小雨が降り始めた朝早く、広島の病院へ3か月に一度の定期検診を受けるために出かけた。どの待合室も患者は多い。採血を済ませた後、1時間半が経ったころ名前を呼ばれて診察室に入った。60歳に近い部長先生が私の担当医である。
血液検査の結果を見ながら「変わりはありませんね」という。意味が分かりかねて「検査の数値が今までと変化していないということですか」と念を押すと「そうです」と答える。「毎日の生活で、何か気を付けることはありませんか」と聞くと「そうですね。免疫力が低下しないようにしてください。疲れてくたくたになるようなことはしないことです」という。
「はい、分かりましたが、このところ広島カープの試合をテレビで見ていると、大変疲れますが、いいでしょうか」「そうですね、僕も疲れますよ。今年は昨年のようにはいきませんね」「エラーは多いし、ピッチャーも打たれ過ぎます」「西川も菊池の代わりをするにはまだ早そうだし……」と、診察室で先生との会話がカープ談議に変わったとき、「カープの話をし始めるときりがありませんから、今度どこかでやりましょう」と患者の私の方から切り上げて診察室を出た。
1年半前、初めてこの診察室に入ったとき、カープの応援グッズが先生の机の上に何種類か置いてあった。「あー、この先生、カープのファンなんだな」とは思っていたが、患者の話に直ぐに乗ってくるとは思っていなかった。
先生も、入れ代わり立ち代わり入ってくる多くの患者を診ているが、時には雑談くらいしてリラックスしたいのだろう。それもカープの話であったから、渡りに船の話題であったに違いない。この先生のためにも、今宵もカープに勝ってほしいが、診察室でこんな話をしていては、待ち時間が長くなるわいなあ。
anneさんも頑張りすぎないでご自愛ください。