専門家などによる)客観的な検証はなく、また記者個人の公演の中身へのコメントもないので、「それで、この記者さんはこの公演をどう思ったのかしら?」と尋ねたくなったのですが、第三者からの引用は一般観客から肯定的なコメントだけを引用していますから、つまり、多少の批判はあるものの、全体としては公演は上手く行ったという印象を与えようとしているんだな、と読みました。(違うかな??だってネガティブなコメントだっていくらでも取れたであろうに、あえて肯定的なコメントだけを選んで載せたのですから、つまりはそれが記者の意図と考えるのが普通ですよね?しかも、この後触れるNYポストのレビューはかなりさらっとしか触れていないことも考えるとねえ・・・・・。)

しかし、記事からは逆に、三谷さんが試みたことが大成功を収めた!という積極的な肯定も読みとれません。記者の個人的な感想と記事で意図しようとしたことは別物なのかもしれませんが、こういう記事をなんと言うのでしょう。劇評ではないし、記者や新聞社の意見が積極的に述べられている訳でもないし、公演があったと言う事実だけを伝えている訳でもないし・・・。現地からの報告というのかなあ・・・。

それで僕が面白いと思ったのが、地元紙ニューヨーク・ポスト電子版が掲載したネガティブな批評の取り扱いです。
朝日新聞の記事では、NYポストの批評を要約して、

“音楽は良かったが、1曲1曲が短すぎる。内容も2時間向きの素材ではない」と辛口の評を載せた。”

と書いています。

辛口・・・ 

このNYポストの記事は、11月16日に既に掲載されていて、僕はその日に読んだのですが、自分で公演を見る前にこの記事を取り上げるのはどうかな、と思ったのでブログでは紹介しませんでしたが、辛口と言うよりは、めちゃくちゃ辛辣です。ちょっとどうかな?と思う部分もあるぐらいです。

このポストのレビューがほとんどメジャー紙では唯一のレビューだったし、ネガティブな意見があるのに載せないのもバランスを欠くし、まあ現地からの声として取り上げたのかもしれませんが、随分ソフトな表現になっています。また核心部分にも触れていません。批評に賛同できなかったのかもしれないし、あまりに辛辣だったので遠慮したのかもしれませんが、でも事実を伝えるなら、そしてポストの批評について紹介すると決めたのなら、さらっとでも批判の核心を書いたほうが良かったんじゃないかなあ・・・。それが三谷さん、ひいては日本の演劇界のためでもあったと思うんですけど・・・・。

NYポストの批評家が主に書いた内容は、もっとダイレクトで辛辣なものでした。
つまりは“音楽は素晴らしいが、脚本がそれをぶち壊した”と、批評家は書いています。
批判の対象はそのものズバリ、脚本です。


タイトルは

「Still waiting for the great Pizzicato 5 musical」 
-それでも偉大なピチカート5のミュージカルを待望しているー 

2009年11月16日、ニューヨーク・ポスト電子版掲載
http://www.nypost.com/p/still_waiting_for_the_great_pizzicato_XWKWWJad0db2BL5iIXMPSI


まず記者は「ピチカート5の小西康陽によって書かれた曲だけがこの公演の唯一の優れた点である。」と書き出し、「ピチカート5は1990年代の優れたバンドのなかの1つであり、ピチカート5のCDを25枚ほど所有し、今も時々彼らのCDを聴いている」、「渋谷系ミュージシャンに多大な影響を与えたバート・バカラックにならって、なぜ小西もミュージカルを作曲してこなかったのかと思っていた。」と書いています。筆者は音楽通でピチカート5にかなり好意的な人のようですが・・・

彼は今回の公演での音楽や演奏についても好意的に記述した上で、「最大の失望は、どの曲も90秒ぐらいか、馬鹿げた台詞(英語であれ日本語であれ)によって、短く乱暴に打ち切られていたことだ。」

そして批判は三谷さんの脚本に及びます。「“Talk Like Singing” は馬鹿げた脚本である。」「三谷幸喜自身が演出を手掛けても何の助けにもならない。」「1時間にしかならない題材で2時間の作品を作っている。」「高校生の公演を見ているようだ。」「役者たちは非常に頑張っているが、その努力も台本の馬鹿さ加減を隠す助けにはなっていない。」「そして観客は大なり小なり次の音楽が始まるのを待つことになる。」

今回の三谷さんの脚本や演出が非常に残念な物であったことは僕も同感ですが、そこまで音楽だけが秀でていたかと言われるとちょっと疑問が残りますが・・・。そして筆者は文末をこう締めくくっています。

「このことを念頭に置くと次にやるべきことは明確である、第一にTalk Like Singingのサントラを出すこと、そして第二に小西氏にもっと良い脚本を与えることである。」

言葉を選べば辛辣な記事と言えますが、カジュアルな言い方をすれば、つまりはボロクソですね。ピチカート5好きのこの批評家はそうとう頭に来たのでしょう。ニューヨークポストはタブロイド紙ですから、まあ、ちょっと刺激的な文面になるのでしょうし、全面的に同意できる訳でもありませんが、朝日新聞の何やらはっきりしない記事よりは、言いたいことははっきりしています。

余談ですが、今回の“Talk Like Singing”に関する後記事(レヴュー・劇評)が出ていないか、メジャーどころのメディアを検索してみたのですが、現在のところ記事を発見できたのはニューヨーク・ポスト1社のみでした。

個人的な感想ですが、観る前は「音楽や歌はどうなんだろ?」とか「ダンスや芝居はどうなんだろ?」とか、期待半分で観に行ったのですが、そんな次元ではなかったです。「三谷さん、どうしちゃったんだろ??」と思うぐらい脚本と演出が・・・。むしろ、あれでは熱演のキャストが浮かばれないんじゃないだろうか。

内容の詳細は書きませんが、三谷さんの脚本って人間の弱さだったり愚かさだったり、そしてそれゆえの面白さであたり、といった部分を上手くドラマに仕立てて、可笑しいんだけど泣ける、笑えるけど納得できる、みたいなのが大きな魅力の1つだと思っていたけど、そんな感情の機微を楽しめるような脚本に全くなっていなかった。記者会見でも「日本語と英語を半分づつ取り入れ、字幕なしで上演する」「気持ちで芝居するから、英語であろうと、日本語であろうとお客さんに伝えられる」と言っていたから、どんなふうにするんだろうと期待して行ったが、たしかに、同じシーンを英語と日本語で2回繰り返す、英語の台詞はほとんど大村役の川平 慈英さんに任せる、大村に英語で説明させる、電光掲示板やフリップをネタと絡ませて使うなど、それなりに工夫をしていたし(まあ、こういう工夫が1時間の中身しかないのに、2時間の公演になっていると批判される大きな原因にもなるんだろうけど、日本語と英語を繰り返すので、かなりまどろっこしい場面もあるし・・・)、英語しか分からない人にも話しの筋は伝わったと思います。だけど肝心の伝える中身が・・・。

はっきり言えば、英語しか分からない人にも、日本語しか分からない人にも、そこそこ内容が伝わるようにしようとしたのが失敗だったと思います。どっちもつかずだし、内容が薄くなってしまっているし、まどろっこしいし。アメリカで上演するんだから、アメリカ人が理解できるようにすることに重点を置くべきだし、作り込みやクオリティを考えると日本人キャストで日本語でと思ったのなら、素直に字幕にすれば良かったと思う。そして字幕の中身と映写の仕方を、映画や映像業界で培った技術と経験で工夫すれば良かったのではないでしょうか?

美術セットも照明も僕は全く好きになれなかったです。キャストが4人しかいないせいもあるけど、舞台が広々閑散として感じられてしまって、ミュージカルの臨場感も迫力もなく・・・

大の三谷ファン、ということではないけれど、前にも書いたように「You Are The Top/今宵の君」は大好きな作品だし、「やっぱり猫が好き」もビデオで何度も見たし、三谷映画は毎回楽しく鑑賞していますが、今回のミュージカルは非常に残念な作品と言うほかないです。せっかく大々的に日本から作品を持って来たのに、もうちょっとどうにかならなかったのかなあ・・・と思っています。救いは(僕の場合はピチカート5ではなく)大村役の川平さんが芸達者だったこと。THE 役者な感じではないけど、センスが良くて器用な人なんだろうなあ、と思いました。あ、それと♪そ~めん~♪ネタも好きですけどね。

2007年に三谷さんの「笑の大学」が英語に翻案されて、英国で活躍する演出家と役者でもって上演されています。三谷さんは今回のNY公演をこういった形で上演する気はなかったのかな。2007年の経験は三谷さんにとってあまり良い経験ではなかったのでしょうか。いきなり新作、それもミュージカルを持ってくるのではなく、規模は小さくても日本で良く準備されて上演された作品を持って来るとか、ワークショップやリーディングなどを開催してフィードバックを得るとか、現地の役者や演出家、作家と交流して人脈や情報源を拡げたり意見を交換するとか、過去の三谷作品でアメリカ人が興味を持つのはどんな作品のどんな題材なのかリサーチするとか、現地の役者を使ってワーク・イン・プログレス形式で試演の場を設けるとか、字幕と英語表現について実地で試してみるとか、そういう活動をしようとは思わなかったのかな。(やっているけど、世間には出てこないだけかもしれませんが・・・)日本でだけで考えないで、NYでのそういった活動を通して少しづつNYの演劇界の状況を知り、普通にNY(アメリカ)で暮す人たちに向けた作品を育て上げ、NYで観客・ファンを増やして行こうとは思わなかったのかなあ。三谷さんは誰に作品を見てもらいたかったのか?

今回の観客の9割以上は日本人だったと思います。少なからず無料招待券というタダ券も日本人社会の中でばら撒かれました。25%オフのディスカウントチケットが英語媒体で販売されている一方で、劇場価格の倍ほどの料金でチケットが日本語媒体で販売されたりしました。普段、普通に劇場に足を運ぶアメリカ人への訴求は全く十分でなく、残念ながらオフブロードウェー公演と名乗りながら、それに相応しい認知は現地社会では全く得られませんでした。でも、そういったことはある程度は仕方ないことだと思います。むしろ華々しいTV的な記者会見に象徴されるような制作のあり方や、現地の実情をあまり理解していないのではないかと思われるようなやり方に、三谷さんは自身を取り巻く状況をどの程度理解していたのか、ブレーンの人たち経由ではなく、三谷さんはどの程度、直接現地の状況を把握できる立場に自分を置いていたのか・・・。

前にどういう海外公演が良い海外公演かは、なにを成し遂げたいと思うかによって違うと書きましたが、三谷さんはどういう思惑を持って今回のNY公演を企画したんでしょうね。それとも企画したのはTBSで三谷さんは乗っかっただけだったのですかね。僕が部外者だからかもしれませんが、一体なにがしたくて、どうしてこの作品をこの形で上演したのか良く分かりませんでした。

それでも僕は三谷さんの作品が近い将来、ブロードウェーで見られる日が来ると思っています。今回の作品は様々残念なことがありましたが、三谷さんの脚本はブロードウェーでも十分に通用すると思っています。三谷さんほどの大物になると、いろいろままならないこともあるのでしょうが、やっぱり期待しています。


Still waiting for the great Mitani san’s straight play on Broadway!!





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20 コメント

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三谷さんのレベルって・・・ (ゆう)
2009-11-21 08:51:57
三谷さん、古畑任三郎くらいでしょう?
映画もつまらない作品ばかりだし・・・

過大評価されすぎというか、
優秀な脚本家や監督が少なすぎますね、日本は。
いやいや (NYC)
2009-11-21 12:36:57
私は音楽・歌も他の要素同様、最悪だと思いましたよ!仮にもこれ『ミュージカル』ですよね???子供だましみたいな歌、ありがちでボーリングな音程、そしてしょぼいダンス!はっきり言って背筋が寒かったです。とにかくNYでミュージカルをするということがどういうことか、何もわかってないですよね。足元にも及ばない!一から勉強してから来て欲しい。キャストがかわいそう。
おっしゃるとおり (管理人)
2009-11-21 13:55:44
そうですね、非常に残念な中身となっていました。
昨今のTV局主導の映画制作の現場と相通じるんじゃないかなと思ったのですが、
どうも安直な作りの低質な作品が乱造されているように思います。
三谷さんも毎年新作を書いて演出して、さらにTVや映画の脚本を書いて・・・。
忙し過ぎたんじゃないでしょうかね。

マスコミのあり方にも大きな問題があると思います。
今回、この公演の日本での報道のされ方を見ていて、
暗澹たる気持ちになりました。
同時にマスコミって怖いなあとも思いました。
1を100にして報道することも、
100を無かったことにすることもできるんですからね。

例えば、どこどこで、これこれに反対する100なデモがありました、
と言われても、実際そこに行って確認しない限り、
それが1なのか10なのか100なのか、本当のところは分からず
世間はマスコミの言い分を鵜呑みしている可能性があるということですから。

インターネットがさらに発達して、個人による情報発信が今以上に
安易になったら、状況は改善されるかもしれないですけどねえ。
それでも真贋を見極めるのは難しいですからねえ。
Unknown (Chiyo)
2009-11-21 14:23:04
そうなんです!何がしたいかわからない作品でしたよね…。
ほとんど同じ感想を抱いていたので、ブログを拝見して「私だけじゃなかったんだ…」と安心しました。

あれだけのお金をかけて、才能のある人を使っても、あんな出来になってしまうことがあるという事実が、舞台って怖いなぁと思いました。
逆に言えば、本当に良い作品を作るのに、お金や才能が絶対条件ではないんだな、とも感じました。
はー、良いものを作りたいです。
ひとりじゃないよ! (管理人)
2009-11-21 15:56:27
お金と才能のかけ方の問題とも言えるよね。
良い作品を作るには、お金と才能だけじゃだめな時がある、
とも言えるかもねー。
良い作品とは何か、に対する答えも1つじゃないだろうしね。
そんな気がしてました (まり)
2009-11-22 15:28:44
この秋、(今作品でなく)初めてブロードウェイでミュージカルを観ました。
日本ではよくTVタレントさん(○原紀香さんとか)が『ブロードウェイミュージカル』とか銘打ってやってますがそれは往々にしてイカンのでないかと感じました。
ミュージカルは…ブロードウェイとはそういうのと次元が違うっちゅうか。
皆さんの酷評を見ても「やっぱりな」みたいな気分です。
昨日はスマステでNYから生中継とかって慎吾くんと三谷さんが出てましたが何だか満足げ。
誰か「NYで日本人相手に何したいの?」みたいにはっきり言ってあげた方がいいのでは。
皆さん仰るとおり三谷作品はとてもいいものが多いんだから甘んじないでもっと精査していただくといいのに。
来年、凱旋公演とかって今回の作品を東京でやるらしいです。
東京での評価はどうなのかなぁ…
それも気になるかな。
とはいえ (管理人)
2009-11-23 12:37:26
そうねえ、本来メディアがきちんと批評して淘汰されるべきなんだけどね。
どうもそいう機能を果たしていないよね。
提灯記事が多いし。
スポンサーや大手芸能プロなんかのしがらみがそうさせるのか。
でも、「踊る大捜査線」なんて映画が流行るぐらいだから
今回の三谷さんのミュージカルも日本で受けるのかな??
それも怖いねー
とはいえ (管理人)
2009-11-23 12:37:28
そうねえ、本来メディアがきちんと批評して淘汰されるべきなんだけどね。
どうもそいう機能を果たしていないよね。
提灯記事が多いし。
スポンサーや大手芸能プロなんかのしがらみがそうさせるのか。
でも、「踊る大捜査線」なんて映画が流行るぐらいだから
今回の三谷さんのミュージカルも日本で受けるのかな??
それも怖いねー
次は東京なんですね (えん)
2009-11-25 16:25:11
それにしてもミュージカル通の人多いんですね。それぞれ意見もあるし。
出演してる方はやるしかないですよね。場所観客は結果ですからやはり企画とかスタッフサイドのもんだいなんでしょうか。
三谷氏は香取さんを舞台に出したかったところからミュージカルでニューヨークになったと言ってましたが惚れられたとはいえ香取サイドは大変だったでしょうね。
制作側がちゃんと考えないといけないですね。
東京はどうやるのでしょうね (管理人)
2009-11-26 01:13:04
やっぱりねえ、TV局とかってちょっと傲慢なところがありますよね。
自分たちが文化や芸能をリードしているみたいな。
あと、意外に日本人って郷に行っても、郷に従わないところがあって、
日本のやり方が一番進んでいると思っているふしがあります。
今回の公演もどう考えてもNYの演劇事情から乖離したやり方じゃないでしょかね。
三谷さんと香取さんサイドは、少なくとも思惑が一致したんじゃないですかね。
NYでミュージカルがしたい!という点において・・・。
思わず!! (長文失礼致します) (聖)
2009-11-26 13:17:16
はじめまして。
先日、日本からこの公演を観にNYへ足を運んでガックリして帰ってきた者です。(ちなみにSMAPファンではありません。。。)

あまりに憤懣やるかたなくて、どうしようもなかった想いを抱えていたときにこちらのblogを発見し、書かれている内容や皆様のコメントに「そう!そう!そーですよね!!」と激しく同意し思わず書き込みをさせて頂きました。

私は三谷さんの、「大」とは言えないかもしれないけれど、ここ10年くらいの作品はほぼ全て観てきたファンです。

そして、今回の一番のマイナーな(?)出演者:新納慎也くんを応援していて (出身がすぐ隣の街で、共に田舎から東京に出てきて頑張る同郷人応援根性もありまして。。。)「三谷さんNY初公演に新納君出演。コレは行くしかないだろう!」と馳せ参じたわけです。

・・・が、主演を香取慎吾さんにした時点から、かなりイヤな予感はしていましたが、脚本・演出自体もあんなものになってしまったなんてと、もう残念で仕方ありません。 実は事前に3回分もチケットを取っていたので、3回足を運んだのですが、一度も寝ないでまともに観れたのは1回だけでした。

皆さん、ご指摘のとおり、三谷さんは誰に何を見せたかったんでしょうね。そしてそれを「NY進出 大成功」とか煽っている日本のマスコミも本当に怖いなと思います。(少なくとも私が観にいった回では、私の周りのアメリカ人の方は、途中で寝てしまっていたし、最前列から2列目くらいまでの外人さんは最後のスタオベでも立ち上がろうともされていませんでした。彼らの反応は素直で正直だと思います。)

千秋楽を終えて書き込まれた新納君のblogを読んでも、応援する私ですらガックリくるような内容で。日本の「芸能界」・・・というより「ゲーノーカイ」はこうやってどんどん「勘違い」が増えていくのかなぁという気にすらなりました。(まぁ、公に言えないことも多々あるのでしょうし、逆に彼自身も思うところがありナーバスに過剰反応しているのかもしれませんが・・・。)

私個人としては、応援する三谷さんがNYで公演を打てたこと、新納君が「三谷幸喜、香取慎吾」というビッグネームと共にNYの舞台に立てた事は今後の彼らのキャリアにおいて意味のあることだったとは思っていますし肯定的に受け取っている部分もあります。

ただ、その事と別に、実際の受け手の反応はしっかりと受けとめて、ヘンな「勘違い」だけはしないでもらえたらなぁという思いでいっぱいです。 周りの取り巻く狭い環境の中の反応だけじゃなく、広い視野で、聞く耳をもって今回の公演の評価をしっかりと受け止めて欲しいなと思います。

「NYで公演を行った」ということと、「オフ・ブロードウェイで舞台を張った」ということは本質的に違うと、個人的に思っています。 ただ、「NYでやった」ということを付加価値にしたいのなら軽々しく「オフ・ブロードウェイ」なんて言ってほしくないなというのが一人の芝居好き、ミュージカル好きの想いです。資本力で「オフ・ブロードウェイ」として芝居を張ったのがミエミエなのに、結局は受け手として狙っていたのは本当に現地の方々なのだろうか??と疑問視してしまうような内容では、「オフ・ブロードウェイ」というのを宣伝文句として使った製作側の恣意的なプロモーションと疑わざるをえないですよね。

世界中にいる、本当の意味でのブロードウェイや、そこへ通ずる「オフ・ブロードウェイ」を夢見て頑張っている方々に失礼な話だなぁと悲しい気持ちになりました。

舞台は水モノの部分もあるし、三谷さんだって面白いものを書けるときもあれば、そうじゃない時もモチロンあると思います。 そして、役者の方々は「与えられた仕事」を懸命にこなしていたことには素直に敬意と拍手を送りたいと思っています。 (新納君がニューヨークポストの記事で「awesome」と表現して頂けたことは、一ファンとして嬉しかったですし。)

しかしながら、日本のエンターテイメントを取り巻く環境が、いろんな意味でレベルの低いものなのではないかということを、まざまざと見せつけられた思いでいっぱいのNY旅行となりました。

でも、この舞台以外にもブロードウェイのミュージカルも何本も見て、そのレベルの高さに驚嘆し帰ってもきたので、いろんな意味で勉強になったNY訪問ではありましたが!!

管理人さんのような姿勢・目線をお持ちの方が、舞台芸術に携わっていらっしゃるのは、一舞台好きとしてとても嬉しく思います。 (何だかエラそうにスミマセン。)
是非、よりよいものが日米相互で共有できるよう (米国以外もかな?) これからも頑張って頂ければと思います。

こちらのblogも、今後も楽しみにさせて頂きたいと思います。 長々と失礼致しました。
チェックしたら… (まり)
2009-11-26 15:50:00
なにやらコメント欄がエライことなってますね。

東京凱旋公演、チェックしたら来年1月半ばから約2ヶ月も演るんですね。
それも「一部字幕付です」みたいになってます。
ますます「????」な感じ。
新納さんのブログも拝見しましたけど「日本人客が悪くて何が悪い!」みたいな感じ。
じゃあ別にNY、それもオフブロードウェイでなくてもよかったんじゃあ?
…って観てない私が言うのはイケマセンね。すいません。       
そりゃお怒りごもっとも (管理人)
2009-11-27 09:18:45
聖さま、

3回もしかもお金払って見たとなると、落胆もされるでしょう。
そうですね、舞台は水物ですから、今回たまたま出来が悪かったとしても仕方ないのですが
内容のお粗末さ以上に、そもそもの姿勢に問題があったんじゃないか、
ちょっとアメリカのショービジネスを舐めてるんじゃないかしら?
と僕も憤ってしまいました。


頑張っていた新納さんのコメントも読んでガックリです。
「別に誰も本場のミュージカルと張り合いたいとか、トニー賞狙ってるとか思ってないだろうし。」
ならなんでオフ・ブロードウェーと強調したのか?
楽団は生バンドを揃えて体裁だけはミュージカルにしたのか?
そもそも、出演者もスタッフも“張り合えない”と思っている作品を
どうして現地の人に見せようとするのか?

歌やダンスや規模で張り合えないと言いたかったのなら
じゃあ、違う魅力で魅せればいいじゃん?
「オフ・ブロードウェー・ミュージカル」なんて他人の商標貼り付けないで
堂々とオリジナルな舞台作品ですって言えばよかったのに。

ぜーぜー  

マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー「This Is It」を昨日みました。
これを見て、アメリカのショービジネスの凄さ、層の厚さ、徹底さ、を学んで欲しいです。
物凄く面白い映画でしたよ。
そりゃ英語でやるでしょ (管理人)
2009-11-27 09:39:48
まりちゃん

元気ですかい?
そりゃね、凱旋公演ですから、川平さんがあれだけの台詞を全部英語でするかどうかは疑問ですが
香取さんの英語シーンはそのまま英語でしょう。
だって、英語レッスンしてマスターしたとか、NYで大成功とかリリース出してるんだから
その成果をファンに見せたいと思ってるでしょ。

NYでは出演者は4人だったけど、
東京ではダンスシーンなんかはもっとダンサーを使ったりするんじゃないかなあ・・・
だって広ーい舞台、あの装置と4人の出演者じゃあ
かなりスカスカで寂しいだろうし
ダンサーとかワーって出てきたら、華やかで盛り上がるし、それでかなり誤魔化されるやん?

でも1200席で50公演だって?
キャパ6万人かあ・・・
それはそれで、凄いねえ・・・


それと・・・ (管理人)
2009-11-27 09:46:34
英語と日本語で重複してた台詞やシーン、
日本語が分からない人のためにしていた英語での説明台詞とか繰り返しのシーンとか、
結構改訂かカットかされるなるんじゃないかなあ・・・。
要はNYでやりましたな雰囲気だけ残しておいたらいいと考えるんじゃないかしら?
今度の観客は文字通り日本人だけなんだし・・・。
何だか (まり)
2009-11-27 10:18:48
日本で演っても辛辣な評価されることはないんじゃないのかなぁ。
何だか「ホラNYで大成功だったミュージカルだよ」っていう冠ついちゃったから「これダメみたいに言っちゃうとブロードウェイ批判しちゃわない?」みたいな『裸の王様』みたいになりそうで。
でもよくないことはよくないって言ってあげないとよくならないと思うんですけどね。
まったくまったく。。。
そうねえ (管理人)
2009-11-27 15:59:11
TV局の作るふにゃらけたドラマとか、中身の薄い映画とか
出てるキャストも演技の勉強もしたことのないアイドルとかが主役だったり
でもあんなものが受けたりする国だからねえ・・・
同感 (アストリア)
2009-11-28 12:20:48
はじめまして。NYに住んでいて、この公演を観たとおりすがりの者です。日本に住んでいた大学生の頃から演劇が好きで、三谷作品もサンシャインボーイズ解散する最後の頃ですが何本か観て好きで、今回の公演を友人に誘われて知り、カトリ君主演ということで期待はせずに、でも楽しみにして観に行きました。

わたしもじぶんのブログにこの作品の感想を書こうかなと思っていたのですが、自分の感じた事と、世間の評価があまりにもチガウので、"批評"してはいけないんじゃないか?という気持ちが漠然としていて、書きあぐねていたところに、こちらのブログを見つけました。NYPostの評論、知らなかったので、「アメリカ人が公式に書いた論評があった」ことに少し安心したのと、わたしは演劇・ミュージカルにたずさわる者ではないので、裏舞台というか制作者の方々の本音を少し知る事ができてコメントを残したくなったので書き込ませていただきました。

日本にいた頃はミュージカルをバカにしていた私が、ブロードウェイの舞台に感動して、以来大好きになりました。良い舞台の後、みなさんそうだと思うのですが、音楽が頭から離れず、一緒に観た人たちと舞台の内容を夜遅くまで話したり、いろんなシーンを思い出して笑ったり、感想を議論したり、それはそれはアツく語ると思います。

でも、今回の舞台には残念ながら、音楽についても、内容についても、笑いの部分すら、心に深く残り続けるものがありませんでした。

わたしにとっては本当に本当に久々だった三谷作品なので、投稿された方々も書かれていますが、いろんな意味で中途半端過ぎました。アメリカにも日本にも迎合しすぎで、アメリカに住む日本人として、観ていて恥ずかしくなりました。。。日本語で歌ったものをもういちど英語で歌わせる場面などは、「ええっっ?!?!コレもう1回やるの?!?!」といった感じで・・

ただひとつ、素人の私が面白いなと思ったのは、最後にバンドメンバーも巻き込んだサプライズ感だけでした。

新納さんも良かったので、コメント読んでガッカリ、、、アメリカのパフォーマー達が、演劇・ミュージカルにどれだけ真摯に打ち込んでいるのか。。。日本にいては全く解らない世界なのでしょうか

今回この公演に携わった人たちが、批判無き論評を本当に信じて、あれが最高のものだったと思わないことを祈るばかりです。
どうもです (管理人)
2009-11-28 15:44:56
アストリアさん、

どうもコメントありがとうございます。
三谷さんはきっと今回の作品が面白くなかったと分かっていると思います。
才能のある人なので、きっと捲土重来、近い将来、NYで彼の作品が上演される日がくると思います。
ミュージカルではないんじゃないかな、とは思いますが・・・
その時を楽しみに待ちましょう!

ご自身のブログでは思ったとおりに書かれたら良いと思いますよ。
仮に人と違う見方であっても、そういう意見も表明できるというのが民主主義の根幹ですから!
(ってちょっと大げさですね)
そうですね (えん)
2009-11-29 20:50:47
いろんな意見や批判本人が一番わかってるでしょうね。
三谷さんもキャストの方たちもよくわかってるでしょう。
でも公の場ではよかった成功だと言わなくてはいけない日本の芸能に身をおく彼らが一番つらいかもしれません。
まだ公演があるししがらみがあるし。
本気で夢に向かって努力して本物になろうとする気持ちを持続するのはむずかしいのでしょう。
できなかったが許されないそんな世界に感じます。

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