☆・。.・☆写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 愛犬のハートリーと共に瀬戸内の岩国から…… 茅野 友

昭和レトロ

2016年10月16日 | 生活・ニュース

 久しぶりの秋晴れの日、大島に向かってドライブをした。大島大橋を渡る手前に小さな物産店がある。新鮮な魚や季節の野菜などが沢山並べてあり、奥さんのお気に入りの立ち寄りポイントとなっている。

 その駐車場に車を止めた時、近くに懐かしい車を見つけた。ダイハツのミゼットという小型三輪自動車である。昭和32年(1957)に発売され、免許制度や維持費のハードルが低く、大きなオート三輪導入が資金的に苦しかった零細事業者たちにも手の届く初めてのオート三輪であった。

 テレビのコマーシャルにドラマの主役である大村崑を起用し「ミゼット! ミゼット!」と連呼させた。この拡販策は大当たりでミゼットは一躍ベストセラーとなり、昭和47年(1972)まで長期にわたって生産された軽オート三輪である。

 そんな昭和レトロな車に触れたくなって近寄ってみた。オーナーであろう、同年輩の男が立っている。「懐かしい車ですね」というと、関心を持ってくれていることが嬉しそうに「運転席に乗ってみてもいいよ」と笑顔で言う。2人乗りでシートは小学校の椅子くらいに狭い。「エンジンをかけてみてもいいよ。そこのキーを右に回せばかかるから」という言葉に甘えてキーを回すと、空冷2ストローク単気筒、305cc、12馬力の、振動の大きなエンジン音が床下から聞こえてくる。

 ハンドルは丸くドアの窓は手で上げ下げする。メーターはまん丸いスピードメーターだけ。荷台は十分に広く農作業に十分使える大きさである。「この車の燃料タンクは10リットルと小さいんで、携行タンクを積んで走っている」という。スピードは出ないが、昭和レトロが好きでオークションで見つけて買ったそうだ。「85万円で落札した」と言いながら近寄って来る人の色々な質問に答えている。

 昭和32年といえば、私は高校に入学した年である。その時代に帰ったような気がするミゼットとの出会いであった。あの頃は、車を買って乗るなんて夢のまた夢の時代。贅沢なものは何もない時代であったが、今とは違って精神的には満たされていたように思いながらミゼットに別れを告げた。

 

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