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血まみれギャングママ

2009-05-01 | 本を読むのが好きだとか
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『血まみれギャングママ』。実在した犯罪集団バーカー・ファミリーの活躍(?)を描いた映画です。監督はB級映画の「帝王」ロジャー・コーマン。昔『X線の眼を持つ男』を観たことがありますが、それは刑事コロンボに出ていたレイ・ミランドが出演していたから興味があって観ただけで、今回、まさかこんな所で再びコーマン監督の作品に出くわすとは思いませんでした。

B級映画というのは良いですね。大抵は単純明快、難しいことを考えないでボーッと観てるだけで良い作りになっています。『血まみれギャングママ』はまさにそういう作品でした。

とにかくB級らしくいかに観客を惹き付けるかに心が砕かれているのでテンポも速く、ちゃんと暴力シーンと、心に訴えてくる情緒的なシーンが適度に配置されています。

時は20年代のアメリカ。とある出来事のため放浪生活を余儀なくされたバーカー一家は、とっても強いママ、ケイト・バーカーと、ちょっとマザコン気味だけど個性的で母親に忠実な4人の息子によって構成されています。そして彼らは時折躊躇しながらも強盗や殺人を繰り返しながら逞しく生きていくのですが、最後には銃撃戦により散っていくのです。

まず息子の一人を若き日のロバート・デニーロが演じているというのが驚きですね! …と言っても僕自身はデニーロと言えば『フランケンシュタイン』に出ていたことくらいしか記憶にないので特に驚きもないんですけどね。でもとにかく、麻薬でラリッて女の子を襲おうとし、その女の子をママに殺されてしまったせいで自暴自棄になって結局麻薬の打ち過ぎで死んでしまうという凄惨なキャラクターは印象深く、僕の中でのデニーロのイメージは完全に「人造人間と麻薬中毒者」で固定されてしまいそうです。

個人的な見所は、一家が旅に出る時に別れた父親の姿が、何かにつけて息子達の脳裏をよぎるシーンです。彼らは「父親と同じ目の色」をしている男をどうしても殺すことが出来ません。

また冒頭のバーカー・ママと、この父親との別れのシーンがまた素晴らしい。お互い不幸になることが分かっていても別れざるを得ない、人間の絆というものを逆手に取った形で描いており、例のアカデミー賞を取った『ゴッドファーザー』でもこんなに心を揺さぶられるシーンはあっただろうか? いや無い、と言いたくなる名シーンです。正直、このシーンがあれば後は暴力シーンや最後の銃撃戦なんてどうでもいいや、とすら思います。

ママの台詞もいちいち面白いのが多い。その中で一番気に入ったのは「キリストの本当の受難はズル賢い弁護士を雇えなかったことだよ」というもの。

さて、いつも不思議に思うのですが、アメリカではこうしたギャングやマフィアがスター扱いだったり、古き良き時代の象徴としてこんな風に映画化されたりするという点です。それに快楽殺人者までもが娯楽作品の題材になっていることを思うと、日本と比較した場合にあっちの国では犯罪とか悪の概念は一体どんな風に構成されているんだろう、と首を傾げたくなります。


娯楽の題材としては面白いかも知れませんが、日本人の視点で少し突き放して見てみればアル・カポネ一味だってラッキールチアーノ一味だってただの暴力団ですし、バーカーファミリーは強盗殺人集団ですし、ボニーとクライドも単なる連続殺人鬼です。

これについては想像するしかありませんが、アメリカはやはり人工的に作られた国なので、自分の力で運命を切り拓いていくというやり方に魅力を感じる国民性があるんでしょうかね。例えそれが既存の社会秩序に反するものであっても…。もっともアメリカも禁酒法があったり悪徳警官が出てきたりと、現代の目から見れば社会制度的におかしな部分が結構見受けられるので、それに対して人々が身を守らざるを得ない部分というのもあるのかな。

後は、キリスト教文化の禁欲性に対する「悪魔」的なものへの魅力を強く感じる傾向があるのかも知れない、などという想像も出来ます。ただ共同体というのは普通はある程度は禁欲的なものなので、これだと日本人が快楽殺人者をヒーローとは決して見なさない理由の説明がつきませんが。日本でも、西口彰や大久保清を主人公にした映画はありますが、それはあくまでもイロモノですからね。

■『文藝yaminave』全体の目次はこちらからどうぞ。

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アカデミー賞 ゴッドファーザー ボニーとクライド フランケンシュタイン レイ・ミランド ロジャー・コーマン 刑事コロンボ フォックス
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